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クレマチス・オンライン~親製世界の旅路録~  作者: グリティア
2章:追われるモノと東の森林
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episode2  調達&収集

 東の森林で起きていることの発見と解決。

それがラクの初のクエストだ。

そして、東の森林を走っているのだが・・・・

「考えてみるとどうすれがいいんだろう。」

そう。このクエストには目標の討伐といったクリア条件が書かれていない。

何かを倒せばいいのか?何かを直せばいいのか?何かを助ければいいのか?それが一切書かれていないのだ。

しかしこのことはこのクエストに限ったことではなく、クレマチス・オンラインに共通して言えることだ。

ほとんどのクエストは問題そのものの解決としかクエスト詳細に書かれていない。

何をすればいいのか?それはNPCとの会話、MOB討伐後のイベント、フィールドオブジェクトによって徐々にわかってく。

それがこのゲームの仕様だ。

より異世界に転生したように見せるため、よりこの世界で生きている、と感じさせることも目標にした結果、このゲームは、今世紀最高難易度を誇っている。

ラクは走るのをやめ、ゆっくりと歩き出した。

森の中をむやみやたらに走ってもクエストが進行するわけでもない。

かといってどこに原因があるのかもわからない。

情報があまりにも少なすぎるのだ。

「凶悪なMOBでもいるのか・・・・それとも自然災害みたいなことが起きてるのか・・・・・それとも・・・・ってここって・・・・」

ぶつぶつと言いながら歩いていると、大きな湖のほとりに到着した。

大きさはそこまで大きなものではなく、一周するのに10分もかからなさそうな大きさだった。

MOBは一匹もおらず、水面は風に揺られているだけで、とても静かな場所だった。

「とてもいい場所ね。こういうところでご飯食べたり読書したりしたいなあ。そうだ!明日もう一回ここにきてのんびり過ごそうかな。手掛かりを求めて一度街に戻るついでに食べ物とか用意して・・・・」

情報を求めていったん街に戻ることを考えていたラクの頭の中を、クエストの情報収集から明日のピクニックについてのことに変わりつつあった。

「って、いけないいけない。情報を集めに行くのが目的でピクニックの用意をしに行くわけじゃない!だまされるな私。」

そういうと、ラクは来た道を戻って第一の街に向かって歩いて行った。



 超えてきたバリケードを再び越えると、アデンがラクの前にやってきた。

「戻ってきたか。どうだ?何かわかったか?」

「いえ、なにも。なのでいったん街に戻って情報を集めてこようかと。何か知っている人があるかもしれないので。」

「そうか。まあ何が原因かもわからないからなあ。それが一番いいかもな。」

「では一度行ってきますね。」

「おう。」

ラクは身体強化で走るスピードを上げると、数時間前に出た街を目指して走っていった。



 道中、何事もなく街に戻ったラクは、まっすぐと『アマドコロ』に向かった。

店の前に到着したラクは息を整えてから店内に入っていった。

店内にはセロシアが別の男性プレイヤーと何かを熱心に話していた。

「取り込み中みたいだし終わるまでソファに座って待ってるかな。」

ソファに座ったラクはメニューを開くと、アデンからもらったコインを取り出し、改めて見てみた。

表に書かれている道、裏に書かれている城。これはこの世界に存在するものなのか。

もし存在するなら行ってみたい。

そのようなことを考えているといつの間にか10分ほど経っていた。

「ーい。ラクー。おーいラクってば。」

「え!?な、なに?」

突然頭上から声が聞こえたので顔を上げてみると、いつの間にか男性プレイヤーとの話を終えたセロシアが目の前に立っていた。

「何ってそれはこっちのセリフだよ。2時間前ぐらいに出て行ったのにもう戻ってきて・・・・いったいどうしたんだ?」

「セロシア・・・・そうだ!実は聞きたいことがあって戻ってきたの。」

「聞きたいこと?答えてる範囲でなら答えるけど・・・何が聞きたいんだ?」

ラクは「森林に潜むモノ」について説明した。

するとセロシアは少し考え・・・・

「そんなクエスト私は知らないよ。」

と答えたのだ。

「知らない?ならセロシアはどうやって東の森の先の街に行ったの?」

「出てくる敵を倒しながら進んでたらついたぞ。バリケードなんてなかったしそんなクエストもなかった。」

「じゃあ今私がやってるクエストって・・・・」

「もしかしたら未確認クエストかもしれない。」

「そうなんだ。・・・ところでさっきから何やってんの?」

セロシアはラクとクエストのことを離しながら、メニューウィンドウを操作して何かをしていた。

「ん?ああこれ?いまフレンドにそのクエストやったやつがいないか確認とってるんだ。もしかしたら受けたやつがいるかも知れないと思って。」

「そうなんだ。一応聞くけど今のところどんな感じ?」

「誰もそんなクエスト知らないらしい。『旋風団』の連中にも確認とってもいいけど時間かかるからなぁ。どうする?」

「そこまでしなくてもいいよ。でも一応カデンとアキレア達には確認しておきたいかな。」

「じゃあついでに確認とっておくよ。ところでこれからどうするんだ?PT組んで戻るのか?」

「ううん。一人でやるよ。時間制限もなさそうだしのんびりとクエストやるよ。あと買い出ししてから戻ろうかと。」

「そうか。で、買い出しは当然うちでやるんだろ?」

「うん。でもここじゃないものもあるからそれの調達もしないと。」

「よっしゃ。何買ってく?」

「じゃあ・・・・」

ラクは空瓶、大きめの布、小さい包丁の三つを買った。

お金は納品の報酬である程度もらっていたので問題はなかった。

残る購入品は・・・・

「これで必要なものはそろったかな。ありがとうセロシア。それと聞きたいことがあるんだけど・・・」

「ん?まだ何かあったか?」

「この街って飲食店とかもある?」

「あるよ。料理スキルで調理するプレイヤーが売ってる店と、NPCが売ってる店が前の通りを左に行った先にある。けどどうした?」

「森林エリア散策してたらよさそうな場所があったから少しそこでのんびりしようかなぁーって思ってね。」

「なるほど。ならいい店紹介しないとな。さっき言った場所にトウジがやってる喫茶店があるからそこで何か作ってもらうといいよ。」

「え?トウジさんって店開いてたんだ。しかも喫茶店。」

「意外だろ?店名は『サフィニア喫茶店』だとさ。現実で店を開けなかったからこっちで開いて夢かなえたんだとさ。ささ、そろそろいかないと。時間も時間だし。」

この時、時刻は深夜0時になっていた。

「ほんとだ行かないと!セロシアありがと!」

そういうとラクは慌てて店を出て行った。



 セロシアに教えられた通りに道を進むと、飲食店通りのようなものがあった。

レストラン、居酒屋、飲食店などなど様々な店が立ち並んでいた。

その中に、落ち着いた雰囲気の外装とテラス席のある『サフィニア喫茶店』があった。

ラクは喫茶店の中に入ると、そこにはコーヒーの香りが広がっていた。

店内も落ち着いた雰囲気で、カウンター席とテーブル席の二種類がある喫茶店になっていた。

ラクはカウンター席に歩いていくと、カウンターの向こう側でコーヒー用のカップを拭いていたトウジに話しかけた。

「トウジさん。こんばんは。」

「いらっしゃいませ。ってラクさんじゃないか。どうしてここに?」

「セロシアにいい食べ物売ってるところ聞いたらここを紹介されたんです。それにしてもとてもいいお店ですね。」

「ありがとう。ところで今日は何を買っていく?せっかくだしサービスするぞ。」

トウジはとてもいい笑顔でラクにそういった。

なんていい人なんだろうトウジさん。笑顔も素敵だし紳士的だし・・・現実で結構持ててるんだろうなぁ。

が、それはそれとして・・・

「えっと、ピクニックで食べれる手軽なものを買っていきたいんですけど・・・テイクアウトってできますかね?」

「可能だ。ピクニックで食べるものだと・・・・サンドウィッチはどうだ?」

「いいですね。私サンドウィッチ結構好きなんですよ。」

「それはよかった。どんなサンドウィッチにする?ハムサンド、たまごサンド、カツサンド・・・定番のものなら何でも用意できるが。」

「それなら・・・・ハム、たまご、サラダを二つづつお願いします。」

「了解。少し待っててくれ。」

笑顔で言ったトウジは拭き終わったカップを棚に戻すと、厨房の奥に歩いて行った。

それから数分後、バケットをもってトウジが厨房から出てきた。

「お待たせ。サンドウィッチできたぞ。あとこれはサービスだ。」

バケットをカウンターの上に置いた後、トウジは棚から一つの栓のされた赤い筒状の容器をカウンターの上に置いた。

「これはなんですか?」

「うちで使ってるコーヒーだ。せっかくだしサンドウィッチを食べるときにでも飲んでみてくれ。こっちの世界だと温度も風味も維持できるからいつでも淹れたてのものが飲めるからいいぞ。」

「ありがとうございます。」

ラクはお代を払い、2つをインベントリにしまった。

「そういえば一つお聞きしたいんですけど東の森林エリアで『森林に潜むモノ』というクエストがあるのは知っていますか?」

「いや、聞いたことがない。どこでそのクエストを?」

「森の入り口です。バリケードが作られてて通れずに悩んでいたらNPCからクエストが発生したんです。」

「なるほど・・・なら可能性は一つだな。」

「可能性?」

「未確認クエストだ。このゲームは結構な頻度でアップデートしてそのたびにクエストを追加するんだ。昨日アップデートしたばかりだからまだ誰も見つけていなかったんだろう。まあ無理のない範囲で頑張れ。」

「はい。頑張ります。ではそろそろ行きますね。」

「おう。また来てくれ。」

ラクは喫茶店を後にして、再び東の森林エリアに向かったのだった。


 【ラクの活動記録】

    クエストに関する情報がなかったのはすこし誤算だったけどトウジさんが喫茶店やってるっていう情報はゲットできた。今度また行こうかな・・・

   【入手したもの】

      サンドウィッチ各種×2

      コーヒーの入った瓶×1

      大きめの布×1

      空瓶×5

      小さい包丁×1

まさかのトウジのプレイスタイル!

PTでは壁役、街では喫茶店の店主。

そしてなかなかのやさしさ。ポイント高いのでは?

ではまた次回!

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