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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第十三章 不穏な影

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ランスの劣等感

ランス視点の独白です。

「……黙れ……お前の声に驚いてアリアは逃げたんだ。もしアリアに何かあったらその時は……お前の命は無いと思え」


 街でたまたま出会ったカリスのセリフと、アリアの事を思い出していた夜のこと。


 窓の外は、冷たい雨が降っていた。


 王都の石畳を叩く雨音が、まるで遠くで笑う誰かの声のように聞こえる。


「……まただ。あいつは出席していないのに、何故あいつばかりが褒められるんだ」


 机の上には、今日の議会報告書。そこには"ヴァレンティ侯爵閣下の英断により"の文字がいくつも並んでいた。


 まるでこの国は、あいつのためだけに存在しているようだ。


 どれだけ努力しても、俺の名が並ぶことはない。


(同じ侯爵家の出なのに、どうしてこうも違う?)


 ーー俺の母は平民の出だ。侯爵家の主人に仕えた侍女で、俺は庶子として生まれた。

 幸い父は、母のことをそれなりに愛してくれてはいたようだが。俺にも上の子と同じように愛情を注いでくれたと思う。


 だがこのどうしようもない出自が行く先々で俺の邪魔をした。


 それでも俺は、貴族らしく生きようとした。


 剣術も学問も、誰よりも努力した。


 ……だが、周りは決して俺を"本物”とは見なさなかった。

 俺がどんなに努力しても、庶子であるという事実がどこに行ってもついて回る。


 ーーそしていつしか俺は貴族であること、貴族の誇りなどがどうでも良くなっていた。


 夜ごと馬鹿騒ぎに興じ、馬鹿な女を誘ってはその場限りの薄っぺらな愛を(うそぶ)くようになっていた。


貴族の社会にもいろいろあるんですね。

ランスくんも闇を抱えていそうです!


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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