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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
最終章・対決と決別

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母との邂逅

いよいよアリアを長年言葉という呪いで縛り付けていた母との対決です。最初は緊張していたアリアだったが、その手をカリスに握られたことで緊張がほぐれる。

「アリア、緊張してる?」


「……大丈夫です……少ししかしてません」


 小さな声で呟くアリアの手は震えていた。

 カリスは微笑むと、その震えている手を握る。


「アリア、俺がいる」


 カリスがそう言うと、アリアはパッと顔をあげた。


(そうよ、今の私にはカリス様がいる!)


「はい!カリス様!」


 今二人はアリアの実家に訪問していた。アリアの母と、アリアの過去との決別のために。


 * * *


「……それで?うちの娘は、そちらの侯爵家でちゃんと役に立っているのかしら」


 紅茶を優雅に飲みながら母は不躾に言い放った。


(……娘の訪問だと言うのに、第一声がそれか?役に立つかだと?なるほど……)


「…………」


 アリアの方を見ると、すっかり萎縮して俯いてしまっていた。


 母の声は、昔と同じだった。

 冷たく、張り詰めていて、どこか「責める」ことしか知らないと言った調子だ。


(お母様、相変わらずだわ……カリス様にこんな口をきくなんて……)


 アリアはそんな母の様子に恥ずかしくなったのか、両手を膝の上でぎゅっと握りしめた。


 隣で座るカリスの凛とした温もりだけが、ここが今までと違う場所だと教えてくれている。


(大丈夫、大丈夫よ)


「ーーひとつ聞かせて頂きたいのだが……」


 静かな調子で重い沈黙に声を落としたのはカリスだった。


「今まであなたがアリアにしてきた事、数々の暴言や自己否定の言葉。果ては侍女に命じての嫌がらせ。これについてはどう思っているんだ……?」


 母の眉がピクリと動く。


「今なんとおっしゃいました?」


「聞こえなかったのか?……もう一度言おうか」


 カリスは肘掛けから背を離し、まっすぐにアリアの母を見る。アリアの喉が思わずゴクリと鳴る。


「あなたは今までどれだけの事を言ってアリアを傷つけていたのか、わかっているのか?例えばーー」


【黙って頷いていれば、大抵のことはうまくいく】


 だの、


【あなたのその真っ白な瞳、白髪に近い銀髪!見るだけで呪われそう】


 だの散々罵ってくれたそうだな。


 応接室の空気が、ぴん、と張り詰めた。


(カリス様……私のことを第一に聞いてくれた)


「ほほほ、何のことだか……それにいきなり来て無礼ではありませんの?仮にも侯爵様ともあろうものが、親に向かって……」


 母は平然を装っているが、カップを持つ指がぷるぷると震えていた。


(どうせとぼけてうやむやにする。母は昔からそう。自分の否を認めず、自分に反抗する者は許さないの。父親もそうだった。たとえ相手が侯爵様だとしても)


「無礼を承知で申し上げている」


 カリスの赤い瞳は剣のように細められ、少しも揺るがなかった。


アリアの母は長年の間アリアを苦しめてきました。食事から衣服から、その人生までも。この母との邂逅無しにはこの物語は語れません。もう少しだけやらせてください!


決着をつける時です。しかしこの母親、かなりクセが強そうですね。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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