赤い悪魔、氷の侯爵
狂気の祝杯をあげていたランスはカリスの登場に一気に正気に戻る。アリアの姿を見たカリスは……
※前半部分はカリスの一人称、*以降は三人称です。
「そこまでだ、ランス。全く何をやっているんだ……」
いきなりのカリスの登場にランスはしばし固まっていた。
「……そ、その声……カリスか?何故ここにいる!王都に行ってるんじゃないのか!?」
先程まで狂気に染まっていた男が、意外な人物の登場により一瞬正気を取り戻した。
「……そんなことはどうでもいい。お前は……」
その刹那ーーカリスはランスの背後に横たわるアリアを視界にとらえた。
「……ア、アリア……」
* * *
一気に血が逆流するのがわかった。背筋に冷たいものが走り、視界が真っ赤に染まる。
「……、ランス……まさかお前は……」
ドクンドクンと心臓が早鐘を打つ。
頭の中はひどく冷えているのに、混乱してうまく言葉が紡げない。俺の目の前で間抜けヅラを晒しているこいつを今すぐ八つ裂きにしてしまいたい。弁明も聞かないままに。
「……お前、自分のやろうとしたことがわかっているのか?」
寝台に横たわるアリアと女癖の悪いランス。答えは明白だった。いくらランスでも、ここまではしないと思っていた。
かろうじてそれだけ言うと、俺は無意識のうちに腰の剣に手を伸ばしていた。
その動きは静かで、迷いはなかった。
……もう関係ない。ランスをこの場で……
「ランス、俺のアリアに手を出して……ただで済むと思うなよ……」
* * *
その時、ランスは見た。
この世のものとは思えない、暗闇に静かに浮かび上がる真っ赤な瞳。赤い悪魔の静かな怒りを。
雷よりも、嵐よりも……はるかに恐ろしい怒り。
「カ……カリス……落ち着け。これは……違うんだ。俺は……」
言い訳を口にする前に、カリスがこちらを見た。
その目は氷のようで……まさに氷の侯爵。ランスの中で、晩餐会の夜が走馬灯のように押し寄せてきた。
お姫様を王子様が助けに行く王道展開って何度見ても何度やっても好きなんです。
果たしてカリスはランスを怒りのままに殺してしまうんですかね?
最後まで読んで頂きありがとうございました。




