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第八話

 あー昨日は楽しかった!

 お城へ行って王様や王子様達と出会えたことは嬉しかったし、少しだけどお話も出来て幸せ。

 でも、帰ってからも面白かったのよね!



 お父様が私に安静にしていなさいってずっと傍に居てくれて、最初はお母様が見てくれていたのだけど、お父様が追い出しちゃった。

 そのくせ、事あるごとに「ダリア、アイラが喉が渇いているそうだ、水差しを」とか「ダリア、子守唄を歌ってやってくれ」って感じでダリアに頼りっぱなしだったのもポイント高いわ!



 ちゃんと人を頼れる性格の人は好きだし、少し頼りなさそうな所も母性本能を(くすぐ)られちゃう。

 お母様もお父様のそう言う所が好きみたい。

 追い出された時もお母様はご機嫌だったしね。


 

 今日も素敵な一日になりそう!

 そう言えば応接室で、客人を迎えているんだったわ!

 相手はなんとジャービス第二王子!



 昨日の今日だと言うのに、はっきり私に会いに来たと言ってくれているのよ!

 子供だから興味は無いのかと思っていたけど、どうしましょう!

 いきなり「俺のものになれ」なんて言われちゃったら私、逆らえないわ!

 強引に迫られると弱いのよね、それに私いまフリーだし……



 召使いの一人が私を呼びに来たので応接室まで連れて行って貰い、ドアを開けて中へと入る。



 ちゃんと貴族らしいご挨拶をして席へ着くと、すでにお父様とジャービス第二王子はお話しをしていたみたいね。



 「……バーンアストライド卿、ついこの間まで盗賊に育てられていたと聞いて居るのですが、アイラにはここに来てから貴族の作法を教えたのですか?」

 「そうだよ、ジャービス王子。 アイラは凄く飲み込みが早いのだ。 それにとても思慮深く、大切な事をきちんと理解している天才児でもある。 とても愛嬌もあって、可愛らしいと思えば時頼見せる大人っぽい仕草に、子供の持つ以上の魅力が引き出され、親の私でもドキッとするような瞬間がある。 これ程の魅力を持っている事を私は嬉しく思っているが、その反面それは不安でもあり、普段から接しているカインには――」

 


 「バーンアストライド卿、その辺りで結構。 アイラと二人で話がしたいのですが、宜しいでしょうか?」

 「アイラはやらんぞ!」



 「そう言う話しではありません。 ただ、研究塔での出来事で確かめておかなければならない事がありますので。 それに、アイラにはレベル5を宣言している。 僕の面談無くしてこれは解かれる事は無い」

 「レベル5……わかった。 私はこの部屋を退室しよう……だが、もしそれが解かれる事が出来ないと言うのであれば……」



 「ご心配無く。 レベル5は必ず解かれると約束しましょう」



 レベル5って何かしら?

 なんだか少し不安になっちゃうわ。

 お父様が出て行き、しばらくしてからジャービス第二王子が口を開いた。



 「アイラ、僕は君が普通の子供では無いと確信している。 心当たりがある様なら話してもらえるか?」

 「え? 普通の女の子よ私?」



 「解読の糸口すらつかめていない文字を一目見て読み上げた。 それに病原菌と言う概念は最近になって研究塔で発見されたものだ。 それを何故普通の人間が知っている? そして、アオカビの話しだが……驚くべき結果が見られた。 普通の人間であるはずが無い」

 「ああ、その事ね! でも普通の人間って言うのは本当の事よ! ただ、私には前世の記憶があるの。 その世界はここより科学や医療技術は発展していて、解読できなかったって言うあの文字を使っていたから読めたってだけよ!」



 「……納得のいく答えだ。 その事を他の誰かに話す事を禁ずる。 約束を破れば相応の対応……いや、はっきり言っておこう。 アイラを殺す事になる」

 「えぇ……言わなければいいだけだし、大丈夫だけど、それ程大変な事なの?」



 「当然だ。 レベル5と言っていただろう。 あれは研究塔の判断の元で行える権限で、一週間以内に解かれなかった場合、全力で対象を排除する事を意味する。 レベル5を宣告されれば王であっても研究塔の指示なくしてそれは解かれない。 どんな場合にその権限を執行するのかと言われれば、研究の結果世界が重大な危機になりえると判断した場合にのみ行使できる」

 「私が世界に重大な危機を与えるのだと判断したわけなの? 大袈裟だわ」



 「大袈裟でも何でもない。 あの文書は実際に世界を重大な危機に陥れた魔王の残した文書だ。 読めるだけでも十分レベル5を執行するだけの理由がある。 これを読んで見ろ」

 


 魔王!? でも確かに魔法とか使ってたみたいだし、ここってファンタジーの世界なのね。

 また日本語で書かれた本かしら? 今度は危険な目に合うのは嫌だし、声に出すのは文書を確認してからにしましょう……

 これって……

 危険はなさそうだし、文書を口に出して読み上げる。



 【私は死んじゃったけど、元気に生きています。

  どういう事かと言うと、新しい世界で転生しました。

  私はこの世界の一人として、無くてはならない存在として生まれ変わった様です。

  神と同等の力を持った精霊の導きによって、私は魔王を討ち倒さなければならなくなってしまいました。

  この文字を読める人が現れるのか分からないけど、同じように日本から転生した人がいたら役に立てる様にこの本を残します】



 「って書いてあるんだけど……これでいいのかしら?」

 「成程、解読の仕方を教えて貰えるか?」



 私は丁寧に文字を訳していく。

 けど、駄目みたいね。



 「どうやらこの文字は見る人間を選ぶ様だな。 全く理解できない」

 「その様ね。 同じ文字なのに、同じじゃないって感じるのは不思議だわ。 実際にはどんな風に見えているの?」



 「僕にはこの文字達が形を変え続けている様に見えている。 そう言う技術があると言う訳ではないんだな?」

 「無いと言うか、あるかもしれないけど、その場合私には解読できないわね」



 「成程、察しは付いているとは思うが、これは魔王と戦った勇者の書き残した本の切れ端だと言われている。 僕達では訳す事が出来ないのだから、アイラが持っていた方がいいだろう。 他にも同じ文字で書かれている文書が研究塔にはある。

  定期的に通って貰う事になるが、構わないか?」

 「いいわよ! ミゲルちゃんもお花を見せてくれるって言ってたし、ジャービス第二王子にも会いに行ってあげるわ!」



 「ああ、待っている。 大丈夫だとは思うが、その本を読むときに危険な言葉があれば、研究塔で安全を確保してから言葉にしてくれ」

 「ええ、分かっているわ。 あんな目に合うのは二度とごめんだもん!」



 「それじゃあ僕はレベル5を解きに研究塔へ戻る」

 「見送らせてもらうわね」



 屋敷の表までジャービス第二王子を見送った後、すぐにお父様が私に話を聞きに来た。

 転生した事は話せないから、言葉を選んで安心していいと言う事を説明すると、ほっとしてくれたみたい。

 でも、その日はお父様のお部屋に泊まる事になっちゃった。



 愛されてるって実感すると、優しい心が広がっていくみたいで幸せ。

 お父様の隣は凄く居心地が良くて、私はすぐに寝付いてしまった。

お願い。


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