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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第十三章 不穏な影

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どうしてあいつばかり

引き続きランス君の独白です。ランスはずっとカリスに劣等感を感じていた。それは自分が庶子であるという事だけではなくて……


※ランス視点です。

 庶子である俺は、貴族らしく生きようとした。

剣術も学問も、誰よりも努力した。


 ……だが、周りは決して俺を"本物”とは見なさなかった。

 俺がどんなに努力しても、庶子であるという事実がどこに行ってもついて回る。

 いつしか俺は貴族であること、貴族の誇りなどがどうでも良くなっていた


 それに比べてカリス。奴は生まれながらの貴族だ。

 冷たく、誇り高く、血の一滴まで侯爵らしい。


 周りはそれをため息混じりに「理想」と呼ぶ。


 ……吐き気がするほど完璧だ。


 そして、その完璧な男が抱きしめるのは……アリア。可憐で透き通るような……あの、誰よりも穢れのない少女を。


(どうして、あの男ばかりが選ばれる!?)


 アリアの視線はいつもカリスを探していた。晩餐会の時にもそうだった。


 あの時もアリアは何も言わずカリスの胸に飛び込んでいた。


 カリス様……カリス様と。


 どうしてカリスなんだ?カリスほど地位があり、高潔な血筋の男なら、引くて数多なはずだろう?


 ーーそんな奴よりも、俺が……


 でも俺が触れたら、きっと汚れてしまうんだろうな。アリアは……


 アリアを汚したくないという思いと、あの白い肌に触れてみたいという気持ちでいっぱいになる時がある。


 晩餐会のあの夜、キスができそうな距離まで近づいた時ーー


『おや、残念。もう少しでキスできたのに』


 あの時の俺は確か、本気でアリアにキスをしようとしていた。


『……ゃっ……』


 拒んだアリアの顔を見た時、俺は確かに嗜虐心(しぎゃくしん)に駆られた。

 ……アリアのあの美しく純粋な心と体を……この手で汚したいと確かに思った。思ってしまったのだ。


 思えば思うほど、指先が震える。


 どれだけ純粋でいたくても、俺の中の"渇き”がそれを許さない。


「……俺だって、誰かに必要とされたいんだ。たとえそれが望まぬ形だとしても!」


 呟いた声が、雨音にかき消えた。


ランス君、最初は気持ち悪いだけのキャラだと思ってたけど、なんか……


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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