愛されたかった、私たち
アリアはリディアの言う通り、降りてリディアの話を聞くことにした。そしてアリアはリディアに自分の気持ちを打ち明ける。
リディアはアリアの顔をしばらくジロジロと眺めていた。
アリア、少し見ない間に少しは血色が良くなったのかしら?前よりも顔色が良くなった気がする。
まあ相変わらず不気味なのには変わらないけど。白い髪の毛、抜けるような白い瞳。その虚弱な透明感で、いつもアリアは目立っていた。
そしてカリス様を奪った!私のカリス様を!!
その事が何より許せない。このアリアの聖人ぶった顔を引っ叩いてやりたい。
この綺麗な顔が苦痛に歪んで、惨めに命乞いをする姿を見てみたいわ!
「……リディア様。私もあなたにお伝えしたい事があるんです」
「ん?」
「私も、王立学校に通っていた時のあなたが羨ましかったんです」
あれは私がたまたま疲れて中庭のベンチで休憩をしていた時ーー
『きゃははは!』
金色の髪を煌めかせて、緑色の瞳を細めて太陽のような笑顔で。その瞳に合わせた緑の髪飾りが笑顔を一層魅力的にして……私はその子に思わず見惚れた。
私とは全く真逆の人。
周りにはいつも人がいて、あなたを愛して、あなたが笑うと周りも笑顔になった。
そんなあなたが私も羨ましかった。あの時のあなたが、まさかリディア様とは思わなくて……
「ねぇリディア様」
あなたは地位も名誉も美しさもある。愛されて育ったはずなのに。何もかもを手に入れているはずなのに。どうして?
「っ……」
「私も、あなたが羨ましかった、リディア様。立派な金髪に、目の覚めるような緑の瞳。はつらつとした健康的な体。何もかも私とは違う」
そんなあなたがどうしてそんなに私の事を憎むの?何もかもが白い、こんな虚弱な私など……
リディアの手が怒りでぶるぶると震えた。
「アリア、あなたはわかっていない」
あなたのどこがとか何がとか、そんな事今さらどうでもいいのよ!
何を言われても、私の壊れた心には何ひとつ響かない!!
「あなたのせいで壊れたのに!!」
私はあなたが憎かった!羨ましかった!!
でもどんなに頑張っても、私はあなたにはなれない。
「……この絶望が、あなたにわかる?」
私から何もかもを奪って行ったあなたに!!
アリアはしばらく逡巡していたが、やがて穏やかに答えた。
「……わかります。私にはあなたの気持ちが……わかります」
締め切った窓の冷たさ、その向こうにある家族のぬくもり。どんなに欲しがっても手に入らない。
どんなに頑張っても、私は愛されない。
ほんの少し毛色が違うという理由で、母から疎まれて。
「私も、愛が欲しかった。愛されたかったの……人に」
アリアは泣きそうになるのをグッと堪えた。
アリアもリディアも愛されたかったのは同じ。
どんなに頑張っても得られないものがあると言うのは辛いですね……
最後まで読んで頂きありがとうございました。




