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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第十四章 リディアとランス

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雷鳴が映しだす顔は……

リディアはヴァレンティの屋敷を去った。一方で残されたアリアは……


※三人称です。

 雷の余韻が屋敷を震わせていた。


 しばらくして、白百合の香炉が倒れ、灰が絨毯に散った。


「……ッ!奥様!奥様!」


 ミツキがいち早く異変を察知してアリアの元へと駆け込む。そこで見た光景にミツキは息を呑んだ。


 ーーアリアは椅子にもたれかかるように崩れ落ちていた。

 彼女の指先は冷たく、唇はかすかに青ざめていた。


「だっ、誰か!医師を呼んで!早くっ!」


(奥様!!……しっかりして……)


 叫び声に応じて、侍徒たちが慌ただしく駆け寄る。

 雨脚が次第に強まり、窓硝子を叩く音が室内のざわめきをかき消し、紅茶の香りだけが不気味なほど甘く残っていた。


 その混乱の只中に、ひとりの若い徒僕が紛れていた。


 髪は濡れ、肩に雨粒を散らしている。


 急に雨脚が強くなったこととアリアが倒れた事で皆混乱し、誰もその顔をしっかりとは見なかった。


 ただ一人、ミツキを除いてはーー


 男は静かに膝をつき、アリアの頬を愛しそうに撫でたあと、体を抱き起こした。


「ーーッ!無礼者!!奥様に触れるなど……」


 ミツキが叫ぼうとしたその瞬間、雷鳴が再び轟き、窓の外が白く閃いた。

 

 光が男の横顔を一瞬照らし出す。


「ーーランス……さま……?」


 ミツキはカリスが生まれる前からずっとこの屋敷に仕えている身。当然ながらカリスと交流の深い貴族の名前と顔は覚えている。もちろんランスも例外ではない。


「だめだ……このままじや、ここにいればアリアは汚されてしまう……俺が助けなきゃ……俺が……」


「……ランス様……何を」


 ランスはうわごとのように同じ言葉を繰り返した。


『ここにいては、アリアが汚される』


 それが言い訳なのか、懺悔なのか、もはや自分でも分からないような声音。


 ミツキが近づこうとするよりも早く、ランスはアリアを抱え上げた。

ランスもおかしくなってるんだろうな。

これからアリア、カリス、リディア、ランスの四人はどうなっていくのでしょうか!?


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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