42 ガルシアの死
王妃の葬儀が終わった。喪中だから地味ですか? 突っ込みたくなる葬式だった。銀灰妃と王子三人が、心から王妃の死を悼んでいるのを、列席者は心洗われる思いで見た。
マイクは娘をなくしたサンダース侯爵をいたわって葬儀の間中付き添っていた。
やがて、あたらしい噂が王宮でささやかれはじめた。
ネルソンはガルシーナ公爵の息子ではない。だから、公爵はエミリーとの結婚をあきらめるように国王のクリフを説得しようとした。子供をもたないとわかっているから結婚してはいけない。公爵はクリフに何度も言って聞かせた。
はたの者は国王に子ができなければ公爵の息子のネルソンが即位するのに、どうしてだろうと思っていた。
当のネルソンも将来は国王だと言われて育っている。
それがネルソンが公爵の息子でなければ、ガルシーナ公爵のやってきたことが納得できた。
サンダース侯爵はこの噂に乗ることにした。幸い、面倒な実の娘のエミリーも殺された。動きやすくなった。
そして、ガルシアも始末することにした。ガルシアは国王襲撃事件を知っていると疑われても仕方のない発言をしているし、王子は公の場でそれをなにげなく披露している。
始末したい勢力はいくつかあるだろうから、犯行はばれないだろう。
通り魔にでも殺させよう。サンダース侯爵はそう思った。
王宮は人が多いし、思いがけないところで、お互いが繋がっている。
だからちょっとしことで恨んだり、妬んだり小競り合いが発生する。
その日は蒸し暑かった。ゼフはいらいらしていた。親しくしていた下女に指輪を強請られて、奮発したから、今日のお昼はパンとスープしか買えなかった。
だが、下女が歩いていくのを見かけて、ちょっと嬉しかった。なにやら用ありげに歩いていくので、ついて行ってみた。
すると、前から気に入らない金髪野郎が待っていて、二人は腕を組んで庭の小道に向かった。
小道は開放されていて、お偉い文官様とかも歩いている。そこを二人は楽しそうに歩いて行く。木陰でキスまでしている。ゼフはかっとなった。剣を抜いた。手入れが悪くて刃こぼれした剣だが、武器は武器だ。これで脅せば金髪野郎も手を引くだろう。
だが、金髪も剣を抜いた。
「ここで剣を抜いたお前は首だ。俺はこの女性を守るために剣を抜いたんだ、目撃者はたくさんいる」
二人は剣を交わす。どちらもへたくそ。そして勢いあまった一人が見物人に飛び込んだ。
その先には、考え事をしながら歩いていたガルシアがいた。
ゼフの放った、手入れの悪い刃こぼれした剣が、ガルシアの喉を深々と抉った。
「あ……」
ガルシアは息を吐いたが、そのまま動かなくなった。鮮血が石畳を赤く染めていく。
そこに猫があらわれると、流れた血を舐めた。その姿の異様さに誰もガルシアへ近づくことが出来なかった。
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