触れていいのは、あなただけ
カリスの優しい声、優しい言葉にアリアの張り詰めていた心が溶けていく。
俺はしばしポカンとしていた気がする。
この子はそんな事を気にしていたのか?だからあの時、俺の手を避けたのか。
思わずクスッと笑ってしまう。
「カリス様、何かおかしいですか?」
「ふ、いいや?何もおかしくはない」
俺の笑顔を見て一気に気が緩んだのか、アリアの目から涙が次々に溢れ出す。
「もう触れてもいいかな?」
「はい、私……早とちりして、すみませんでした」
俺はアリアの頬をさすり、次々と溢れる涙に口づけを落とす。先程まで青ざめていた顔は、ほんのり色付いていた。
「もっと深く、触れてもいい?」
* * *
深く触れるーーその意味がわかった時、心臓が跳ねる。
でも……怖くない。私に触れるのは他の誰でもない、カリス様だから。
答える代わりに私はカリス様の逞しい胸に静かに寄り添う。
「……カリス様。私を助けてくださってありがとうございます」
いつも、私がそばに居て欲しい時に側に居てくれる人。
「アリア……」
カリス様の顔をそっと見上げる。赤い瞳には私しか映さない。その色がとても優しくて。
私は初めて会った日のことを思い出す。
あの時もカリス様は、穏やかで優しい目をしていたーー
思わず鼻がツンとなる。
「カリス様……」
私の手にカリス様の手が重なり、胸の鼓動が耳に触れる。
カリス様の腕が、迷いなく私の腰に回される。
「もう大丈夫だからね」
低い声が私の白銀の髪に落ちる。そのどこまでも優しい声音に涙が滲む。
(カリス様……嬉しい……)
そのまま、お互いにそっと唇を触れ合わせた。やがて深く、浅く、息が混じり、心が静かに溶け合っていく。
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