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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeα-
97/344

-Chapter40-

 急に電話が切れてしまったため、舞は困惑しているかもしれない。昨日は色々と多忙だったせいで、充電が出来なかったのがいけなかったな。なるべく早めに事情を伝えたほうがいいと思い、俺は近くのコンビニを走って探す。自転車が黒い奴に取られたことが今になって響くとは。幸いそれほど遠くないところにコンビニを見つけ、俺は充電器を買って充電を始める。携帯電話を再起動した後、俺は着信履歴から舞の電話番号に電話を掛けた。

「もしもし?」

 いつもの調子と全く変わらない舞の声が聞こえて、俺は応答した後になぜ通話が急に切れたかを説明する。

「……あぁ。まぁそれならいいわ。黒い奴の話をしていたから、私はてっきりそいつらに襲われたのかと思ってたから」

 舞は特に気にしていないといった風に話しかける。もしかして、俺が黒い奴に襲われたかもしれないということも気にしていないのか?

「それより、他に何か知っていることはある?」

 舞は先ほどの話題を再開させる。知っていること――黒い奴に関しては俺の方が知りたい方だし、これ以上の情報はない。怜という少女の情報も、誰だか分からない人間のことだし――あれ?

「怜、今怜って言ったか?」

 俺は怜という少女の名前を反復する。確か、朔と一緒にいるらしい見えない少女の名前がそうだったはず。

「何か知ってるのね? まずそっちの情報を教えてくれないかしら?」

 舞が俺の反応を見て、鋭く質問を入れ込んでくる。俺は舞の圧迫されるような口調に戸惑いつつも、怜という少女が朔と一緒にいることを説明する。

「――あぁ。それなら知ってるからどうでもいいわ」

 と、俺の情報は、舞に一蹴されてしまった。少し悲しい。

「これ以上得られそうな情報はないわね……じゃ、もういいわ。ありがと」

 舞はほぼ一方的に電話を切ってしまう。

「電話……そういえば、楓に新しい携帯電話でも買ってやるかな」

 少し値が張るが、今年いっぱい節約すれば何とかなるレベルの金額ではある。俺は家まで走って帰ると、母さんに今までの事情をある程度脚色して説明した後、財布を持って商店街に向かった。

「な、なんであんたがいるのよ」

 俺が向かった電気屋で、偶然にも舞と鉢合わせする。

「いや、楓の携帯電話が壊れたらしいから、俺が買っておいた方がいいかなって」

 簡単に今までの経緯を説明すると、舞は興味なさそうにそっぽを向いた。

「そっちはなんで電気屋にいるんだ?」

 今度は俺が聞いてみると、舞はこちらを見ずに、

「別に。説明しなくたって困らないでしょ?」

 と、そっけない返事をした。俺は説明したのに。ふと、彼女の両手に一つずつ携帯電話が握られているのが分かった。

「携帯電話、なんで二つもあるんだ?」

 俺がさりげなく聞くと、舞はこちらの方を振り向いた。その顔には少しだけ驚きの表情が見えた。

「使い分けがあるのよ。プライベート用と、パブリック用」

 そのまま舞は回答をする。パブリック用って、学生の身分の俺たちにそんな使い分けが必要なのか?

「ま、男子には分からないでしょうね」

 俺が黙ったままでいると、舞は少し見下すような視線で俺を見ながらそんなことを言った。確かに分からなかったが、そんな風に面と向かって言われるとなんとなく苛立ってくる。

「なんだよ、別にいいだろ、分からなくたって」

 俺は不満を口にする。その口答えにも舞は動じず、

「ええ、そうね。分からなくても何の問題もないわね」

 俺の横を通り過ぎながら、そんなことを言って電気屋を去って行った。何故だか分からないが負けた気がするのは俺だけだろうか。……まぁいい。今は楓の携帯電話を選ぶことに集中しなくては。

 携帯電話自体はそこまで性能のいいものが買えなかったが、代わりに楓が気に入るようにとピンクの猫のストラップを買ってつけてやることにする。杣が気に入るかは分からないが、きっと外したりはしないだろう。商店街を去って家に帰ろうとする途中、俺は反対側からフードを深く被った少女がこちらに歩いてくるのを見つけた。彼女は確か、

「弥奈さん、調子はどう?」

 弥奈、という名前だったよな。確か彼女は謎の少年の事件で大怪我を負い、病院で入院していたはずだ。外に出れるということは、退院したのだろう。

「え、あ、迅さん……。調子は、はい、そこそこです」

 弥奈は数度お辞儀をしながら返答する。急に声をかけられ戸惑っているのか、首がきょろきょろと辺りを見回している。

「それはよかった」

 俺はそう言いながら、会釈をして再び家への道を歩き始める。そして弥奈とすれ違った瞬間、彼女は俺の服を掴んできた。どうしたのだろうと思って振り向くと、彼女はフードで顔を隠したまま、

「あの……楓さんは、いないん、ですか?」

 と聞いてきた。彼女に楓のことを説明したことはないのに、なぜ彼女が知っているのだろう。俺は戸惑いのせいで少しの間動けなかった。

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