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116話

 扉を開けた先には広い空間が広がっていた。ギリギリゼロを呼び出せるくらいは広い。部屋の中には、浮遊松明のような炎が浮かんでおり結構明るく奥の方まで見える。

 部屋奥のには金銀財宝が山のように積まれており、その山の上に肌の赤い人間サイズの鬼が胡座をかいていた。膝に頬杖をつき、こちらを睨んでいる。


 あれが鬼ヶ島のボスだろうか? 上半身裸でボサボサの白い髪は伸び放題。額からは、二本の長く黒い角が天に向かって伸びている。

 こちらを睨みつけているものの、襲いかかってくる様子はない。とりあえず様子見に、部屋の外から魔法を放とうとするが発動しない。中に入れってことか。


(でもこれ入ったら閉じ込められるパターンだよな)


 問題は勝てるかだ。到底かなわない相手だった場合、自分の冒険はここまでになってしまう。

 こういう時の為の鑑定眼だ。こちらを睨む鬼に対して使用してみる。余りにも強そうだったらレベルを上げて出直そう。

 結果は……強者のオーラを感じる相手。うん、わかっていたけどわかりにくい。今までも格上を相手にしたことはあるはずだ。

 問題はこの強者というのが、どの程度の差があるかだが……頑張れば勝てるのか、それともまったく歯が立たないのか、鑑定眼のおかげで、逃げ道のない時の無謀な突撃をしなくて良くはなったが、まだ検証が不十分なのですごく悩む。


「ちょっとまた後で来ます」


 一旦扉を閉じて退却し、扉前から少し下がったところにミニログハウスを出して中に入り、追憶の広間へと飛んだ。


「人間さん、いらっしゃいですにゃ」


「あれ、お兄さん用事は済んだんですか?」


「こんにちは。まだ終わってないんですが、ちょっと確認したいことができて来ました。ねこさん、追憶のダンジョンの第一階層にお願いします」


「かしこまりましたにゃ」


 ソファーでお松さんと雑談していたねこさんにダンジョンの扉を開けてもらい、一直線にボス部屋までむかう。

 ボス部屋に入ると懐かしのクイーンワスプが湧く。当時はビビリながらなんとか倒したが、ステータスも上がりスキルも増えた今、恐れる相手ではなかった。

 しかし、鑑定眼からかえってきた結果は強者のオーラを感じる相手だった。そんな強者のオーラを放つクイーンワスプは、シュナイダーに取り巻きごと瞬殺されて消えていく。


 その後各階層を巡り、ボスに鑑定眼を使ってまわったが、かえってくる結果はいずれも強者のオーラを感じる相手ばかりだった。

 他にもブラックドラゴンに鑑定眼を使ってみたが、こちらは丁度良い相手とかえってくる。その際にゼロにも鑑定眼で見てみたが、結果はシュナイダーと同じだった。


 検証の結果わかったのは、まずメダルを落とすような相手は、一律強者のオーラを感じる。

 次に雑魚モンスターだが、これはほとんどが格下というか楽に勝てそうな相手と出た。例外がブラックドラゴンくらいか。


「これは結局、ボスはやってみなくちゃわからないってことだな」


 現状自分より強い非ボスモンスターが居ないので、格上にはどう出るのかわからない。

 鑑定眼は普通に生活するのなら強敵を避けるのに役立ちそうだが、ボスも倒してまわるとなると、今一歩性能が物足りない感じだ。

 まぁそれでもボスモンスターと、非ボスモンスターを見分けられるのは助かる。検証を終えてミニログハウスに戻る。

 どうする? レベルを上げてから出直す? と問いかけてくるシュナイダー。


「いや、やってみよう」


 この鬼ヶ島ダンジョンは、竜宮城についた時のような隠しダンジョンの告知がなかった。

 恐らく普通のダンジョンということだろう。そしてあの鬼からは、乙姫のような底しれない感じはなかった。


「でも今日はダンジョン攻略と検証で時間も体力も使っちゃったし、一晩休んでからにしよう」


 シュナイダーは賛成! とクッションの上で寝転びまったりし始め、ゼロは俺何もしてないと元気があまっていた。


「明日はボス戦からだし、力を溜めておいてよ」


 わかったと引き下がるゼロ。夕食はさっきチャボさんのとこで食べてきたので、今日はもう寝るだけだ。二人におやすみと声をかけ、布団をかぶってボス部屋前で一泊した。


 翌日門番はまだリポップしておらず、昨日消費した魔力も回復して万全の状態でボス部屋に挑めることになった。

 再びボス部屋の扉を開けると、昨日と同じ体勢で鬼が待っていた。心なしかイラついているように見える。ここでまた帰ったらどうなるかな?

 冗談はさておき、今度こそボス部屋に侵入する。案の定部屋に入るなり扉が閉じられ、謎バリアが張られて閉じ込められる。


 待ちくたびれたぞと言わんばかりに、鬼は財宝の山から飛び降りると、こちら目掛けて走り寄ってくる。

 走り寄る鬼へ岩石槍を放つ。直後、鬼は高く跳躍し岩石槍をかわしこちらへ飛びついてきた。

 目に追えない速さではない。これならいけそうだ。

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