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41話 魔法練習 一歩前進

カイゼルの方、人が多いので一応書きます。


侍女:サマンサ、メリー

友人(宰相希望):ミック

取り巻き候補:イバン

護衛:ドミニク

新護衛:ベルトルド

放課後、俺、ミック、イバンはいつも通り人気の無い空き地で魔法の練習をしていた。

ゴーレムの魔法陣から少し手を加えた陣を描き、手を置いてみるが発動しない。


「……一歩も前進しないな」


魔法大会まであと一ヵ月、流石にかなり時間が無い。


「やっぱゴーレムだけでも完成させた方が良いんじゃねぇの??」


ミックが欠伸をしながら言うが俺はそれに首を振った。


「十年以上同じことをしていて出来ていないんだ、それこそあと一ヵ月やそこらでどうにか出来るとは思えない……イバンはどう思う??」

「……」


返事が無いことでイバンを見ると、眉間に皺を寄せたまま地面を睨みつけている。


「イバン??大丈夫か?すごい顔しているが」

「え……あ、あぁすみません。考えごとをしていて、何でしょうか??」


「ゴーレムを完成させた方が良いか、このまま新しい魔法を模索し続けた方が良いかって話だよ、大丈夫か?宰相子息様??」


ミックが茶化しながら言うと、イバンは目を閉じて何かに耐える様に黙った後、ゆっくりと話し出した。


「……そうですね、まず地を這うゴーレムでは空を舞うドラゴンに勝ち目が無いので、僅かな可能性に賭けて新魔法を作った方が良いとは思います。


上手く作れないのは完成形が見えていないからでは??

例えば…………曲を作るときは思いついた1フレーズを元に作成していく者もいます。

使用用途によって作る者もいます、まずはどうしたいのかを固めてはいかがでしょうか?」



完成形か……。

そういえば、考えずに闇雲に他の魔法陣の特徴を入れてみたりしていた。


「どうしたい……セイランを守りたい、が、どうすればそんな魔法になるんだろうな」


「守るっつったって色々あるかんな、物理的だったり権力からだったり精神的だったり……カイゼル‼‼‼」


???


突然ミックは血相を変えて俺に向かって走って来る。

一秒にも満たない間それを見ていると、横にイバンの作った魔法の小人が現れ俺の腹に追突してきた。


水で出来ているとはいえかなりの勢いで追突され、咳き込み状況を確認すると俺は息をのんで固まってしまった。


ついさっきまで俺が居た所には、固い土で出来た槍の様な物が深々と地面に刺さっている。


パチン!と指を鳴らす音がして視界が白くなった。

ミックが魔法を使ってくれたのだ。


腕を急に持ち上げられ、眼を凝らすとイバンらしい人影が俺を引き上げている。

せっかくミックが居場所を隠してくれているのに声を出すわけにはいかないので、俺はそのまま自力で立った。


ミックが霧の中から現れ、手でこっちに逃げると指示をしてきた。


彼は霧の細かい操作が出来るらしく、ミックが現れてから俺達の周りだけ視界が少し良くなった。




「…………ここまで来りゃ大丈夫だろ。教師に状況説明してくる、カイゼルはそこにいろよ」


校舎内、職員室の前まで入り、ミックは霧をそのままに職員室の中へ入っていった。

校舎内といっても放課後の遅い時間でもうほとんど人が居ない。


俺は壁に寄りかかり、そのままズルズルと崩れ落ちた。

手も足も、全身震えて、ここまで普通に歩けたのが奇跡と思えるほどに体に力が入らない。


心臓も異常な程に早く動き、緊急事態を知らせている。



命を、狙われた…………。



「な、何で俺が」


「最近、ウィリアム殿下よりもカイゼル殿下が王位に近いのではないかと噂が飛び交っています。それを良しとしない誰かがやったかと……」


イバンは水の小人を二人、俺の周りに配置しながら淡々と告げた。


「王位が……」


計画通り、まさに上手くいっているからこそ襲われた。

何となく頭では命を狙われる可能性もあると思っていたが、ここまで恐ろしいとは予想していなかった。


「諦めますか??」


心を読まれたと思えるほどに、タイミング良くイバンが聞いてくる。


諦める??

そうだ、諦めれば、またポンコツに戻れば命を狙われることはない。


でも……。


真珠のカフスボタンを俺は強く握りしめた。


「絶対に、諦めない。セイランはもっと怖い目にあったんだ。これくらい乗り越えて見せる」


声も体も震え、力なく座り込んだ情けない状態で俺は言った。


「そうですか」


霧で表情がはっきりとは見えないが、イバンは何だか安心したような雰囲気で言ってくる。

ミックに事情を聞いた教師が出てきた音が聞こえた。


すぐに王宮の俺の馬車を手配し、学園警備の衛兵が巡回し、ドミニクと新しく護衛になったベルトルドが来てくれ、馬車に3人で乗り込む。


4人乗りなのでベルトルドのみは外で馬での移動。



「やー、マジ危なかったな!」

「……そうだな、本当にありがとう二人とも。」


さっきまで命が危うかったのに、いつもの調子のミックの態度に力が抜けてしまう。


本当にありがたい存在だなぁ。

でもまるで俺は役立たずだった。ライナスとかなり剣の稽古をしたのに、連れられて歩くのが精いっぱいいで戦うなんて不可能に近い。


「カイゼル殿下、こんな時にお聞きするのもなんですが貴方はどんな国を作られるおつもりですか??」


「おっ!いいな俺も聞きたい‼セイラン様を守りたいから権力欲しいって聞いたけど、王位取ったらセイラン様と遊び呆けるつもりとか?」


イバンとミックが身を乗り出して聞いて来る。


王位を取ったら……。


実はミックに出会うまで何も考えていなかった。

でもミックに出会って俺がどうしたいのか、最近ははっきりと答えがある。


「俺は、騎士団がお飾りになる国にしようと思ってる」


ドミニク含めて三人とも目を見開き、外のベルトルドも聞き耳を立てていた。








ミックとイバンにはを護衛につけて帰し、俺は部屋に土を持ち込んで新魔法の作成に勤しんでいた。


完成形が思いつかない。


自室に戻ったこともあり、さっきの恐怖は消え魔法陣に集中するがこれと言ってどんな魔法が良いのか分からない。


戦闘での俺は役立たず。まさにポンコツだった。


これ、魔法大会でまずくないか?


正直大会でも自分が上手く動いている様子は想像出来ない。


だったらとてつもなく早い攻撃?

俺に扱えるか?


防御?

防御だけでは勝てないから俺が攻撃しなければならない、へっぽこ剣技でドラゴンの首を斬れるとは思えない。


「んん~~~~~~」


俺は扉を護衛してくれているベルトルドをチラリと見た。


これを聞くのは駄目か?いやでも俺だけでは思いつかない。


「ベルトルド、その……気を悪くしたらごめん、答えたくなかったら答えなくていいんだが、君がもし魔法を使えたらどんなのにする??」


セイランの様に気を悪くしないかドキドキしながら聞くと、ベルトルド嬉しそうに笑った。


「特に気を悪くするなんてありませんよ。平民の子供なら一度はやる遊びです。私は英雄騎士ウェズリーの魔法を使ってみたいですね。


かの英雄は炎の剣で建物でも船でもなんでも斬ってしまったそうです」


「何でも斬れる剣かそれはいいな……だが俺がもし使えたとしても宝の持ち腐れになりそうだ」


「そんなことは無いと思いますが……カイゼル様と同じ土の属性でしたら伝説の地龍の魔法などを使ってみたいです」


地竜の魔法、兄上のドラゴンと違い土の中を移動する蛇の様に長い龍を作る魔法。

試しにやってみたが、発動はしなかった。


それにしても。


「そういえば、話は違うがベルトルドはなぜ俺をカイゼル様と呼ぶんだ?殿下じゃなくて」


「…………不快なら改めますが、あくまでも私の感覚として王家に仕えているのではなくカイゼル様個人に仕えているという主張です。魔物を討った亡霊を処刑した件を私は許容できません」


なるほど、だから騎士団を辞めたのに俺の所にはすんなり来てくれたのか。


「いや、不快じゃないし、俺個人に仕えてくれているのは本当にありがたいと思ってる」


俺が答えるとベルトルドは柔らかく微笑み、また護衛に集中した。



何でも斬れる剣に地竜、やはりどちらも使い手しだいな気がするな……。


強い魔法を作れたとしてもそれは使い方による。

やっぱり身の丈にあった魔法を考えた方が良いんだろうな。


そうなると、俺にとって人型ゴーレムは大きすぎるから制御しきれていないのかもしれない。

でも、小さくてドラゴンに勝てるか??


いや、それこそ使い方次第だな。


現にセイランはドラゴンより圧倒的に小さいのに瞬殺している。



「小さくて良い、俺が完全に扱いきれる量……」


独り言を言いながら俺は目の前の砂を片手で掬った。

サラサラと砂が零れ落ちていき、残ったのは掌サイズの少量の砂。


それを砂を入れていた箱から移し、紙に乗せる。



あとはどんな風にするか、か。


「セイランだったらどんな魔法でも使いこなすんだろうな」


彼女が居たら絶対に口にしない言葉を俺は言って自分で笑ってしまう。

そう、セイランほどに何でも反応出来る瞬発力と才能があればどんな魔法でも問題無い。


そんな彼女が魔法を使えないのに、俺が使えるなんて皮肉でしかないな。


反応……。


俺が反応出来ないなら魔法に反応させる、とか?

自分で反応させるなんて出来るか??


いや、一定の条件を設ければ可能かもしれない。


俺は思いついたままに魔法陣を描き、魔力を注いだ。


ムクッと手のひらサイズの歪なゴーレムが立ち上がり、覚束ない足取りで歩いて行く。

そして、ベルトルドの目の前まで行くとくるりと反転して戻って来た。


「おっ⁉おぉぉおおおお‼‼‼」


俺が喜んでいるとベルトルドは目を丸くしている。


そうだろう、傍から見たらゴーレムを操作しているのか自分で動いているのかは分からない。

何に喜んでいるのか分からなくて当たり前だ。


でも一歩‼ほんのちょっと‼‼前進だ‼


面白い!続きが気になる!と思っていただけたらやる気につながるためブックマークや評価をお願いします‼<(_ _)>


既にしていただいた方、ありがとうございます‼


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