track_11 Marginal Man(3/4)
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「俺たち担任を外れたら、しばらく暇になるんですよね。俺、もう一回大学院に通おうかな」
バンドメンバーで今後の話し合いをしている時に、にしやんがこう言った。
「どんな感じの仕事内容か全く見えないけど、理事長が俺たちを休ませたいっていうこともあるから、ある程度時間に余裕は出来るだろうね。いいんじゃん? 自分のステップアップの為に勉強するのはいいことだ」
「大学院で何を学ぶんだ? 何を目指してるんだ?」
シゲとマツ先生が続けて声をかける。
「俺、もう一回教育について学びたいんです。たぶん、『15歳は第二の誕生』って言ってるのってうちだけじゃないかと思って。もっと広まって欲しいから、青年期の指導法を研究したいです」
「なるほど。すごく良い。それで大学教授とかになったらかっこいいよな。あとは全国で講演をして回るっていうこともありそうだ」
「みんなは、バンド解散後はどうやって過ごすつもり? にしやんみたいにやりたいことある?」
マツ先生は前から聞きたかったことを、この機会に初めてメンバーに聞いてみた。
「俺はスタジオを持ってるから、一人で曲を作ってみるよ。発表するわけじゃないけど、作業自体は好きなんだ。マエちゃんのバンドも俺のスタジオ使ってもいいよ」
シゲが最初に口を開いた。細々と音楽活動はしていくらしい。
「そうですね、レディオワンに戻ってまた大会とか出ちゃいますかね。俺とシゲさんは音楽続けると思ってましたよ」
マエちゃんはもともと所属していたバンドに専念するらしい。
「俺も家で一人でベース弾くよ。音を鳴らして指も鍛えておかないと、何か変な感じだから」
ナガちゃんもベースを続ける。
「にしやんは教育者を極めると。俺だけかー、何も考えてなかったのは」
「マツ先生はさ、国語の鬼なんだから。髭でも伸ばして仙人みたいにすれば良いよ。……あ、仙人っていうか武士の顔してるな。俺は青年期の教育だけど、マツ先生は国語道を極めれば?」
「俺はもうすでに国語科のラスボス的な存在だからな。みんな俺の顔見てビビってるじゃん。やるとしたら髭を伸ばすだけか……」
「いや、マツ先生。別に今決めなくていいんです。しばらく休んで、それからゆっくり考えていけばいいんだから。新しい仕事も始まるしね」
「にしやんに慰められちゃったよ」
バンド卒業の日が迫ってくる。メンバーたちにもそれぞれ新しい生活が待っている。今度は自分たちがそれぞれ成長出来るような、そんな日々を願っている。




