episode3 東:森林エリア2
あの後ログアウトし、翌日の夜に再びログインしたラクは、『サフィニア喫茶店』を後にし、再び東の森林エリアのバリケードの前に戻ってきた。
今度はアデンは家になかにいるのか見当たらなかったが、ラクは立ち止まることなくバリケードを越えて森の中に入っていた。
そして、昨日見つけた湖の前までやってきた。
息を整え、軽く体を伸ばしてから湖を見た。
「んん~・・・・。さて、今日はここからはじめますか。もしかしたら湖の中に何かあるかもしれないし。」
ラクはメニューから装備画面を開くと、上着、グローブ、ブーツを外して動きやすい格好になった。
しかし今の状態はシャツとホットパンツだけの状態で、ラクは少し恥ずかしそうなそぶりをした。
「やっぱこういうのはちょっと恥ずかしいかな・・・・。スポーツするときのユニフォームも結構恥ずかしいし・・・・」
水面に映っている自分の姿を見て顔を赤らめていると、しばらくして落ち着いたのか、短剣を鞘から抜いて右手に持ち、湖の中に飛び込んだ。
バシャッという音を立てて湖に飛び込み、湖底を見回してみた。
魚型のMOBや錆びた道具のオブジェクトなど、様々なものがあった。
その中に布に巻かれた細長いものが落ちていた。
気になったラクは、そのものがあるところまで潜っていくと、それを掴み、水面に上昇した。
「ぷはっ。結構潜れるみたいだね。それよりこれはなに?」
ラクが湖底から持ち出したもの、それは布に巻かれた細長いものだった。
陸に上がり、布をほどいて中に入っていたものを取り出すと、それはツタのような模様の描かれた大きな弓だった。
【天弓ダリア(装備不可)】
??????????
名前しかわからなかったが、とにかく見る者を魅了する弓だった。
弓の弦は切れて使い物にはならないが、そのデザインは森林そのものを表現しているような緑の装飾が施されており、つい弓という武器であることを忘れてしまいそうになるほどだった。
「きれいな弓ね。でもなんでこんなものが湖底にあったのかな・・・」
ラクは持っていた弓をしばらく見た後、弓と布をインベントリにしまい、再び湖に飛び込んで湖底を調べた。
しばらくしてラクは陸に上がると、昨日買った大きな布、サンドウィッチ、そしてもらったコーヒーを取り出した。
大きめに布を羽織り、コーヒーとサンドウィッチを草の上に置いた。
それから濡れた体を軽くふき、その布をしまって草の上にペタンと座った。
「さて、髪とか乾くまで一人ピクニックでもして待とうかな。」
この世界で濡れた場合、この世界の陽に30分ほど当たることで自然乾燥する仕様になっている。
また、汚れた場合は服は洗うと、体は水につかると汚れがとれる仕様になっている。
ラクは布の上に座り、髪や服が乾くのを待ちながらハムサンドを一つ掴んで口に運んだ。
パンはふんわりとしており、脂ののった生ハムは、パンとサラダとマッチしてとてもおいしかった。
「んん~。現実のサンドウィッチとほとんど変わらないわね。でも現実のものより食材がどれも新鮮でおいしい。」
表情が緩み切ったラクは次にコーヒーの入った容器を手に取った。
容器は現実の水筒とほぼ同じで、上部にあるパーツを回してはずすとカップになるタイプのものだった。
カップにコーヒーを出し、まず香りを楽しんだ。
香ばしいコーヒーの香りがラクの食欲をさらに掻き立てた。
そして一口。
両手で持ったカップからコーヒーを一口飲むと、ラクは目を閉じた。
コーヒー独特の苦さの中にほのかな酸味。構内を一瞬で支配したコーヒーの香り。それらを楽しんでいた。
「おいしい。これ本当にゲームの中よね・・・。目を閉じるとまるで現実の世界にいるみたい・・・・・」
それがラクの感想だった。
食材の食感、香り、味、すべてが現実のものを忠実に再現していた。
あまりの再現度にゲームの中にいることを忘れてしまうのではないかというほどだった。
それからも十数分の間、サンドウィッチとコーヒーを楽しみながら服とか身が乾くのを待った。
ある程度髪と服が乾いたとき、すでにサンドウィッチは平らげ、今はコーヒー片手にコインの観察をしていた。
どうしてもこのコインのことが気になるラクは、何かヒントはないかと懸命にコインの表面を観察しているのだ。
しかし・・・・
「やっぱ何もわからないなぁ。どこかを描いたのはわかるけどこのクエストに関係なさそうだし・・・それに湖の中にも何もなかったし・・・・」
結局コインも湖の中も成果はなかった。
あきらめてコインをインベントリにしまったとき、セロシアから連絡があった。
ラクは通話ボタンを押した。
「もしもしセロシア?どうしたの?」
「よう、昨日あのあとカデンとその周辺に聞いた結果の報告と別の件で連絡した。今大丈夫か?」
「うん大丈夫。」
「ならよかった。まず聞いた結果だが・・・・一つだけそれに関係したクエストを受けたやつがいた。」
「関係したクエスト?」
「そうだ。内容は、東の森に狂暴な狼の群れが現れたからそれが出てこないように高めの柵を作っててあとは道におおきめの門を付けるだけだけど手伝ってほしいっていうクエストだそうだ。」
「・・・・つまりあのバリケードを作ったのはNPCでプレイヤーはそれをクエストとして手伝った。バリケードを作った理由は狼型のMOBが出てくるのを防ぐため。ってことでいいの?」
「おおむねそんな感じだろう。それを考えるとクエストは討伐クエスト、狼型の群れの討伐が条件だろうな。そしておそらくその狼型は【ハンターウルフ】だろう。そのあたりにいるMOBで狼型はそいつしかいないから。」
「その【ハンターウルフ】ってどのくらい強い?私でも勝てるかな?」
「うーん。恐らく勝てない。【ハンターウルフ】は群れで襲ってくるMOBで親玉の【ハンターフェンリル】ってやつと一緒に行動するからソロじゃほぼ勝てないんだ。」
「じゃあ遭遇したら逃げればいい?」
「それが得策だな。でもそれじゃあクエストはクリアできないか応援を呼んだ方がいいかもしれないな。」
「わかった。参考にするよ。」
「おう。っでもう一つの件だが・・・・そこでとってきてほしいアイテムがあるんだ。詳しい個数とかはこの後送るメールに書いてあるからそれを見てほしい。頼めるか?」
「わかったよ。けど全部届けるのに時間かかりそうだけど大丈夫?」
「そこまで急ぎのものはないから大丈夫だ。だけど一つだけなるべく急いでほしいものがあるんだ。」
「なに?教えて。どんなものかも含めて。」
「名前は【ビーズフィッシュ】ちょうどラクのいる湖にいる魚で釣りをすればゲットできるものだ。そいつの鱗がアクセサリーのパーツに必要だからなるべく急いでほしいんだ。」
「わかった。まだここから動けそうにないからのんびり釣りでもしてるよ。暇つぶしついでにできることができてよかったよ。」
「前向きで助かる。じゃあお願い。数は10匹いれば十分だから。じゃあよろしく。」
そういうとセロシアは通話を切り、一通のメールを送ってきた。
内容はさっき話していた納品アイテムのこと。
ラクは早速メールに書かれている納品アイテムと納品数を確認した。
すると・・・
イエローフルーツ×10
ビーズフィッシュ×10(急ぎで)
中効薬草×25
と書かれていた。
種類は少ないが数が前回の倍以上あることにラクは驚いた。
「なんか結構数増えてる・・・・この中効薬草っていうのは私もほしいし40個ぐらいとっておきたいなぁ。どれも場所を知らないからまずはどこにあるか見つけないと・・・・でもまずは・・・・。」
ラクはメールを閉じ、インベントリから糸、針、少し長めの木の枝を取り出すと、余分な枝を削り、糸を結び付け、先に針を付けて簡易釣り竿を作った。
そしてその釣り竿を使って釣りを始めた。
狙いは【ビーズフィッシュ】。
ラクの目標数釣り上げる、ある意味新たな戦いが幕を上げた。
【ラクの活動記録】
このクエストのことが少しわかったけどなんだかやばそうなやつがいるみたい。
おまけにそいつを倒さないと先に進めなさそうだしどうしよう・・・・・
あとあの弓はなんなんだろう・・・・
【入手したもの】
クエスト情報
すこしクエストの正体がわかった?ところで今回はここまで
次回は突如始まった釣り!
無事に釣れるのか!?
お楽しみに!




