track_11 Marginal Man(4/4)
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「そういえばこんな詞を書いたんだ。アルバムに入らないかな」
マツ先生がニヤけながら自分が書いた詞を見せる。何か企んでいるようだ。
『WとM』
小さな頃 なりたいものは沢山あった
でも今は 自分に何が出来るのか
それすらもわからない
「10年後に何をしてるだろう」
昔からの友達が言ってた
そんなこと考えたくない
夢を見ている時 それは
自分が輝いている時
上から見てごらん
そこには不安と絶望しかない
子どもの頃の夢は
時と共に消える
どんなにあがいても
あの頃には戻れない
人に夢を与えたい 人は輝けるから
でも人に与えるほどの力があるか?
夢はまだ遠い
今すぐに力が欲しい
だけどとても怖いんだ だって
臆病な自分が顔を出してるから
子どもの頃の夢は
時と共に消える
それは大人になると
どこかへ消えるんだ
「何ですか、これ。こんなネガティブな歌、俺は歌いたくないですよ」
「一応俺たちはロックバンドだから、いつもポジティブな歌ばっかなのもね……たまには現実も見せないと」
思った通りの反応のにしやんに、笑いを堪えながら応えるマツ先生。
「……実はもう一つ書いてきたんだ。こっちの方が俺たちらしいかな。……どうだい? にしやん」
『Marginal Man』
俺たちはずっと 手探りで
ただひたすらに音を重ねた
性格も 故郷も 目標も
何もかも違う だけど
音が重なると奇跡が起こる
子どもの頃みたいに 反抗するし
喧嘩だってしてきた
悩み 苦しみ もがきながら
目指す何かに向かって
ひたすら走ってきた
周りは歓声を上げてくれるよ
だけど俺たちのゴールはそこなのか?
俺たちは走り続ける
まだやるべきことがあるんだ
ゴールへの道標はない
ただ進むだけだ
「さすが。やっぱりこっちの方がいい。『ザ・マージナルマン』って感じがするよ。タイトルもマージナルマンだもんね。タイトルに負けてなくていいよ」
「よくバンド名を入れようと思ったね。その勇気は素晴らしい。まあ、マツ先生のことだから、アルバムに入れてタイトル曲にしたかったんだろうけどね」
「最初の詞も嫌いじゃないけど。WとMって性格診断テストの形だよね。どっちかが楽天的でどっちかが悪魔的な性格じゃなかったっけ? ちゃんと覚えてないけど」
「俺は最初の詞も良いと思いますよ。メロディに乗せたらネガティブさは消えるでしょうから、これも曲をつけてみましょうよ」
それぞれが感想を述べる。
そしたらすぐにマージナルマンの最後のアルバムに入れる曲を決めて、ライブの準備までしないと。
かなりの過密スケジュールになってきた。こうなると逆にワクワクするメンバーたち。やっぱり準備段階を一番楽しんでいるのは昔から変わってない。
最後までこのままのマージナルマンで突き進んで欲しい。




