君が呼んでくれた
アリアは自分が汚されたと思い込んでいた。
カリスは誤解しているアリアに少しずつ真実を話し始める。
私がそう言った瞬間、部屋の空気が止まった。
カリス様の手がぴくりと震え、赤い瞳が細くなる。
その目はいつも私に向けていた優しいものではなく、恐ろしいほどに暗く、冷たくなっていた。
「……誰から聞いた?」
「誰からだっていいじゃない……だって私はもう……」
ランス様が私をどうにかしたかった事はわかってる。晩餐会の時も、ランス様はキスしようとして来たもの……
でもあれは社交辞令で、ランス様にとっては日常茶飯事の事で。ランス様にとっては取るに足らない事だと思っていたのに。
まさか私を連れ去るなんて……
「お願いカリス様、私に何があったのか教えてください」
カリス様の眉が深く寄った。
「……君をまた傷つける事になるかもしれない。それでもいいのか?」
傷つく……カリス様のその言葉に、全身が総毛立つようだった。やはり私はランス様に……?
いえ、まだそうと決まったわけじゃない。
「……はい、カリス様。本当の事を教えてください」
カリス様はしばらく私を見つめていた。その表情は、まるで深い傷のようだった。
やがて、押し出すように低く絞られた声が落ちる。
「……俺が王都に行って出かけていた夜のことだーー」
* * *
「え……じゃあ、私はランス様に何かされる前にカリス様に助けられたのですか??」
「ああ、あの時は本当に運がよかった……」
もし少しでも遅れていたらと思うと……その先は、想像したくもない。
「……君が呼んでくれたのかもな」
「……よ……」
「よ?」
「よかった……!私。ランス様に何かされたのかと思っていました!でもそうなる前にカリス様が助けてくれたのですね!」
俺はしばしポカンとしていた気がする。
この子はそんな事を気にしていたのか?だからあの時、俺の手を避けたのか。
思わずクスッと笑ってしまう。
アリアよかったね!気が抜けた瞬間のアリアは可愛い!
最後まで読んで頂きありがとうございました。




