手を組む二人
ランスの独白を経て再び夜会に戻ります。舞台がコロコロと変わって申し訳ないです。
ランスがあれこれ考えを巡らせているとそこへ……
※ランス視点です
《再び夜会に舞台を戻します》
「協力しましょうか?」
鈴を転がすような涼やかな声に俺は顔を挙げた。
そこには伯爵令嬢のリディア・ベルダンディ嬢がいた。
「話は聞かせていただいたわよ。あなた、アリアのこと好きなんでしょ?」
リディアは華美な真っ赤なドレスに長い金髪をアップにしていた。緑の瞳にはギラギラした炎が見え隠れしていた。
ーーアリアも、晩餐会の時に赤いドレスを着ていたな。
でもアリアの着ていたドレスはこんなに華美ではなかった。
アリアのあの美しさは、別格だ……
「これはこれはリディア嬢。相変わらずお美しい」
「礼儀正しいのね。でも私にはお世辞は不要よ。先程の話聞かせていただいたわ、ランス・レオンハルト。アリアを振り向かせたいのでしょう?協力してあげるわ。このリディア・ベルダンディがね」
「……アリアを知ってるのか?」
「ええ、昔からね。あの子が学生の頃から知っているわ」
「……学生?ふーん、アリア嬢のことを昔から知ってるんだ。で、何でリディア嬢は俺に協力してくれるんだ?」
「私もアリアにカリス様を取られて腹立っているのよ。私はずっとカリス様を思っていたのに。アリアよりもずっと前から……だからランス様にアリアを落として欲しいの」
「……だが、アリアはカリスという鉄壁のガードがいるしな」
「あら、さっきまでの威勢はどうしたのよ。まあ聞きなさい。私に考えがあるのよ」
「考え?」
「……次の領主会議の時にカリス様は屋敷を空けるわ。屋敷にはアリア一人だけになるでしょう。侍従がついているでしょうけど大して邪魔にはならないわ」
「……まさか、留守の間に忍びこむのか?」
「……まあ聞きなさい。アリアはまだ私と和解できると思ってる。チャンスを伺っているはずよ。私ともう一度話せるチャンスをね。堂々と私が正面から訪問するわ。優しいアリアはまだ私を救いたいと思っているはず」
本当に甘っちょろい子よ。
「とにかく私が呼びつけたら来ると思うわ」
「和解?君は、アリアと何かあったのか?」
「……私もあなたと同じ。アリアを……あの甘っちょろの女を壊してやりたいのよ!!」
そうよ、私はカリス様を守るためならなんだってやるわ。なんだってね……あの子はカリス様を惑わす悪魔なのだから!!
この二人だけでなく多分登場人物全員どこかおかしいんです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




