第44話 天使様ぁ?
なっ、なんで買ったの〜!
路地裏でフュージョンを解いて、着替えをしているのですが……
なんで? なんで孤児院に〜!
そんなの打ち合わせにはなかったですよね。
「まあ、フュージョンの時間長くなったからね。早く終わりたかったんだよ」
それはそう……だけと!
「いいじゃん。ルツィナは早く金貨を減らしたかった。できれば孤児院に寄付でなくしたかったんでしょ」
そうだけど……。
「現金で寄付してもダメみたいだし、ルツィナが使えるように手紙書いたし。オーブン使えるようになったら、いろんな料理を作れるようになるしね」
そうだけど……。
「あんたはおいしい料理を作ってあげたらいいんじゃない」
おいしい料理を作る? そうだね。そうしましょうか。
「よし! じゃあ孤児院のために料理器具買おうよ。包丁も使い物にならない感じだったでしょ」
そうね。料理用の道具なら、そんなに目立つ買い物じゃないし。まとめて寄付して置いてきましょう。
包丁、まな板、鍋、ザル、ボウル。フライパンに布巾にトング。などなど。
さっきあれだけの金貨見たせいか、金銭感覚おかしくなった? まあいいよね。寄付するためのものだし。
今日は夜にお客様が来るから、孤児院には早めに行って料理作ってしまいましょう。
◇
「天使様! 神父様、天使様……いえ、ルツィナ様がいらっしゃいましたー!」
えっ? 天使様? サニーさんいないよね。
「天使様、お願いがございます」
えっ? もしかして、私が天使様?
「私に料理を教えてくださいませんか!」
(ルツィナ、天使様だってぇ)
やめて! 違うから!
「どうなされました、天使様」
「……ルツィナ」
「はい?」
「ルツィナ……って呼ん、で……」
えっ? なんて笑顔!
「はいっっっ! ルツィナ様ぁ!」
(ふはははは。天使様! ルツィナ様!)
うるさいっ! なんでこんな感じになっているの?
「ルツィナ様?」
「おいおいカナ。そんなに詰め寄るな。ルツィナ様は、おとなしいお方ですよ」
神父様がなんとかしてくれそう!
(まあ、あんたに料理習いたいってよ。どうする?)
どうするも何も……私が教えられると思う?
(腕はあるんだけど……無理かな?)
無理です!
「わ〜! 天使様だ!」
「天使様! おいしかった!」
「また作って〜!
「天使様!」
「一緒に遊ぼう!」
うわ〜! 子供たちが集まってきた〜!
いろいろ言われてる〜! 手を引っ張られてる〜!
(人気者じゃん!)
いらない! 人気いらない!
何楽しそうに笑っているんですかっ!
ああっ! もう〜!
「これこれ、ルツィナ様、はまだお祈りもなされていないご様子です。まずは心静かに祈らせてあげなさい。皆、礼拝室から外へ出て、おとなしく待っているように」
さすが神父様です。カナさんまでいなくなりました。
とりあえず拝みましょうか。うん。サニーさんにでいいかな?
「サニーさん。今日はお客様が来るから、夕ご飯他で食べてください。もしかしたら、明日も夕方、他の人が来るかもしれません。しばらく来ないほうがいいのかもしれません」
(ええっ! なんですって! 私のご飯……。私の癒しが〜!)
あっ、サニーさんいた。
(それだけを楽しみに仕事しているのに〜! あっ、はいっ! すぐ戻ります! えっ? 何でもないですから!)
(大変そうだね、サニー)
本当に。
(ルツィナ、スイートポテト出して。お供えしましょ。可哀想だし)
そうだね。また作ればいいし。
「どうぞ。お供えです」
カバンから出したスイートポテトは、あっという間に消えてなくなった。
「お祈りは終わりましたか。ルツィナ様、少しお話をしてもよろしいでしょうか?」
神父様が、応接室へ来るように私に願い出ました。
まあ、いろいろ寄付もあるから、お話に行きましょう。




