114話
鬼ヶ島ダンジョンは中々入り組んでおり、非常に面倒くさい作りになっている。
広間から侵入した場所は、どうやらダンジョンの中腹くらいの位置だったようでエリアをまるごと探索した結果、下り階段しか見つからず下に降りながら探索を進めていった。
そして十階程降りると、今度は下り階段が無くなり、降りてきたのとは別の登り階段を見つけた。
「何となくわかっていたけど、めちゃくちゃいやらしいダンジョンだよ……」
シュナイダーもちょっとうんざりした様子である。出てくるモンスター自体はオーガやブルーオーガばかりで、正直拍子抜けしている。楽勝過ぎて逆に罠なのではと疑ったりもしているが、いわゆるトラップ的な物にはまだ出くわしていない。
油断した頃にくるのかと思って警戒は緩めていないが、なんだか疲れてきた。
「これは……まじか?」
しばらく階段を登りマップを埋めていると、今度は上りと下りの階段を見つけてしまった。どちらから行こうか……下から埋めよう。
その後上ったり下りたりしていくと、なんだか岩肌のダンジョンには不釣り合いな豪華な扉の前に、巨大な二体の鬼が門番のように立ちはだかっていた。
向かって左側が牛の頭、右が馬の頭をしている。牛頭鬼、馬頭鬼というやつだろうか。牛頭が大斧、馬頭が凄いトゲトゲしい棍棒を持っている。
「どうみてもボス部屋だよな。しまったなぁ……」
最初の分岐で正解を引いてしまったらしい。マップスキルを見ると、ダンジョンにはまだ空白地帯が残っていた。
ボスを倒してから再度埋めにいくか、引き返して埋めてくるか凄く悩む。ボスを倒したとして、脱出が徒歩だったら帰りに埋めれば良い。
しかし最初の螺旋階段の広間に戻されるとしたら、ここから引き返した方が楽そうだ。
「よし、戻って埋めてこよう。そっちの方がスッキリする」
シュナイダーがマジで? と言ってくる。大マジだ。マップは埋める派なんだ。
来た道を戻り、空白地帯を埋めていく。道中の雑魚はシュナイダーがストレス発散とばかりに蹴散らしていた。
付き合わせてすまんけど、行ってない場所に何かあったらアレじゃない?
そしてそのマップ埋めが正解だった。空白地帯のエリアには体長一メートル程の一つ目目の鬼がいた。初見のモンスターで、手間が報われた感がある。
さっそく倒そうとするが、一つ目の鬼はこちらの姿を見つけると走って逃げ出してしまった。
逃げるモンスターは珍しい。以前ニンジャも逃げ出したが、あれは仲間のところに誘い出すという目的もあっただろう。
今回もそのパターンかと思い、追いかけてみる。もしかしたら他にも新しいモンスターがいるかも。
空白地帯を一つ目の鬼を追いかけてまわる。途中にいた他の一つ目の鬼も合流し、かなりの数の一つ目の鬼を追いかけることになった。
マップがどんどん埋まっていくが、一向に何も出てこない。ひょっとして、本当に逃げているだけなのだろうか?
とうとう一つ目の鬼の集団を行き止まりに追い詰める。観念したのか、こちらに向かって襲いかかってくるも非常に弱く、魔法で一網打尽だった。
「何がしたかったのか……」
110番 一眼鬼 アイテム1 体力の結晶(中) アイテム2 スクロール(鑑定眼)
ふむ、鑑定眼とな。さっそく使用して装備していた黒龍剣に使ってみる。
「……収納の説明と変わらない」
なんか思ったのと違うぞ。今度はシュナイダーに使ってみる。すると、自分より少し弱そうだ。と、感じる。
「これは、相手の強さを見るみたいな感じか?」
シュナイダーにも覚えてもらって、こちらを鑑定してみてもらう。なんだか強そうらしい。
「結構漠然としてる……でも良いスキルだな」
これで初見のモンスターの強さを測ることができるぞ。どこまであてになるかわからないけど。





