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Detractor Entanglements  作者: 池沼ガガ
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2/2

冴えたやり方って本当ですか?

稔の覚悟、隠野夢依おきのゆい編突入です

 早速書くために頑張ろうと決意したまでは良かったのだが、まずあまりに対象の人物が嫌いすぎて筆が全く進まないという未知の経験が稔に襲いかかってきた


 今まで途轍もないバッドエンドな作品を見てハッピーエンドを妄想したり、原作で散々な目に遭わされた好きなキャラが幸せになるように願って筆を動かしたことはあれど、創作に関しては嫌いな人間を赤裸々に綴るために筆を執ったことなど一度もない


 ここにはキャラクターの幸せも、幸せな物語もない

 でも書かなければならない


 何故なら私がこのまま泣き寝入りをして黙っていれば、それが私のことを嫌う人間にとっては一番都合が良いことだからだ


 別に相手にとって都合が良いままでもいいじゃないか


 心の中の弱い自分が囁く


 しかし稔はその囁きを振り切るように筆を執った



⸺私が不幸になって喜ぶやつなんかの為に、今までみたいに黙るわけにはいかないんだ

 


 気合を入れ直した稔の瞳には、もう何があっても消えることはない覚悟と闘志が宿っていた




第二話『覚悟』



 

 あんなやつなんかより私はもっと良くなった


 そう考える自分の顔が鏡の前でニコリと微笑む


 幼少期、虐められたことなんてもはや過去の話


 馬鹿なくせに可愛いだけで私より得をしている昔のあいつらが許せなかった



⸺だから私、隠野夢依は努力した



 高校時代はガールズバーで働いてお金を稼いでいたが、卒業したあとは親に内緒でキャバクラや、セクキャバで働き整形費用を稼ぐ日々


 その間友人に紹介されたホストにもハマりあまりの金額にどうにもならなくなり、デリヘルやソープもやってホストに貢いだ


 ホストは良い

 今までの私の悲惨な過去を、欲しいときに欲しい言葉で全部洗い流してくれる

 私が容姿について悩んでいた時期に、私と向かい合って話しているのに私の遙か先を見るような目で、大学へ行くことと良い成績と勉強を押し付けてきた両親よりも、その時の自分にはホストの褒め言葉のほうがよっぽど淀んだ心の奥底に響いた


 美しくなった顔で優しい言葉をかけてくれるホストへの恩返しのような気持ちで貢ぐ


 その為には汚らしい客との接待にも耐えた

 ホストが暴力を振るってきてもそれは全て自分のせい


 ここまで好きになれる誰かがいるということがとてつもない幸せで、その時は自分が何をしてしまっているのかなんて考えもつかなかった



 ほどなくしてすっかりホス狂いになった私を見たスカウトは、こいつは裏切らないだろうと思ったのか


「お小遣い稼ぎにスカウト目的の漫画を描いてみないか?」


と言ってきた


最初は面白い冗談だなと思って適当に相槌を打ちながら聞き流していたが、そのスカウトは夢依がイラスト専門学校を卒業していることをどこかで耳にしたようで中々引き下がろうとしない


 仕方ないから描き続けていたらいつの間にかとんでもないインプレッションがついていた


 ファンもついた、有名にもなった



⸺大きくなったら私漫画家になりたい



 小さい頃の夢が少し頭をのぞかせる


 でも私の描く漫画はあまりに過激だったためかインプレッションも増えたが、徐々にアンチも増えしばらくはアンチに怯えて過ごす日々が続いた


 しかし転んでもただでは起きない


 私と編集者はこの状況にたった一つの活路を見出した


 『アンチが好むような内容にすればいい』


 それはあまりに大きな賭けだった

 今まで可愛らしく描いてきた主人公の身体を、大嫌いなあいつにすり替える

 特定されないようにほとんどフィクションとして描いた

 だから例えバレたって絶対大丈夫


 そうして大規模な方向転換を図ったこの作品は、『幸せになれなかった人たち』略して『なれ人』という略称で呼ばれるほどの有名作品になる


 そうしていつも通り過去の所業も知らずにファンになった人々の為に、嫌いなアイツを愚弄してファンサービスをする


 今の私は売れっ子超大物先生

 誰も彼もが私の名声の前に跪き、平伏し、擦り寄る


 こんな日々がずっと続くはずなのに……


なのにアイツがそれを壊した

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