29話 私はレイラ
外伝ですね……前回の続きだけど、続きじゃない
私はとある町に生まれた。
そこの町から少し離れたところには絶対に入っては行けないという森があった、私は気も小さかったので、近づこうなんて考えもしなかった。
私には父親がいなかったが、母はそれについては教えてくれなかった。
そんなある時、一人の男性が家にやって来た、母は嬉しそうな顔をしていたが、出てきたのは悲しい顔をしながら『なんでも来たの?』『帰って』という言葉だった。
母に理由を聞いても帰ってきた言葉は、『これでいいの』『これが一番幸せなの』という言葉だった。
次の日母と共に町に買い物に出ると、中央の広場がなんだか騒がしい、少し嫌な予感がしたけど、お店の方向なので行くしかなかった。
広場が近づくと、私はまだ背が低くかったので人だかりで何も見えなかったけど、母は何かを見てしまったようだ。
今まで見たことのない顔をしていた、驚き、恐怖、そしてその中の悲しみが入り交じった様な顔を……私は今でも忘れない。
これは私が大人になってから知ったことだが、この世の中は基本的に混血を嫌うらしい、特に人間と……魔人のハーフは……
母はその後、私のことを悲しい顔で見ると、私の手を引き、家に引き返した。
「ど、どうしたのお母さん?」
「いいから‼今は家に戻るわよ」
何故か母は急いでいた、家に戻ると旅用の大きなバックに色々な物を詰め始めた。
一体何を見てしまったと言うのだろうか、母が何をしようとしているのかさっぱり分からなかった。
「お母さん?何をしているの?」
「もう、ここには居られないから、この町を出るのよ」
「え!?どういうこと?」
「とにかく貴方も……」
ガチャ‼
勢い良く家のドアが開けられる。
「リリーの家はここか‼」
リリーとは母の名前だ、何故母のことを?
「嘘っ‼なんでっ‼」
「お前がリリーだな、ついてこい‼」
「お、お母さん‼」
お母さんは町の兵士達に捕まれ連れていかれてしまう。
「お前が例の娘か、やはり髪の毛の色が同じだな、こいつも連れてけ‼」
「い、嫌‼離して‼」
子供の抵抗など意味もなく、私も母と同じように連行された、それにしても、なんで髪の毛の話を……
私には物心付いた時からの悩みがあった。
それは母と髪の毛の色が違うこと……母は茶髪だったが私のは金髪だった。
連れて行かれたのは、町の中央広場。
そこには、金髪の男が血だらけで吊るされていた、恐らく死んでいるのだろう。
母は泣いていた、私の前では見せたことのない涙だ。
吊るされた男の横にはこう書かれていた。
『血を汚した者』と
私にはその理由は、分からなかったが、分かることが一つだけあった、この人が私の父親であることが。
理由は分からないけど、本能がそう言っていた気がする。
「リリーさん、この男を知っているかい?」
「知りません」
質問しているのは、顔の怖いおじさん。
母は泣きながらにもそう答える。
「嘘は付かなくていいぜ、もうあんたとこの男の関係は知っているからな~」
「そ、そんなっ‼まさかルイスが……」
「一応こいつの名誉の為に言っておくが、こいつは最後まで口を割らなかったぜ」
「……うぐっ……ルイス……じゃあ‼なんでっ‼」
「こいつは口を割らなかったが、こいつの服のポケットにあるものが手紙と一緒に入っていたのさ……」
「一体何が……」
「これさ」
「それはっ‼」
それは指輪だった。
不思議に思ったことがあった、他の子供いるの母親は皆、指輪を付けていたが、母が指輪をしているところは、見たことがなかった。
「この人間の男は罪を犯した、が男としては尊敬に価するものがある、だから最後の手紙くらいは読んでやろう」
リリーへ
君には本当に辛い思いをさせていて、本当に申し訳ない。
あのとき君が死にそうだった僕を助けてくれたことは、忘れたくても忘れられない。
生活の足しになるようにお金は送っていたけど、それでも厳しい生活だったはずだ、だけど君と暮らす目時が付いたんだ、これからはもう辛い思いはさせない。
手紙と一緒に指輪が入っていたはずだ、それは今まで渡すことの出来なかった結婚指輪だ、これがきっと僕達家族を守ってくれるだろう。
というのが手紙の内容、そういえば昨夜来ていた男も金髪で、何かを渡そうとしていた様だったけど、これのことだったのかもしれない。
母泣いていた、さっきよりも……当時小さかった私には、分からなかったが、この時、母は自分の過ちに気づいていたのだろう。
「あんたのことは、前から疑ってたのさ、髪の毛の色の違う子供もいるしな、そして昨夜、あんたの家から男が出てきたと聞いてな、その後捕まえたのさ」
「わ、私が殺したも同然じゃない……」
「まあ、どう思うかはかってだが、男も最後には、後悔の言葉をいくつも言っていたよ」
恐らく母は昨夜、父を無理に帰らせてしまった事への後悔、父は無理にでも母と私を連れ出さなかった事への後悔だろう。
「この町では人間とこ混血は重い罪だ、この指輪でも眺めながら最後の時を後悔しておけ」
そう言って男は指輪を母に投げた。
「ああ、ルイス……ごめんなさ……これは……」
母は指輪を大事そうに胸に抱いた。
その時何かに気づいた様な表情をした母に私だけが気づいた。
「さあ、処刑の準備を進めろ‼」
「「はい」」
兵士達が私と母に近づく、良く見ると父の死体の左右には縄が二本吊るされていた、私達は今から殺されるのだ。
「レイラ、右の人混みの中に馬車が見えるでしょ」
「え、あ……うん」
すると母が話かけてきて言われる方向を見ると、馬車があった。
「私が時間を稼ぐからなんとかあそこまで走れる?」
「え、でもお母さんは?」
「お願い……」
全てを決意したような顔の母に私は言葉を返すことはできなかった。
「うん……」
「良い子ね……力貸してルイス……”バーニングウェーブ”」
その時母の持っている指輪が光、協力な爆風が周りの兵士達を吹き飛ばす。
私はそれと同時に馬車へと走った、突然の出来事に多くの観衆は驚き、道が空いた。
母は昔、ハンターをしていたことがあると聞いたことがあったけど、まさかここまでとは……
「な、なんだこの魔力は……もう魔法は使えないんじゃないのか!?まさかあの指輪か‼くそ‼子供を逃がすな‼」
魔法の発動範囲から逃れた兵士が追って来ようと、していたが、私は何とか馬車にたどり着くことができた。
中に乗ってたのは父と同じ金髪の男だった。
「良くたどり着いたね」
「あの……あなたは……」
「色々話したいこともあるだろうけど、今は逃げることが最善だ」
「分かりました……」
男は馬車を走らせる。
兵士がすぐそこまで来ていたが、馬車の速さに追い付く言葉出来なかった。
そのまま馬車は町を出てしばらくした。
「レイラ……」
「はい……」
「まず僕の名前だけど、ルイスって言うんだ」
「え……でも」
「驚くのも無理はないね、あそこで吊るされていたのは、とある魔道具によって作られた偽物なんだ」
「じゃあ貴方が……」
「会いたかったよ……レイラ」
私は考える暇もなく父に抱きつく。
「私も会いたかった……」
「でもごめん、お父さんはレイラと一緒に居られないんだ……」
「え……なんで……」
「今からお母さんを助けに行かなければ行けないからね」
「なら、私も……」
「それは無理だ、彼女と約束してきたんだ、僕達にもしものことがっても君だけは守るって」
「お父さん……」
「もっとレイラにお父さんって呼ばれたかったな……」
父の目から涙がこぼれ落ちる。
「ここか……レイラ、君にこれを託す、これはお母さんが昔使っていた、魔剣だ、今までは封印してあったんだ、これを持ってこのまま真っ直ぐ行くんだ、長い道のりにはなると思うけど、この剣が君を守ってくれるはずだ」
「分かった……」
「生きてくれ……レイラ」
父はそう言い残して、馬車で町に引き返していった。
「行かなきゃ……」
何処へ迎えば良いのかも分からないけど、今は言われた方向に進むしかない。
何時歩いただろうか……もう、辺りは真っ暗でほとんど何も見えなかった。
すると遠目に明かりが見えた、町よりもずっと大きくて明るい光が……
「もう少しで……あ……」
もう少し……もう少しなのに、私にはもう体力が残されていなく、その場に倒れてしまった。
「お父さん……お母さん……ごめんなさい」
そこで私は意識を手放した……
「この方角から微かな魔力を感じたんだけどな~、ん?誰か倒れているのか?子供!?こんなところに?なっ‼これは……」
最後に誰かの声が微かに聞こえた気がしたが、後のことはもう分からなかった……
評価なんて、いらない……読んでくれただけで嬉しい。
(というのは建前でブックマークも評価もマジ欲しい……)




