表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
結婚するまで落ちない女になるって決めたけれど、もうすでに無理そうです。  作者: いか人参


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/36

対決


「パトローニ嬢が貴族のルールを分かっていないようでしたから、わたくしはそれを教えて差し上げていただけですわ。」


アイーダは、フランカの突然の乱入に一瞬顔を顰めたものの、さすがは侯爵令嬢、すぐに表情をとり繕い、これは自分の親切だと声高に主張してきた。



「貴族のルール…?それは、例えばですが、高貴な身分のシスト様は同じような身分の方と結婚すべきだとか、そういうお話かしら?」


「ええその通りよ。シスト様の隣には、私が相応しいのよ。」


自分を肯定するフランカの答えに、貴女分かってるじゃないと言いたげに、アイーダは満足げに微笑んだ。



「ふふ、でも面白いですわね。」


フランカは、口元を押さえて、小さく笑い声を漏らした。目は笑っていない。完全に小馬鹿にしている笑いであった。



「何がですの?」


いきなりのフランカの嘲笑に、アイーダの眉間に皺が寄った。棘のある声だった。



「だって、それが決まり事なら、どうしてミーナがシスト様に選ばれたのかしら?どうしてブレッサン侯爵令嬢にはお相手がいないのかしら?ふふ、おかしいですわね。身分があるにも関わらず選ばれないお方って…一体どんなワケがあるのかしら…」


不思議そうに小首を傾げると、フランカはふふふっとまた小馬鹿にした笑いを漏らした。

口元では笑いながらも、アイーダには冷え切った目を向けている。




「なっ…だ、誰に向かってそんな口の聞き方を!たかが田舎貴族のくせに、この私に楯突くような真似をして、タダで済むとお思い?男爵家なんてすぐに捻り潰せるわ!」


アイーダの語気は強まり、もう取り繕ってなどいられなかった。

怒りに顔は赤く染まり、ものすごい顔でフランカのことを睨み付けてきた。美人の睨みは迫力が凄まじかったが、フランカはそれすら面白がって眺め、微笑を浮かべている。



「まぁ、必死ですこと。そちらこそ、モンタルド公爵家の大切な婚約者にこのような仕打ちをして、タダで済むとお思いかしら?ねぇ、シスト様?」


「許されるわけがないだろう。」


「えっ…」


フランカの呼びかけで、シストが教室の中に入ってきた。

いきなりのシストの登場に、アイーダは口を開けたまま固まった。一気に血の気が引いた顔は真っ青だった。赤く引いた口紅だけがやけに目立っている。



「話は全部聞いた。自主退学か追放か、今すぐ選べ。」


『選ばせる』と口では言いながらも、どちらも退学することを意味していた。

シストの有無を言わせぬ冷徹な圧力に、彼の本気が伝わる。


アイーダは、シストが発した言葉の意味を理解出来なかった。



ずっと想ってきた大切な相手を、いきなり現れた格下の相手が掠め取って行った。

こっちの気持ちなんて一切気にせず、シスト様との仲をわざわざ見せ付けてきた。


本当なら、あの方の隣にいるのは自分のはずのに、こんなの間違っている、絶対に正しくない。彼は優しいから振り払えないだけ。だから私が、私が、彼のためにちゃんと正してあげないと、、、


それだけだったのに。


なんで私だけこんな、悪者みたいな目で見られて、大切な人にもこんな目を向けられて、、


どうして、どうして誰も分かってくれないの?


私はただ…



アイーダは、泣きたい気持ちを必死に堪えて、両手を強く握りしめた。すでにこんな惨めな姿を晒しているのに、これ以上弱みを見せるわけにはいかなかった。




「シスト様のこと、心から愛していらっしゃっるのですわね。」


「え…?」


俯いて歯を食いしばっていたアイーダは、頭の上から降ってきた予想外の言葉に、驚いて顔を上げた。

彼女は目の前の光景が信じられなかった。


なぜなら、目の前にいるミーナが、悲しそうな顔で一筋の涙を流していたからだ。


自分の心を労るかのような、優しい声に、優しい涙に、アイーダの堪えていた涙が溢れ出した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ