表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeα-
47/344

-Episode46-

 杣は何かを呟き終え、辺りには妙な沈黙が下りる。

「一応、これで解けたとは思う。確認しないと確かなことは分からないけれど」

 二、三度深呼吸できそうな間の後、杣は小さく呟いた。

「ん、どうも。私はまだやることがあるからここに残るけど、あんたたちはどうするの?」

 舞はそう言うと近くの物陰から何かを取り出してしゃがみ、何かの製作を始めたみたいだった。

「ぼ、僕はその……色々聞きたいことがあるんだけど」

 僕は控えめに二人に尋ねる。この出来事に関して残っている謎に、まだ関心があるのは僕だけかもしれない。けれど、二人にはまだ僕の知らない何かを知っている気がして、聞かずにはいられなかった。

「聞きたいこと、ね。じゃあ私が答えられることは答えようかな」

 その発言に最初に反応したのは杣だった。舞の方は、

「じゃああたしはこっちに集中するから。話し終えたら教えてちょうだい」

 と言った後、また製作に取り組んでいった。

「さ、まずは何から聞きたいの?」

 杣が僕の方を見て聞いてくる。僕は頭の中で考えて、重要そうなことから聞いていくことにする。

「さっき、彼女以外を救うため……って言いましたよね? あれはどうしてなんですか?」

 その質問に、彼女は溜め息を吐いて、

「ごめんなさい。さっきも言ったけれど、この出来事に関しては何も答えられない――というよりは、答えれば答えるほど疑問がこじれていってしまうと思うの。だから言えない」

 と答えた。彼女はこの出来事に関しては何も答える気がないらしい。じゃあ僕が質問する意味がないじゃないか。

「え、それじゃあ僕、帰ります……」

 ちょっと失礼かもしれなかったが、舞は作業に集中していたし、杣はなんとなく責められないとはいえ怜をあんな目に遭わせた張本人だ。それくらいの失礼は許されてもいい気がする。僕はそのまま裏通りを去ろうとすると、

「待って、じゃあ私から一つだけ質問させて」

 僕の服を杣が掴む。僕が振り返ると、彼女がひどく心配そうに僕を見ていた。その目を見ると、僕はどうしてか立ち止まってしまう。

「君にとって……怜は君の何?」

 その質問は、僕にとって予想外のものだった。もしかしたら前みたいに体調について聞かれるのかと思っていたのだが。僕はその質問に、すぐに答えることは出来なかった。考えたことは、何度かあったかもしれない。怜は、僕にとって何なのか。彼女は自分を僕の彼女だと言っているが、それは彼女の考えで、僕の考えじゃない。だとすれば、僕は怜を僕にとっての何だと思っているんだろう? 迷惑な他人? 友達? 親友? どの答えもしっくりこない。なんだかもやのかかったような感情が、はっきりと姿を現してくれない。僕は何度か目を泳がせて、頭を一度抱えて、答えた。

「怜は……自称、僕の彼女、かな」

 回答を、逃げた。まだ僕には判断できない。僕のその答えに、杣はちょっとだけ複雑そうな顔をしたのち、カタクリのような笑みを浮かべた。

「その言葉……否定は、しないんだね」

 杣の今の言葉に、僕は首を傾げた。

「杣さん、この言葉、知っているんですか?」

 正確には、この言葉を僕が言われたことがある、ということを。しかし杣はそれには答えず、

「ごめん、なんでもない。さて、私からの質問も終わったから、帰ってもいいよ」

 まるでそこには触れてほしくないかのように、僕を追い出すように掴んでいた服を話した。僕は何か言おうとしたが、言葉にできることがなくて、開いた口を閉じてからその場を後にした。そして家に帰る途中、僕は一人でこの出来事を整理した。

 怜にかかっていたのは、「呪い」というものらしい。そして杣は「怜以外を救うため」に呪いをかけたのだが、僕が今まで呪いの影響を受けずに怜と一緒にいたことから、「呪いの成果がなかった」ため、呪いを解くことになった。彼女は「影」の魔法が使えるし、成果のあるなしを監視でもしていたのだろう。しかし、そこで思考は止まってしまう。どうしても分からないのは怜以外を救う、という杣の理由だ。怜の存在が認知されていると、何があるのだろうか。何も起こらないと、僕は思うけれど。

「疑問があっても、それを解消できないんじゃどうしようもないか」

 僕は二回首を振って考えることを中断する。心の中にはわだかまりが残ってしまったが、今それに向かい合っても何の成果もない。……ふと、僕はポケットに携帯電話が入っていることを思い出す。そういえばこの携帯電話を返すのを忘れていたな。ついでに言えば、履いている靴も。そんなことを考えながら携帯電話を眺めていると、前方から誰かが走ってくるのが見えた。あれは、迅だ。僕は簡単な挨拶をすると、

「ん、朔か。あの時は世話にな……!?」

 突然、驚いたような表情で僕、いや僕の手元を見ていた。

「どうして……お前が楓の携帯電話を持っているんだ!?」

 その言葉に、僕はどんどん話がこじれてきているのを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ