追想余話
あとがきにかえて
この作品は、2007年9月21日、B'zがアジアのアーティストとして初めてHollywood's RockWalk入りを果たしたことを記念して、「もし高校生の頃、B'zのコピーバンドでゲリラ・ライヴをやったらどうなるだろう」という発想から書き始めた作品です。
当初はギターとヴォーカルの二人だけで構想していましたが、曲を選んでいくうちに「これ、凄腕のキーボードがいないと成立しないな」と気付き、林というキャラクターが誕生しました。結果的に、この三人だからこそ描ける物語になったと思っています。
この作品も、高校生だった頃の気持ちに戻りながら、勢いに任せて短期間で書き上げた思い出があります。当時の公開ではYouTubeのリンクを添え、実際の楽曲を聴きながら読んでもらう形にしていました。
今回の改稿では、著作権への配慮から歌詞は一切掲載せず、文章だけでライヴの熱気や疾走感を伝えることを目標にしました。また、シンセサイザーやキーボードなどの機材設定も1991年当時の環境に合わせて見直し、ライヴシーンの臨場感をより強めています。あわせて、ヒデキの心情を軸に全体を再構成し、初めてステージに立つ少年が感じた高揚感や緊張が伝わるよう意識しました。
舞台を1991年に設定したのにも理由があります。1990年では、まだB'zがようやくブレイクし始めた頃で選曲の幅が限られます。一方、1992年以降になると名曲やヒット曲が一気に増え、かえってセットリストを20分に絞ることが難しくなってしまいます。そう考えると、演奏曲のバランスや当時の勢いを表現するには、1991年という時代が最も魅力的で、物語としても絶妙なタイミングでした。
実は、一番苦労したのは各章のタイトルだったかもしれません。最終的に四字熟語で統一することで、物語全体にひとつのリズムが生まれたように感じています。
ヒデキのモデルは、ギター好きの親友です。一方、カズヤには私自身の一部を投影していますが、彼のように何でも器用にこなせる人間ではありません(笑)。それでも、この二人の軽妙な掛け合いを書くのは、とても楽しいものでした。
いつかまた、この二人が新しいステージに立つ日を書けたら――そんなことを、今も少しだけ期待しています。
Hollywood's RockWalk
ロック・音楽界に貢献したアーティストを讃えるもので、エルヴィス・プレスリー、ジミ・ヘンドリックス、KISS、エアロスミス、ヴァン・ヘイレン、エリック・クラプトンら数々のミュージシャン175組に並んでの殿堂入り




