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赤い侯爵と白い花嫁  作者: 杉野みそら
第十三章 不穏な影

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遊び人の片思い

ある夜。煌びやかな夜会にて男は一人で飲んだくれていた。

 ある夜。


 友人開催の夜会にて。

 侯爵家の次男、ランス・レオンハルトはワインを飲んでいた。


「おい、いつまでいじけてるんだ。ランス」


「……ラウル……今日は、夜会に呼んでくれてありがとな」


 ラウル・メルヴェイユ。俺の友人。いや友人というより、今夜のような社交の場で、飲みながら女の話をする飲み友達みたいなもんだ。


「まだカリスの嫁に執着してんのか?」


「……うるせえ。まだ何もしてねぇよ。考え中だ……なぁ、お前も協力してくれないか?アリア嬢をなんとか落としたいんだ」


 自由に酒が飲めるラウンジで、俺はバーテンダーからワインを瓶ごと奪い飲んでいた。


「……アリア。なんて可憐な響きなんだ。でもあの"氷の侯爵"の妻だろ?噂では侯爵の方がかなりご執心だそうだな。はは、あの"氷の侯爵"がねぇ……ま、軽薄なお前にゃ無理だ。諦めろよ。いつものお前なら、さっさと諦めて他の女を探していただろう?」


 ラウルの言葉を受けて、俺は呆れたようにため息を吐く。


「はぁ……お前はアリア嬢に会った事がないからわからないんだ。あの女性は……今時珍しく純粋で、どうにも侵し難い……」


 傾けたグラスの氷がカランと鳴った。

 また空になりやがった。俺はグラスに酒を注ぐ。


「ははっ、まさか本気になったのか?誰にも本気にならなかったお前が?」


「……本気?俺が?」


 まさか、俺が?

 アリアに興味はあれど、本気になどなるわけが……


「ああ、自分で気がついてないのか??はっは!これは面白い。いよいよ本気だな」


 煌びやかなホールに、シャンデリアの光が降り注ぐ。

 金と赤の装飾が夜の闇を追い払い、女たちの笑い声が銀の鈴のように弾けていた。

 誰もが愉快そうに笑っている。盃を掲げ、誰かの噂を肴に笑い転げる。


 ーー一昔前の俺なら、今頃あの空虚で軽薄な世界に同じように浸って、馬鹿笑いできたのに……


 今となってはただ虚しいだけ。俺はーー


ラウルはただの遊び仲間、飲み友達です。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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