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Marginal Man  作者: 志藤天音
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ホームステイ〜由香里編〜(7/8)

〜〜〜


 日曜日には教会に行った。ほとんどの人がクリスチャンなのだろう、毎週教会に出かけてる。他の友達もそう言っていた。

 私は教会に行く習慣が無いから、わからないままその場をやり過ごす。どういう状況なのかわからないけど、みんなが起立すれば立つし、着席すれば座る。何か立ったり座ったり忙しなかったな。讃美歌も一曲も知らないので、クラウディアに何ページのここだと教えられて目で追うだけだった。とりあえずみんなが「アーメン」と言うタイミングで「アーメン」と呟いた。


〜〜〜


 朝、私は朝食の時間よりも早く起きてしまう。下に降りても誰も起きてないので、時間まで部屋にいる。いつからかファミリーに手紙を書くようになった。

 話し忘れてたこと、ちょっと言いづらいこと、思ったことを少しずつ書いてベッドに置いて出かけた。

 学校に行っている間に、ベッドメイキングしてくれていることに気付いて、ありがとうを伝えようとしたことが始まりだったような気がする。

 クラウディアが毎日読んでくれていて、感想を聞かせてくれる。フルーツが好きだと書いたら、毎日食卓にいろんなフルーツを並べてくれた。部屋のドアノブが壊れてて、出られなくて焦ったことを書いたら、学校から帰ってきたらもう直ってた。ウィリアムとジョージがイタズラしたから、ちょっと強く言ってしまったと伝えたら、ちゃんと叱ってくれてありがとうと言われた。

 そうやってコミュニケーションを取っていた。この家族は本当に優しい。私にとても気を遣ってくれる。家族として受け入れてくれている。大好きなファミリーだ。


〜〜〜


 ホームステイも終盤に差し掛かった頃、新たな留学生が増えた。ドイツ人の男の子二人組。私よりも年下だと思う。幼い感じがしたから。

 朝食を食べるために降りたら、普通にテーブルにいた。クラウディアから紹介されたから挨拶したけど、それっきりなかなか会うことは無かった。生活リズムが違うのかな、夜もリビングにいないし。コミュニケーション取らないのか、私がいるから遠慮してるのか。


 「ユカリ、もうそろそろでお別れなのね……」

 「はい……昨日は最後の日曜日でしたね」

 「そうね。今日は最後の月曜日よ」

 「寂しいです……」

 そんな話をしてしんみりしてたからかな。


〜〜〜


 学校が終わってから、またみんなで町に出た。

 CDショップで今売れているCDを買いたかった。店員さんに「今一番売れているミュージシャンは誰ですか?」と聞いたら笑われた。何? 何かおかしかった? 後でにしやんに聞いてみたら、言葉が丁寧過ぎて笑われたかもしれないということだった。そういえば、靴屋さんでサンダルを買った時も同じように笑われたような気がする。

 ランキング順に並んでる棚があると教えてもらったので見て、女性歌手のCDをジャケ買いして、後はオムニバスのCDを買った。

 それから、りっちゃんと何度も足を運んだ楽器屋さんで、とうとうギターを買った。わざわざイギリスで買わなくても良かったんだけど、思い出にね。これで頑張って練習しよう。

 後はスーパーでチョコレートを買ったり、洋服屋さんでコートを買ったり、それぞれ思い思いに買い物をした。

 海にも行った。この海の向こう側にはフランスがある。もうすぐ行くから待ってろの意味で、海の向こうを指差して写真を撮った。

 

 ホームステイ最終日の前日、久しぶりにロンドンに行ってミュージカルを観た。セリフはもちろん英語だから何を言っているかわからないけど、日本でもロングラン公演を行なっているぐらい有名なミュージカルなので、あらすじだけ把握していた。

 もう、素晴らし過ぎて言葉も出ない。歌を聴いて鳥肌が立ったのは初めてだった。あのメインの曲の一番盛り上がる部分を聞いて、魂の叫びを感じ取った。全身がゾワゾワっとして泣きそうになった。もはやあの一曲の記憶しか残っていない。

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