アリアの救出
アリアはランスに連れ去られてしまった。絶望に包まれるヴァレンティ家。そこへ……
※三人称です。
「ああもう最悪!急に雨が降りだすんだもの。結局これだけしか買えなかったわ。でも最低限アリアのための食材は買えたからよしとしましょう」
急な夕立に、カロンはぷりぷりとしながら買い物を途中で切り上げた。
外套の裾を翻しながら、濡れた石畳を踏みしめる。
どうしたのかしら?家の雰囲気が何か……
カロンはヴァレンティ家の屋敷の門をくぐるや否や、その異様な静けさに眉をひそめた。
「……変ね。侍徒の姿が見えないなんて」
いつもなら誰かしらは来るのに。
すると廊下の奥から、よろよろと現れる足音が聞こえた。
(誰か……誰か……)
それと共に悲壮感溢れる嗚咽混じりの声が響いた。ミツキだ。
「ミツキ?」
カロンに呼ばれて顔を上げたミツキの目は泣き腫らして赤くなり、両手は震えていた。カロンは一目で異常を察した。
「どうしたの!?」
ミツキはカロンを見つけた瞬間、堰を切ったように叫んだ。
「……っ!ああ、カロン様!奥様が……アリア様が……!」
「落ち着いて。何があったの?」
カロンはミツキの体をさすりながら落ち着かせる。
「ラ、ランス様が……奥様をお連れ……さらって行ってしまいました!」
私のせいです!ランス様の変装に気がつかなくて……旦那様に留守を任されていたのに……!
(……ランス?あの女好きで……何かとお兄様と張り合って来た男?)
カロンはミツキのカタカタと震える手を握った。
……いくら女好きって言っても、よりにもよって……人妻に手を出そうなんて!
しかも私の可愛い義妹に!!
「何をやっとんのじゃーー!!!!」
カロンの瞳に怒りの光が宿り、腰の剣を確かめた。
「ミツキ、あなたは休んでなさい!ここからは私の出番よ!」
カロンはすっかりアリアを気にいってますね。
アリアを取り戻しましょう!
最後まで読んで頂きありがとうございました。




