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30話 そこで二人は出会った

続きといえば続き

 私はリリー、六魔将の中でも最強を自負している。

 だから今は自分よりも強い奴を探して魔界を旅して回っている。

 しかし、強い奴には出会うことが出来なかった私は、人間界と魔界をつなぐ”死の森”に挑戦しようとしていた。


 そこは協定により通り抜けることは、禁じられているが、少し入るくらいなら大丈夫だろう。

 そこはレベルの高いハンターでも入らないので、強い魔物が好き勝手しているはずだからな、と森の前まで来ると……

 一人の()()が森の中から出てきた。


「お前……人間だな、ここで何をしているんだ?」


「お……」


 男は驚いた様な顔をしたまま、言葉を返さない。


「ん?言葉が通じないのか」


「あ、いや、あまりの美しい美女がいたものでついね」


「は?美女だと?ここにはお前と私しかいないだろ?」


「え……ははは、面白い冗談だね、僕と君しかいないということはとは君のことに決まっているだろう?」


「はぁ!?な、何を言っているんだお前は!?わ、私がび、美女だと?」


「うん」


 こ、こいつふざけたことを言い出して、そ、そうか話をすり替えようとしているのか……私は騙されないぞ。


「ふ、お前のかんがえていることは分かったぞ、とにかく何をしていたのか話せ」


「あ、そうだった、この森を()()()()()ことは黙っててくれないかな?別に悪さを師に来たわけじゃないんだ、もう帰るからさ」


「この森を抜けてきただと!?」


「うん、ちょっとの腕試しのつもりだったんだけど、気がついたら、外に出ちゃってさ」


「なるほど……ということはお前……かなりの手練れってことか?」


「は?え?手練れ?う~ん、どうだろう、一応向こうではS()()()()()って言われてたけどね」


「それがなんだかは知らないが私と勝負してもらおう」


「僕と勝負?なんで?」


「私は強い奴を探しているんだ、私よりも強い奴をな」


「ふ~ん、じゃ見つけたらどうするの?」


 見つけたらどうするだと?

 考えたこともなかったな……


「それは、その時にでも決めるさ」


「じゃあさ、もしも僕が勝ったら僕の言うこと一つ聞いてもらってもいいかな?」


「いいだろう、お前が勝つことが出来るなら、一つと言わずに何個だって聞いてやろうじゃないか」


「はは、大した自信だね」


 自信か……そんなものは分からない、()()()()()がないんだからな。


「いくぞ”インフェルノ”」


 私のユニークスキルであるこの魔法は、魔力を変換率百パーセントで炎に変えることができ、それを自由に操ることができる。

 普段はこの炎で追い込んで接近戦に持ち込み、この強魔剣アモンでかたをつける。


「へぇ、すごい火力だね」


「余裕そうな顔をしているが避けないと死ぬぞ?」


 迫り来る炎を奴は眺めているだけだった……言っているんだ何を考えているんだ?


「”アクセル”」


「ッ!?」


 突如として視界から消えた……一体何処に……


「なかなか良い魔法だね……ユニークスキルか何かな?」


「いつの間に!?」


 消えたと思っていた奴は、いつの間にか私の後ろにいた。


「もしかしてその炎で誘い出して、その腰ある禍々しい剣で自分に有利な接近戦に持ち込むつもりだったのかな?」


「勘は良い様だが、私の炎が避けられるからといって私には勝てないぞ?」


「どうかな?」


「これで終わりにしてやる」


 剣を抜き奴に斬りかかる。

 私が接近戦に持ち込むのは接近戦が特異だからではない、その方が確実だからだ、それに私には俊敏性もある、獣族とやるときには必要だったからな。


「なかなか身体能力も高いみたいだね」


「ふん‼はっ‼やぁあ゛‼」


「よっ、はっ、ふっ」


 しかし私の剣は空を斬る。


「何故だ……何故当たらない……」


「もう終わりかい?」


「まだだぁ‼」


 それから少し時間が経ったが、炎を使っても、間合いを詰めても、私の剣が奴に当たる事はなかった。


「はぁ、はぁ、はぁ」


「僕の勝ちで良いかな?もう気がついているよね?僕が何回君のことを殺ることができたか?」


「くっ……しかし、私は負けられないんだ、こんなところでは……」


「何故?強い奴を探しているんじゃなかったの?」


「私には戦い(これ)しかない、これで存在を証明出来なければ私には何も残らない……」


 そのために戦ってきた……自分自身の存在理由の為に。


「存在理由が、あれば良いのかい?」


「そんなものはないと言っているんだ」


「じゃあ僕の為に生きるってのはどうかな?」


「なんだと!?」


 急に何を言い出すんだこいつは……


「だから君は僕の存在理由になって欲しい」


「何故……」


「僕はね……強くなりすぎてしまったんだ、ユニークスキルのお陰でもあるけど、だから良く思うだよね、何のために生きているのかなって……そしたら君に出会った」


「……」


「正直なところ一目惚れってやつだったよ、運命を感じたんだ……最初勝負を挑まれた時は驚いたけど……戦っている君も美しかった」


「お前は人間で、私は魔人だぞ……分かっているのか?」


「種族なんて関係ないじゃないか、それに君は勝負に負けたんだ、拒否権はないよ?」


「なっ‼」


 ずるい男だ……だか何故だかそれに少し惹かれる自分がいた。


「どうするんだい?」


「私は戦うことしかできない……家事なんて出来ないし」


「じゃあ出来るようになって貰おうかな、()()()()聞いてくれるんだもんね?」


「くっ……女っぽくもないし……」


「じゃあ女っぽくなってもらわないと、今の君も良いけど、本音を言うとおしとやかな女の子が好みなんだよね」


「好き勝手言いやがって、この先、困難しかやってこないぞ」


「君が僕の女になるって言うなら、どんな困難だろうと乗り越えるし、君が僕の存在理由である以上どんなことがあっても守る、きっとこの力はこれからの為にあるんだと今なら思えるよ」


「欲張りな奴だな……」


「僕はね、欲しい物は何でも手に入れてきたんだ、そのために強くなったと言っても過言ではないよ」


「強欲な男だ……」


「で?僕の女になるのかい?」


「なろうじゃないか、貴方か私に存在の理由をくれるなら」



 これが私と金髪の青年ルイスとの出会いだった。

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