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底辺ダンジョン配信者、干からびたスライムを育成していたらバズって最強コンビへ成長する  作者: 椎名 富比路
第五章 底辺配信者 対 魔族三人衆!

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第40話 ワラビ、ミミックに食べられる!?

 ミミックはボクたちを脅かすだけで、また定位置に戻っていった。


「くっそ。見えている地雷なのに、飛び込んじまった」


 レアアイテムのある宝箱を、無警戒で開け続けた結果、バイアスがかかってしまったのだろう。


 慎重なはずのセンディさんが、ミミックに食べられそうに。


「仕方ないわよ。カギが見当たらないんですもの」


 ボクらはあちこちを探し回っているが、どこにもお目当てのカギが見つからないのだ。


 とにかく、開けられる宝箱は、ほぼすべて開けた。


 ミミックだろうと、全部総当りするしかない。


 幸い、ミミックは攻撃だけしてくるが、倒す必要はないみたいである。


「ないわね」


 メイヴィス姫も、少々うんざり気味だ。


「ピオンも、なにひとつ反応しないんですよね」


 ステータスを幸運にほぼ全振りしているピオンでさえ、カギを発見できていない。


 これは、妙すぎる。


 あ、でも、ちょっと待って。


「えっと、考えたんですが。ピー子はさっき、『カギを手に入れればいい』って、言っていましたよね?」


「ああ。そうだよ。それがどうしたんだ?」


「よく思い出してみてください。『宝箱に入っている』なんて、ひとことも言っていませんよね」


 ボクが発言すると、センディさんが舌打ちをする。


「ナイスだ、ツヨシ! あのヤロウ、オレたちをハメやがったのか!」


 拳を手のひらにぶつけて、センディさんは悔しがった。


「作戦変更。壁や床、怪しそうな場所は全部探すぞ」


「わかったわ」


 コルタナさんが、床や天井を杖で突く。


 ヒヨリさんも、コルタナさんに付き添って同じように行動する。


 ワラビは、壁や天井を伝い、怪しい場所がないかを探し回った。


 センディさんも、自分からトラップに飛び込んで、仕掛けにカギが付属していないかを確かめる。ミミックの動きも、完全に読んでいた。噛まれる瞬間に口を鞘で塞ぐ。


「ねえな」


 口の中を覗き込んで、またセンディさんはミミックの口を閉じる。


「くそ。どこにもねえぞ」


 ミミックの唾液だらけになった身体を、センディさんはワラビにきれいにしてもらう。


「あの、カギなら見つかりました」


「なんだと!? どこに!?」


 ヒヨリさんに、センディさんが迫る。


「外です。人魚さんの首にかかっていました」


 なんでも、ピオンが退屈そうにしていたので、外に出したのだという。


 跳ねるピオンを面白がって、人魚が近づいてきたらしい。


「そのウチの一人が、あそこに」


 岩で休んでいる人魚の首には、たしかにカギの付いたネックレスが。


「しかし、あんなところにあったんじゃ、取れないわよ」


「いえ。なにか、方法があるはずです」


 ワラビが、確信めいた言葉を告げる。


「マスターツヨシ、一度、わたしとミミックの元へ行ってくれませんか?」


「わかった」


 ボクは、ミミック宝箱の前へ迫った。センディさんがやられそうになった、最初のミミックである。


「近づいてください」


「いいの?」


「はい。来ます!」


 ワラビが、ボクをすっぽりと飲み込んだ。


 同時に、ミミックがワラビを食べてしまう。


「ワラビ!?」


「ワラビちゃん!?」


 センディさんとメイヴィス姫が、ミミックを攻撃した。


 しかし、ミミックには傷ひとつつかない。


 ボクはミミックに、飲み込まれてしまった。


「うわっぷ!」


 続いて、ボクは城の外に放り出される。


「ここは?」


「水路に出てきました」


 どうやらミミックは、水路の排水口に繋がっていたようだ。それで、食べられても平気だったのか。


 ワラビがボクを取り込んだまま、人魚が休んでいる岩場まで泳ぐ。


「ありがとう、ワラビ」


 岩場に到達し、ボクはワラビから抜け出した。


 人魚が、にこやかに手を叩く。首に下げているカギを外した。


「絶海の孤島に宝があると思わせて、別の場所に隠す。ミステリの常套手段です」


「ワラビ、キミは探偵になったほうがいいかもね」


 ボクは、人魚からカギを譲ってもらう。


「おい、無事かツヨシ、ワラビ!」


「無事です。どこも問題ありません」


 ボクとワラビが大丈夫だとわかると、メイヴィス姫やヒヨリさんが抱き合って腰を抜かした。


「もう、心配したんですから!」


「あのまま食べられちゃったら、どうしようかと!」


 ふたりとも、ボクらの安否を気にしてくれていたみたい。


 結界が消えて、岸に上がれるようになった。


 ワラビがイカダ代わりになってくれて、ボクは岸に到達する。


「よく、この難問を解いたわね! 見事よ!」


 どこからボクたちを見ていたのか、ピー子が姿を表した。


「いよいよ、あたしたち三人の魔族との決着をつける時が来たわ」


「あなたたちを裏で操っているのは、【ルクシオ・ソール】とかいう魔王なんですか?」


 ボクは、ピー子に問いかける。


「あたしたちに勝ったら、教えてあげるわ!」


 ピー子が消え去ると、城ごと消えてなくなった。


「消えた?」


「形が元に戻ったのよ」


 後には、ハリボテのお城があるだけ。


「帰るぞツヨシ。仕切り直しだ。装備の準備もある」

 


 ギルドに報告を終えて、貴重品を預ける。


 帰宅すると、一気に無事に帰れたんだと実感できた。


 だが、その気分はメイヴィス姫のひとことでかき消させる。


「ツヨシ、大変よ。あなたの端末に、メッセが入っているわ!」


 なんとボクの動画に、魔王ルクシオ・ソールからの書き込みがあったらしい。

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