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未来

カオスな状況はその後続いた。

級友、特に女子はジャックとの関係を聞きたがっていたようだった。

私はひたすら、ノーコメントを貫いている。

ジャックにはその日の帰校時間にぶん殴ってやった。

自分でジャックの前に立ってグーで、思いっきり。

その時は不思議な感情だった。

一発ぶん殴らせろという感情と、一方では今じゃ私の方が背低いんだという感情が両立していたのだ。

さすがの志保もビックリしたらしい。

他の級友と一緒にあ然としていたのだった。


結果的にうやむやになったのは確かだった。

お嬢様が男をぶん殴ったのだ。

相当、衝撃的だったらしい。

誰もが触れてはいけないことだと勝手に思ってくれたらしい。

だが、どうしても準は納得出来なかったらしい。

志保に連れられて水沢家を訪問した。

「というわけだ。・・・信じるかどうかはお前の勝手だ。」

私は自分の部屋で志保と一緒に座ってる準に言う。

「15年後に・・・俺は死ぬ?」

「だがそれはあくまでも俺の歴史だ。すでに歴史は変わっている。」

その時、ノックがされた。

「お嬢様、ジャック様が来ておられます。」メイドさんが言った。

「・・・お通ししてください。」

しばらくしてジャックが入ってきた。

「・・・よくもまあぬけぬけと来られたものだな?ジャック。」

私は言った。

「話したいことと聞きたいことがあるからな。準、この前は済まなかった。」

ジャックは準に頭を下げる。

「俺と同じようなケースだと勘違いしてしまった。」

結構潔く謝ったので準は毒気を抜かれたらしい。

「あ・・ああ。」

「俺にキスしたことは謝らないのか?ジャック。俺にはその毛はないが。」

「でも現実、お前は女の子だしな。しかも一目惚れだったし。」

「な・・・・。」

あまりにもストレート過ぎる。

まあこいつはOCS(士官候補生学校)の頃から素直な所もあった。

その素直さでナンパしまくってたようだが。

「お前も戦死して今の時代に来た口なのだろう?そのナンパ癖は死んでも治らなかったのか?」

「失礼な事を言うね。円。今生じゃお前が最初で最後の女さ。俺は水沢円一筋に生きることに決めた。」

バカか。こいつ。

「・・・まあ良い。で、話したいことと聞きたいことって何だ?」

「え?でも・・・。」ちらりと準と志保を見るジャック。

「この2人は事情を知ってる。それに今、お前と2人きりになるなんて恐ろしくて出来るか。」

正直、何されるかわからん。

身の危険をビンビン感じる。

「ところでジャック、なんで俺を円と言うんだ?」

「準ならそこにいるじゃん。混乱するだろ。」

ああ、なるほど。

「・・・了解。で?」私は先を促す。

「まずは話したいことだね。・・・・お前が死んで5ヶ月後、戦争は終結したよ。」

「・・・そうか。」

「で、お前の家族だね。戦争終結したときに墓参りしたことがあってね。そこでお前の嫁さんだった人に聞いたんだけど。」

私はちらっと志保を見た。

志保は黙って聞いている。

「和花っていったっけ?妹。と娘と3人ぐらしらしい。」

「・・・・そう。」

「あれ?お前娘がいるってこと知ってたの。」

「まあな。」知ったのはつい最近だけど。

「おかしいな。秘密にしてたってきいたけど。」

「・・・続きは?」

「まあ大変だけど仲良くやってたな。」

「まて、お前はなんで死んだんだ?」

「ああ、ちょっと情けない話だけどね。階段から落ちて。」てへとジャックは頭をかいた。

「だから戦死したお前は2階級特進で准将になったけど、俺は少佐止まりで・・・・。」

「確かに情けないな。士官候補生学校を2位で卒業してエリート街道まっしぐらだったナンパ野郎にしては。」

「待て待て2位を強調するなよ。お前とそう点差は変わらなかっただろう。」

私とジャックは自然に笑っていた。

ずいぶんと昔の話だ。もっともここからすれば別の未来だが。

「そして聞きたいことなんだけど。」

ジャックは私に向き直る。

「俺は昔の自分に戻っただけだった。こういうのリプレイって言うんだっけ?・・・なぜお前はその子なんだ?ジュンスギムラ中佐。」

「知らん。」

即答してやる。

「知らんってお前・・・。」

「気が付いたらこの子だったんだよ。お前、以前普天間で俺に言ってただろ?俺が知ってた水沢円も10歳にも満たずに病死したよ。

だから神の思し召しなんだよ。ジュンが入ってきたからこそ、この円の肉体は滅びなかった。」私はてのひらを見て言った。

「・・・・・。」

「私にはあくまでジュンスギムラ中佐の記憶があっても、正真正銘の女なんだよ。とはいえ、お前が彼氏なんてゴメン被るけどな。」

「言ってろ。いつか、そのカラを打ち破る。覚悟しろよ?円。」

さすが米海兵隊きってのナンパ野郎だ。

悪癖は死んでも治らなかったらしい。

「ジャック、お前に頼みがある。ていうか私と歴史を共有してるお前も無関係で無い話だ。」

ジャックの目のそこが光ったような気がした。

「あの戦争を回避したいのか?円。」

「ああ、すでに私はこの杉村準にはアメリカに行かないように頼んだ。そして、戦争回避には我が水沢家の政治力も使うつもりだ。」

「金持ちはこれだから・・・・。」やれやれとジャックは降参のポーズを取る。

「水沢家は多国籍企業で日米の裏に通じているからな。」

「そうだ。お前はそんな家の愛娘に襲いかかったわけだがな。」

「両家公認だっての。それに惚れたんだからしょーがない。」

何てこといいやがるんだ?こいつ。

ちょっとかっけーじゃないか。

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