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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第十六章 二人の時間

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記憶に沈む優しい声

カリスの部屋で目覚めたアリアは何も覚えていなかった。一方アリアの目覚めに気付いたカリスはアリアの元へ急ぐのだった。


※カリス視点です。

 俺は寝ていたのか?

 アリアは……


 ふとベッドの方を見るとアリアが目覚め、こちらを見ていた。


 その瞳には涙が浮かんでいるようだった。


 ーーアリア!!


 ガタガタッ!


 俺は急いでアリアのベッドに駆け寄る。


 * * *


「……アリア。目が覚めたのか。大丈夫?寒くはない?」


「…………カ、カリス様……」


 カリス様の顔を見た時、私は何故か声を上げて泣いてしまった。安心からか何なのか、自分で自分がわからないほどに……ただカリス様の逞しい腕に縋り付いて泣いた。


 カリス様は何も言わず私を抱きしめて、ずっと背中を摩ってくれていた。


 どれほど泣いていたのだろう。

 涙がひとしきり落ち着いた頃、ようやく私は顔を上げた。


「……ごめんなさい、カリス様。私、どうして……涙なんか……」


 自分でも理由がわからない。

 ただ胸の奥が締めつけられるように痛くて、けれど……


「……カリス様……もう少しこうして寄り添っていてください」


「アリア……」


 カリス様の体温に触れていると少し楽になる。カリス様に包まれていると穏やかになっていく。


 カリス様は、そんな私の頬に触れ、そっと涙の跡を指で拭った。


「いくらでも泣いていいよ、怖かったんだろう……?」


 その声音はいつも通り穏やかで優しかった。

 ただ私を包むためだけの声。

 その優しさに胸が熱くなる。


「……でも私、何が怖かったのか思い出せなくて……カリス様を見送ったまでは覚えているんですけど……」


 言いながら私は胸に手を当てた。心臓だけが、なぜかひどく速く打っている。


(私に何があったのかしら)


「カリス様……私はどこかおかしいのでしょうか?心臓が嫌な感じでドキドキするのです」


 カリス様の眉根が沈み、体がピクリと震えたような気がした。何かを言いかけて呑み込む。


「アリア……今は何も考えなくていい。無理に記憶を追わないで。体が参ってしまうから」


「……でも……」


「アリア」


 名前を呼ばれた瞬間、私はびくりと肩を揺らした。

 カリス様のその声には、いつもの冷静さの奥に、微かに震えが混じっていた。

 まるで私に何が起こったのかを知って欲しくないような……


 カリス様の赤い瞳が揺れて、私を必死に確かめていた。

やっとカリスとアリアの二人を書けて嬉しい。

歪んだ二人も、寄り添い合う二人も大好きです。


果たしてアリアは自分に何があったか思い出すのでしょうか!それとも……


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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