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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
最終章・対決と決別

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助けなくてもよかったのに

アリアは小刀を振り上げたリディアの懐に飛び込んでいた。その行動にリディアは混乱する。


※基本は三人称です。

「アリアーーーーッ!!」


「キャアアア!アリア様ぁー!!」


 カラン、と乾いた音を立ててリディアの小刀が落ちる。気が付くとリディアは脱力し、アリアに抱きしめられていた。


(……ぁ……私が欲しかったのは……こんな……)


「リディア様……もう、苦しまなくていいの……あなたは私と同じ、ただ誰かに愛されたかっただけなのだから……」


 アリアはリディアの背をさすっていた。慰めるように、あるいは子どもをあやすように。


「アリア!このっ……離せリディア」


 カリスが割って入り、二人を引き剥がす。


「アリア、大丈夫か!怪我はしてない!?」


「ええ、大丈夫よ。カリス様。どこも怪我してないです。リディア様は……寸でのところで止めてくださったの。自分の意思で」


「えっ……」


 床に転がる小刀はまっさらで、傷ひとつ付いてはいなかった。カリスは念の為小刀を遠くに蹴り飛ばした。


(そうなのか……あのリディアが?)


「でも無茶をしすぎだアリア。敵の懐に飛び込むなんて……」


「ごめんなさい、カリス様。でも私は信じたかったのです。リディア様を……私と同じ境遇のリディア様を……」


 そしてリディア様に私の祈りが届いたのです。


「…………」


(どうして……どうしてなのアリア。私など、助けなくても、よかったのに……)


 何故アリアは迷いなく私の懐に飛び込んできたの!?そんな事、そんな事されたら私は……


 バタバタバタ!!


「リディア!!」


 カリスが叫んだ時だった。いつのまにかリディアはバルコニーに立っていた。

 嵐の風がリディアの金の髪を揺らし、白いカーテンをばさりと押し広げる。


「!!リディア様、危ないわ。そんなところ!!ねぇ降りて来て!」


 バルコニーから落ちたら助からない。リディアはそのギリギリの足場に立っていたのだ。


 その瞬間。


 ドォォン!!


 腹の底を揺らす雷鳴が、夜空を裂いた。


 白い閃光がバルコニーを照らし、リディアの影を床に長く落とす。


「……ねぇアリア、私が欲しかったものは何だったのかしら」


雷鳴によってリディアの影が照らされるシーンは書きたかったので書けてよかったです。リディアには雷と嵐、雨が似合う!


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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