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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeα-
39/344

-Episode38-

「なぁ、さっきから何やってるんだ?」

 僕の一連の行動に疑問を抱いたらしい迅が、僕の方を見ながら尋ねる。僕はゆっくりと立ち上がり、怜をそっと起こす。

「えーと……長い話になるけど、いいかな?」

 僕は迅に少しだけ怜のことを話すことにした。怜が止めてくる様子もなかったし、重要な部分をかいつまんで説明する。迅は話を聞き終えると何度か頷いて、

「なるほど……つまりその怜って子も俺たちみたいにあの黒いのに追いかけられて、ここに逃げてきたのか」

 状況をほぼ完全に理解していた。ふと、僕はあることを思い出して怜に尋ねる。

「あの板を使って空中に逃げたりは出来ないの? 僕の予想だけど、あの黒いのは空を飛んだりできないと思うんだ。なんていうのか、地面に縛り付けられているみたいで」

 僕のその問いに、怜はあるものを取り出す。それは真っ二つに割れた板だった。

「私も逃げようとしたんだけどね。変なののせいで板を折られちゃって。このまま逃げようともしたんだけど、コントロールが効かなくて使えなかったよ」

 怜は肩をすくめて話す。ふと、迅が声を掛けてきて、

「なぁ……あの黒いやつらって、どこまで追ってくると思う?」

 と聞いてきた。どこまで――それはあいつら自身にしか分からないことだとは思うが、一瞬頭によぎった予感に嫌な汗が流れてきた。

「実際、もう少しで月が沈む。そうなったらここも安全じゃなくなるんだ。もしその時にあいつらが追ってくるとしたら――」

 それは考えうる限り最悪の事態だった。もし、ずっと――永遠でなくともこの夜の間――あいつらが僕たちを追いかけてくるとしたら、僕らは次第に逃げ場を失い、捕まってしまうのだろう。しかし解決策は一向に見つからない。

「……悪い、ちょっとマイナス思考だったな」

 迅が申し訳なさそうに頭を下げる。確かにマイナスな思考ではあったが、現実的ではあったと思う。ただいたずらに時間が過ぎていく中、僕は一つのことを思い出す。

「そういえば迅の探している人はどこにいるんだろうね? 僕の場合は見つかったけれど、迅は見つかっていないんでしょ?」

 迅は困ったような顔をしつつも、頷く。

「本当にどこに行ったんだろうな。あいつのことだから黒いやつらからは逃げられてると思うんだけど……」

 あいつらから逃げられてる、って、迅の探している人はどんな人なんだろう。少なくとも僕はあんな訳の分からないものから逃げ切れる自信がない。実質ペンダントがなかったら捕まってしまっていただろうし。

「……あれ? そのペンダント、何?」

 僕がロケットペンダントを見つめていると、怜が声を掛けてきた。

「あぁ、これはさっき拾ったんだ。ほら、中に鏡があるんだよ」

 僕はロケットの蓋を開けて鏡を見せる。そういえば、中に入っていた写真はポケットにしまっていたな。僕はそれを取り出して、怜に見せる。

「あと、この写真――この中に入ってたんだけ、ど?」

 その写真を見た途端、怜の表情が変わった。何かに驚いているようでもあり、また何か見落としを見つけたような、失態を犯したような表情をしていた。僕がそんな怜を見つめていると、

「あ、えっと……この写真の人、私によく似てるね。もしかして私の生き別れた双子の妹? なんちゃって」

 ごまかしきれない表情で嘘を言っていた。ただ、それ以上追及しようとしても話題を逸らされてしまうので話は曖昧なまま終わる。そんなやりとりを

しているうちに、広場に差し込む月明かりは少しずつ暗くなり始めていた。

「あ、そうだ朔君、これ」

 怜はどこからかガラスの瓶を取り出して渡す。そういえばこれ、あの少年のもとに向かう時にも受け取ったな。僕の命を救って、彼の命を奪ったものだ。僕が少しだけ受け取るのをためらうと、

「お守りなんだから、大事に持っておかないと駄目だよ?」

 と不満そうな顔をされ、無理やり押し付けられてしまった。

「そうは言っても……一体何なの? これ」

 僕がこの瓶について聞くと、

「そうだね……私も仕組みとかはいまいち分かってないんだけど、一時的に魔法の力をこの中に封じ込めて、瓶が壊れた時……具体的には瓶が割れた時とか蓋が空いた時とかに、その魔法が発動するようになってるの」

 怜は瓶の説明をしてくれた。そういう仕組みだったのか。つまりあの時は瓶が割れたことで魔法が発動し、氷の槍が形成されたのか。

「その瓶を私はよく『魔法瓶』って呼んでるけどね。その瓶のメリットは、発動する魔法が瓶の持ち主、具体的には瓶が割れた瞬間最も近くにいた人間に魔法の『主導権』? って言うのかな。とにかくどんな魔法を使うかを決められるってことだよ」

 ……怜の話をまとめると、これは要するに水の魔法を一回だけ使える瓶らしい。僕はガラスの瓶を眺める。ふと、頭の中に一つのアイディアが浮かんだ。

「怜、ちょっと協力してもらってもいいかな?」 

 僕の言葉に、怜はきょとんとしながらも頷いた。

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