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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeα-
94/344

-Chapter37-

「あいつらは高い所までは追って来ないはずだから、これで一安心だよね」

 朔は少し自慢げに話しかける。その瞬間、俺たちの乗っていた円盤が消え、俺たちは氷の柱の上に着地した。朔はまた転んでいたが、何も言わないでおこう。

「そ、そうなのか……? それにしても、すごいなこれ」

 とりあえずさっき話していたことに答え、俺は改めてこの魔法の構造に感心させられる。魔法を応用させて、こんなことが出来るなんて、朔ってけっこうすごい奴なのかもしれない。

「まぁ、僕一人の力じゃないけど。そうだ、怜」

 朔は少し照れながら、俺とは反対の方向を向く。そこにどうやら怜という少女がいるらしい。

「この氷の柱も無から作ったものだよね? だから時間が経ったら消えちゃうのかな?」

 どうやら、この氷の柱は怜という少女が作ったものらしい。さっきの円盤は本当にただの円盤であったが、この柱は少しデザインが凝っていて、彼女の方が魔法の使用に慣れていることが分かる。……しかし、ここでずっと立っていると、足が滑らないよう必要以上に足に力がかかるので、足が疲れてしまう。しかし、腰を下ろせば冷たい氷の温度を直に感じることになる。短時間なら問題ないどころか冷たくてありがたいのだろうが、長時間そこで腰を下ろしていたら、低温やけどでも負ってしまいそうだ。

「ここで夜明けまで待つのか……まぁあんな奴らの餌食になるよりはマシだけどなぁ」

 俺は朔のやったことが間違ったことではないと分かってはいるが、ちょっとだけ不満をこぼした。低温やけどのこともあるが、それ以上に楓のことが心配だった。俺があいつらに襲われなかったとしても、楓が襲われてどうにかなってしまったとしたら、俺は立ち直れる自信がない。

「別にここから帰れる方法が見つかるなら帰っていいんじゃないかな。暫くはここで安全だと思うし、じっくり考えられるよ」

 朔は俺の不満そうな呟きに対して、フォローをいれたつもりのようだ。ただ、それはあまり効果的なフォローではない。ここから帰れる方法が見つかるなら、ということは、帰れる方法が見つからなければ帰れないということで、更に今行動をおこしていないということは、帰れる方法が朔は思いついていないということだ。俺はそのことについて口を開こうとしたとき、

「ごめん」

 朔が、俺とは反対の方向を見て、謝った。一瞬俺はさっきの一言について謝ったのかと思ったが、反対の方向を見ていることと、その謝ったときの声があまりにも真剣味にあふれていたことから、全く別の、しかも俺の不満なんかよりもずっと大事なことに謝罪していることが分かった。

 それから、朔は何度も謝罪の言葉を口にしていた。朔の言葉しか聞こえていないのだが、なんとなく怜という少女がどういうことをしていたのか、そして朔がどういう反応をしたのかは理解できた。そして、そのやりとりが一段落したこ頃、不意に――朔が倒れた。

「――朔ッ!?」

 最初はただ疲れて倒れただけだったのかと思ったが、その後呻くような声を上げていたので、俺は彼の非常事態に困惑し、なんとかしようと思って朔に近づく。呻き声は暫く止まない。一体何があったんだ?

「もう……大丈夫」

 呻き声が止み、朔はうっすらと目を開けながら言った。とりあえず大事に至らなくてよかった。俺は安心して、溜息をついた。それと同時に、朔が俺じゃない方を向いて話しかける。

「怜……僕たちって、どこかで会ったことがあるの?」

 その言葉に、俺の頭の中には疑問符が浮かんでいた。今までの会話から察していたことは、朔と怜という少女が知り合いであることだったのだが、どこかで会ったことがあるか、なんて質問は基本初対面のときしか使わない。もしかして二人は初対面? ……なんてことを考えても仕方ないな。

「さて……どうやって家まで帰れるかな……。朝が来るまで待つのもちょっと大変だよね。まぁここでじっとしていたら朝は来るけどさ」

 朔は話題を切り替え、どうやって家に帰るかを考えていた。――朝が来るまで待つか。朔と怜という少女はそれでいいかもしれない。だが、俺はそうはいかない。楓の身が心配なのだ。

「それなんだけどさ。もしかしたらあいつら、朝になってもいなくならない、なんて奴等だったらどうするんだ? もしかして永遠にこのまま?」

 俺は朔の意見に反論する。朔は親指を口に当てて考え込んでいた。ふと、誰かに耳打ちされたような反応を朔がする。おそらく、怜という少女が耳打ちしているのだろう。

「そうだなぁ……ねぇ迅、一旦僕の家に行ってもいいかな?」

 少し悩みながらも、朔は俺にそんな提案をしてきた。悪くはない……んだが、この近くに楓がいることを考えると、この場所を離れる訳にもいかない。

「いや、俺まだ人を探さないと――ん?」

 俺が理由を説明し断ろうとしかけた時、携帯電話が鳴った。

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