暴君の味方
赤い悪魔、カリスの圧倒的な殺気についに腰が抜けたアリアの母エリナは、殺される!と言って屋敷の中の者を呼んだが……
「ヒィィーーーーッ!!だっ、誰か……誰か来なさい!!赤い悪魔が私を殺す気よ!!」
エリナは悲鳴を上げ、床に尻もちをついた。
震える手が空を掴もうとするが、誰一人として応接室の扉を開けようとはしない
「は、早く!!いつまで待たせる気!?従者はどこ!?聞こえないの!早く助けなさい!」
叫び続ける声が屋敷の中に虚しく響く。
しかしそれでも足音ひとつしなかった。
「まさか……誰も……来ないの……?従者も??」
(誰もいない!?)
次第に、エリナの顔から血の気が引いていく。
(まさか......この屋敷の者たちが.....私の命令を.....無視している......?)
そう、今この女の周囲には、誰一人味方がいない。
長年にわたり、夫にも娘にも、使用人にさえも「従わせ、押しつぶす」ことで成り立っていた女の世界は、まるで硝子のように薄く脆かった。
カリスはエリナの首元に置いた剣を静かに離すと、冷えきった声で言った。
「無駄だ。エリナ。お前の夫も、使用人も、侍女たちも……誰もお前の味方ではない」
「な、何を……言って……何故そんなことがあなたにわかるの!?」
「私はヴァレンティ侯爵だ。何もかも筒抜けだ。若造だからと、あまり私を舐めないで頂きたいな」
エリナは次第にガタガタと震え出した。
「アリアが去った後、お前は引き続き好き勝手に暴君ぶったのだろう?だが人間は、恐怖だけでは動かない。お前の冷酷さに、屋敷の者は皆うんざりしていた……今さら命令に従うわけがない」
エリナの喉がひゅっとすぼまり、息が上ずる。
「そ、そんな……私は、この家の女主人よ……!」
カリスは呆れたように短く息を吐く。
「その座に何の価値があるというのだ……」
カリスの声は鋼のように冷たく凍っていた。
「敬われもせず、愛されもせず、ただ恐怖で縛りつけたその座に、何の意味があると思う?」
エリナの目が見開かれる。
カリスの刃は、すでにエリナの首から退いていたが。代わりに、言葉という刃が彼女を静かに切り裂
いていく。
「立てるなら立つがいい。だがアリアの人生に、お前が関わることは二度とない」
エリナの体が震え、ガタガタと歯の根が合わないほどに恐怖に染まる。
エリナはアリアにもアリアの父にも暴君で、まるで屋敷の女主人のように支配していました。
「私はヴァレンティ侯爵だ」と
「アリアの人生に、お前が関わることは二度とない」はカリスに言わせたかったセリフです!!侯爵様かっこええなぁ!
ところでこのサブタイトルっていると思いますか?(聞くな)
最後まで読んで頂きありがとうございました。




