表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/29

第二話

 子供の私が何をしても無駄だった。

 イケメン王子と二人きりだけど、お父さんの事が心配で浮いた気持ちになんてならない。

 きっと酷い目に合っているに違い無い……よりにもよって公爵の娘だったなんて……

 馬車に揺られて途方に暮れていると、イケメン王子が話しかけて来る。



 「ごめんね。 でも、君には居るべき場所があるんだ。 今は無理かもしれないけど、許して欲しい」

 「お父さんは……無事?」



 「無事……じゃないかもしれない。 でも、こうしなきゃいけなかったんだ」

 「立場があるものね。 あなたの事を恨むつもりはないわ」



 「ありがとう。 僕はカイン・アルベルト。 爵位(しゃくい)伯爵(はくしゃく)で三つの領土を王から預かっている」

 「貴族のお話なんて分からないわ。 少し、一人で考える時間を頂戴」



 この歳で伯爵だなんて凄いわね。

 きっと色々な事をして来たんだと思う。

 虫も殺さない様な顔をしているけど、沢山恨みを買っているかもしれないわね。



 でも、そんなミステリアスな部分があっても良いんじゃないかしら?

 見た目通りの優男よりもずっと素敵。

 そう言えば、私が抱き上げた時、細いのに凄い(たくま)しいと感じたわ。



 いつまでもクヨクヨしてちゃいけないわね!

 お父さんの事は心配だけど、気を取り直さなきゃ!



 途中で馬を休ませる為に休憩を挟んだりしながら、目的の屋敷に着く頃には日が沈んでいた。

 私はカインに馬車から下ろして貰い、沢山の召使いに出迎えられ、屋敷の中へと入る。

 


 カインに手を引かれ、屋敷の奥へ連れていかれると、一つのドアの前で立ち止まった。

 ドアをコンコンと二回ノックした後、返事があったので中へと入る。

 中に居たのは……


 

 ブロンドヘアーのイケオジ!?



 よく見ると生え際は白髪になっちゃってるけど、年を取る事も人の魅力の一つ!

 悪く……無いわね。

 鼻筋が通ってて特徴的だけど、一番目立つのは薄くて綺麗な唇。

 中性的な顔立ちも相まって、髭が生えていなければ女性と言われても気が付かないかもしれないわ。

 


 でも、少しやつれている感じ。

 茂みに隠れたジャガーみたいな目をしているから、きっとこの人は超真面目で色々な苦労しているんだと言う事が見て取れる。



 「バーンアストライド閣下、お嬢様をお連れ致しました」

 「ああ……私が、誰だかわかるか?」



 んん?

 この人が血の繋がったお父さんなのは分かるけど、人見知りなのかしら?

 殆ど初対面の年端もいかない女の子相手に、不器用な聞き方ね。

 そう言うのって母性本能を(くすぐ)るのよね、私がしっかりしてあげないとって思っちゃう!



 でも、この人をお父様って呼ぶのには抵抗があるわ。

 だって、私のお父さんは元盗賊の頭目だったあの人なんだもの。



 「私は盗賊だったオルテガの一人娘アイラ。

  あなたの事は知らないわ」



 あぁん! 露骨に悲しそうな顔をして! 今にも大粒の涙が零れ落ちそうな顔を……

 今すぐにでも慰めてあげたい。

 けど、私にだって譲れないものがある!

 どうしたらいいのかしら? 困っちゃうわ……



 「そ……そうか。 カイン、私の事が分かる様に説明してやって貰えるか?」

 「待って! あなたの事を血の繋がった本当の父親なのだと私は理解している。 その上で私のお父さんはオルテガだと答えたのよ、バーンアストライド公爵様」



 「そんな……馬鹿な事があるだろうか……

  私が父親なのだ。

  私を……お父様と呼んではくれぬのか?」

 「お父さんがどうなったのかを知りたい。 会わせて貰えるかしら?」



 「……分かった。 兵が(とら)えているのであれば会わせてやろう」

 「兵を向かわせたのは、貴方ね。 兵には何て命じてあったの?」



 「…………」

 「お嬢様、兵には僕から命を下しました。

  賊を捕らえ、バーンアストライド公爵のご令嬢をお連れしろと。

  抵抗があった場合は……殺しても構わないと」



 「理解したわ、バーンアストライド公爵」



 私は走って部屋を飛び出し、案内された道を(なぞ)って出口の方へ向かった。

 でもやっぱり駄目だったみたい。

 出口に辿り着く前にカインに捕まってしまった。



 「カイン離して! お父さんの所へいかなきゃいけないのよ! カイン!」

 「駄目だよ。 分って欲しい! ここが君のいる場所なんだ」



 「十分理解しているわ。 娘を奪われたあの人の気持ちも、ここに私が居る事が本来あるべき姿なのだと言う事も! それでも、私はお父さんといる事を選びたいの! 離して!」

 「離さない! 僕は君を……離さない」

 

 

 カインは私の耳元で小さく「ごめんよ」と囁いた。

 そのまま抱き上げられ、別の部屋へと連れていかれる。

 ノックをしたと言う事は中に誰かいるのね……

 返事が聞こえ、中へ入ると、馬車の中で見た最初の女性が待っていた。



 「カイン! その子は私の……ああ、取り戻してくれたのですね」



 カインが私を下ろすと、こっちに向かって来たその女性に思い切り抱きしめられる。

 とても柔らかくて、温かい。

 安心して少し乱れていた感情も落ち着いたわ。

 母親の力は偉大ね。



 「お母様、お父さんを助けたいの」

 「お父さん……?」



 「私は盗賊の頭目、オルテガの娘アイラ。

  お母様にはオルテガを助けたいって言った方が伝わるかしら?」

 「貴方の父親は私の夫、ウイユベール・バーンアストライドです。 オルテガと言う方の事は忘れ、ここで一緒に暮らすのです」



 「私はお父さんの事を愛しているの! 絶対に忘れないわ!」

 「私達には時間が必要な様ですね……カイン、お部屋に連れて行ってあげなさい」



 カインは「仰せのままに」と告げて、私を抱き上げ、お母様の居た部屋を後にする。



 次に向かった部屋ではノックをせずに入り、私をゆっくりとベッドの上に下ろしてくれた。

 ここが私の私室と言うわけね……

 生き別れの娘との感動の再開……か。

 私はお父さんを愛してしまったばかりに、残念なものになっちゃったわね。

 ホントつくづく罪な女。

 


 「お嬢様、君は凄く賢い子だ。 二人の気持ちを理解してあげてくれないか?」

 「理解しているわよ。 それでも私はお父さんへの愛の方が上回った。 ただそれだけよ」



 「イレーネ様、さっき会った人の事をお母様と呼んでいたね。 バーンアストライド公爵の事もお父様と呼んで貰えないかな? あの方は感情の起伏をあまり表に出さない。 そんな方が君が生まれた時、大きく騒ぎ立てて喜んでくれたんだよ」

 「それがお母様の名前なのね。 お腹を痛めて私を生んでくれたんだから、そう呼ぶに決まってるじゃない。 でも……認められないわよ。 私の中ではお父さんがお父さんなの! 私だって彼が辛い気持ちなのは分かる。 でも、ただお父様と呼ぶだけならお互い傷つくだけだわ。 それなら……呼ばない方がマシよ」



 「今日の君は疲れている。 もう休んだ方がいい」

 「カイン」



 「どうしたの?」

 「私が眠るまで抱いていてくれるかしら?」



 「それは……困るな」

 「いつもお父さんに抱かれて寝ていたの。 誰かに抱かれていないと眠りにつけないわ」

 


 「それじゃあ……君が眠りに落ちるまで」



 カインは私のいるベッドで横になり、その隣に私を寝かせた。

 落ち着かない様ね、緊張しているのかしら?

 もしかしたら見た目に反して、ロリコンで童貞なのかもしれない。

 可愛いわぁ……意地悪したくなっちゃう。



 でも、今日は本当に疲れちゃった、目を瞑ると気持ちよく意識が落ちていく……

 お父さん、無事でいてね……

お願い。








ブクマ、評価、コメントやレビューをして頂けると作者のモチベが上がるので宜しくお願いします!




↓のWeb広告の下にある




☆☆☆☆☆から評価が出来ます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ