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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
最終章・対決と決別

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さようなら、お母様

母のすがる手を振り切って、やっと母の呪いから解放されたアリアは最後のお別れを告げる。

 その瞬間、アリアの中で長い事アリアを苦しめていた枷が外れるような音がした。


 もう、母の呪いも、罵倒も聞こえては来ない。


(ああ、やっと……)


 アリアは涙を堪えながら母に一礼をした。それがアリアにできる母への最後の礼儀だった。


(さようなら、お母様……!)


 エリナは何か言おうと、息を吸い込んだ。

 だが声は震えとなり、言葉にならない。


 カリスが静かにアリアに寄り添い、立ち上がらせる。


「行こう、アリア」


「はい……!」


 アリアは迷わず頷いた。


 エリナは床に崩れ落ちたまま、震える指先で必死に二人を追おうとするが、その手が娘に触れることは、もう二度とない。


 扉が静かに閉じられる。

 屋敷に残ったのは、崩れ落ちた女主人のすすり泣きと、エリナが自分で招いた永遠の孤独だった。


 * * *


「アリア、大丈夫か?手が震えてる……」


 扉が閉まったあと、アリアは俯いて少し震えていた。


「私、初めて母に抵抗しました……」


 震えながら一生懸命に言葉を紡ぐ。その顔はここを訪れた時よりもはるかに晴れやかで。


「ずっと、ずっと母には抵抗できなかった。しようとも思ってなかったのに!できたんです……」


「ああ……そうだね。よく頑張ったね。アリア……」


(あ…………)


 それはずっと欲しかった……労いの言葉。


【よく決めたわね、アリア。お母さん嬉しいわ。ありがとう】


「あ……ありがとう……」


 アリアはカリスの胸に飛び込んで堰を切ったように泣いた。長いこと張り詰めていたものがようやく瓦解して、カリスの胸に溶ける!


「カッ……カリスさま……ぁぁ!!」


 カリスは何も言わずにただアリアを抱きしめ、その頭を撫で続けた。


 アリアが落ち着くまで。

 アリアが過去と決別するまで。


 アリアの涙が枯れるまで……ずっと。ずっと……


アリアの完全な母との決別回でした。

大丈夫、今のアリアにはカリス様がいるから。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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