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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第十六章 二人の時間

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君が呼んでくれた

アリアは自分が汚されたと思い込んでいた。

カリスは誤解しているアリアに少しずつ真実を話し始める。



 私がそう言った瞬間、部屋の空気が止まった。


 カリス様の手がぴくりと震え、赤い瞳が細くなる。

 その目はいつも私に向けていた優しいものではなく、恐ろしいほどに暗く、冷たくなっていた。


「……誰から聞いた?」


「誰からだっていいじゃない……だって私はもう……」


 ランス様が私をどうにかしたかった事はわかってる。晩餐会の時も、ランス様はキスしようとして来たもの……


 でもあれは社交辞令で、ランス様にとっては日常茶飯事の事で。ランス様にとっては取るに足らない事だと思っていたのに。


 まさか私を連れ去るなんて……


「お願いカリス様、私に何があったのか教えてください」


 カリス様の眉が深く寄った。


「……君をまた傷つける事になるかもしれない。それでもいいのか?」


 傷つく……カリス様のその言葉に、全身が総毛立つようだった。やはり私はランス様に……?

 いえ、まだそうと決まったわけじゃない。


「……はい、カリス様。本当の事を教えてください」


 カリス様はしばらく私を見つめていた。その表情は、まるで深い傷のようだった。


 やがて、押し出すように低く絞られた声が落ちる。


「……俺が王都に行って出かけていた夜のことだーー」


 * * *


「え……じゃあ、私はランス様に何かされる前にカリス様に助けられたのですか??」


「ああ、あの時は本当に運がよかった……」


 もし少しでも遅れていたらと思うと……その先は、想像したくもない。


「……君が呼んでくれたのかもな」 


「……よ……」


「よ?」


「よかった……!私。ランス様に何かされたのかと思っていました!でもそうなる前にカリス様が助けてくれたのですね!」


 俺はしばしポカンとしていた気がする。


 この子はそんな事を気にしていたのか?だからあの時、俺の手を避けたのか。


 思わずクスッと笑ってしまう。


アリアよかったね!気が抜けた瞬間のアリアは可愛い!


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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