音もなく堕ちゆく罪
リディアは壊れた人形のような笑みを貼り付けていた。アリアは怯えながらも一生懸命に言葉を紡ぐが……
※アリア視点です。
リディア様はわずかに目を伏せ、唇の端に小さく笑みを浮かべた。
どこまでも冷たいその瞳に私は寒気を覚えた。まるで感情が見えない。
長いまつげの陰に隠れた瞳の奥で、何かがかすかに揺れる。
(……やっぱり。どこまでも甘っちょろ。どこまでも愚かなアリア。そんな怯えた目で、まだ私を許そうとしている)
「この香り、ダージリンかしら?」
リディア様が紅茶に口を付けた。
「えっ、ええ……カリス様が毎月取り寄せてくださるの。私が好きだからと言って……」
リディア様の表情がピクリと引き攣ったような気がした。しまったまた私余計なことを……
「とてもよい紅茶だわ。ねぇ、もしよかったら私が注いでもいいかしら?アリアのカップが空だわ」
よかった……リディア様は気にしてはいないみたい。
「ええ、お願いします」
その時、アリアが一瞬窓の外に目を向けた。
通りを行く荷車の音が響き、ミツキが廊下の方でリディアの為の茶菓子を整えている。
そのわずかな隙をリディアは見逃さなかったーー
(さようなら、穢れなき純粋なアリア)
リディアはドレスの袖口から小瓶を取り出した。
細い指先で栓を抜くと、ほとんど無色透明の液が小さく光を弾いた。リディアは躊躇わなかった。素早く小瓶の液体をアリアのカップの紅茶に垂らした。
その毒はもはや音もなく、罪が堕ちていく。リディアの最後の理性と同じように……
(さようなら、人間だった頃のリディア)
リディアついにやりおったな。
アリアちゃんは無意識に煽るからたち悪いですね、汗
ところで今日も明日もシリアスパートが続きそうで私の心が落ち着かないです。
ここらで番外編でもいっちょぶち込もうかn()
最後まで読んで頂きありがとうございました。




