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小さな探検 2

前回、学校探検をしたいと言い出した辰を含め、学校探検をする事になった子どもたち。

始めようとした時平太と会い、平太の提案で案内してもらうことになった。


探検というか、案内になりました。

 一階は保健室、体育館、あとは三年のクラスぐらいなので、五人は二階に移動していた。


「ほけんしつのベッド、ふわふわしてた!」

「ね!」

「たいくかんは、キュッキュッて、走ってた!」

「たいくかんは、はしらないよ」

「しってるよ──」


 そんなやりとりを見て、平太(へいた)は溜め息を吐く。


 保健室のベッドに座って叩いたりした(たつ)たちの代わりに、保健の先生に頭を下げ、体育館で部活をしている生徒を、羨望の眼差しで見つめている四人のせいで思いっきり叫べない先生に、すいません、あとちょっとだけなんで……と頼んだり。

 一階だけなのに、もう平太はめんどくさくなってきていた。


「はぁ……ちゃっちゃと行くぞ」

『おー』


 平太は少し前を四人に歩いてもらいながら説明する。


「……ここが、職員室な」

「しょくいんしつ」

「そ。先生の教室みたいなもん」

「せんせーも?」

「ああ、梅田(うめだ)さん? そうだな。用があればこっちにも来るかもな」

「へー」

「じゃあ、次行くぞー」


 と平太は歩き出すが、四人は職員室前を動こうとしなかった。


「おーい」

「平太、なか! なかみたい!」

「はあ?」

「なかー!」

『みたーい』

「わかったよ、わかったから職員室前で叫ぶな──」


 と平太が戻ろうとしたとき、職員室のドアが開かれた。


「あ……」


「うお、びっくりした──なに?」

「なか、みせてください」

「すいませんすいません! ちょっとだけ中見せてくれますか」


 と平太が駆け寄って言う。


「あ、保育ルームの子たちか。いいよ。見ておいで」

「ありがとうございます」

『ありがとーございます!』


 わいわいと四人は職員室に入っていく。


「騒ぐなよ」

『はーい──』


「可愛いでしょ、子どもたち」

「でも元気過ぎてちょっと……」

「あはは。確かにね──」


 と先生は笑った。

 そして先生は、部活を見に行かないといけないらしく、じゃ、と手を振って歩いて行った。


 職員室から出てきた四人は、手にお菓子を持っていた。


『もらった!』

「よかったな」

「つぎももらえる?」

「職員室はお菓子屋じゃないからな。次行くぞ」

『ふぁーい』

「……食ってんなよ」


 と平太はもぐもぐと口を動かす四人に、軽く注意する。


「じゃあ、はい。平太あげる」

「ぼくも」

「あたしも」

「わたしも」

「……ありがとう──」


 と注意しながらも、ちゃっかりもらう平太だった。


         *


 三階。三階は資料室や、社会科室、生徒指導室。生徒会室などが揃っている。


「平太ー、つまんない。つぎいこー」

(かおる)たちはいいのか?」

「うん」

「いいよ」

「うん」

「あ、そう……じゃ、次な──」


         *


 四階。四階は一年生のクラスと理科室、家庭科室(調理室)などの実用系の部屋がある。


「理科室、行くか」

「じんたいもけいある?」

「あるぞ──ちなみに、この時間帯は動く」


 すると四人の顔がぴしっと引き締まった。


「冗談だよ。理科室行くか」

『いかないいかない!』


 と四人は激しく首を横に振る。


「じゃあどうする?」

「ごかいいく」

「ごかーい」

「じゃ、行くか──」


         *


 五階。五階は音楽室や準備室と視聴覚室、図書室などがある。


「ほん!」

「時間かかるから、また今度な」

「え……」


 と薫はしょんぼりする。


「今度な」


 それでも、薫の顔は晴れなかった。

 辰や(あや)(あん)も心なしか暗い。


「なんだよ……今度行ってやるって」

「こんどって、いつ?」

「今度は──」


 そう言ってから、平太も口を閉じた。

 これから夏休みなのに、四人と会えるかわかっていないからだ。


「…………」

「いいよ。平太も、いそがしいから……」

「そうだぞ、おれたちはまつの、とくいだからな!」

「そうだよ!」

「うん!」

「ぁ──」


 平太は思い出した。

 四人とも両親が共働きだから、両親と一緒に過ごす時間が少ないこと。

 多分約束をしても、仕事が入って“今度”になってしまうことが多いのだろう──


「……平太お兄ちゃん?」

「ぇ……? あ、そうだ、屋上行くぞ」

「おくじょう?」

「そ。屋上──」


 平太は笑って、四人を連れて行った。


         *


「屋上」

『わー!』


 四人は一斉にフェンスに走り寄っていく。


「たけー!」

「そらがちかいよ!」

「ひとがちっちゃい!」

「かぜきもちいい──」

「だろ? よかったわ。うちの学校屋上開放してて」


 と平太も四人と並ぶ。


「……ぶっちゃけな、課題は出たけど、忙しくはない」


 四人は平太を見上げる。


「……だから、図書室は絶対行く。それでいいな、薫」

「うん//!」

「おれはー?」

「辰は虫取り付き合ってやる」

「あたしは?」

「彩は……あれだ、お化粧ごっこ付き合う」

「わたしは?」

「杏がやりたいことやろう。いつも周りに合わせてばっかだからな──」


 四人を見ると、嬉しそうに笑っていた。

 そんな顔を見ると、平太も少し笑顔になるのだった。


         *


『ただいまー』

「こんにちは」

「おかえり。平太くんこんにちは」


 四人は部屋に入ると、探検内容を和気あいあいと話し始めた。

 平太はそんな四人を見てから、初枝(はつえ)に訊く。


「あの、夏休みって……」

「あぁ、保育ルーム? あるわよ。皆の両親がお盆に入るまで。でも、たまに休みがとれると、辰くんが来なかったり、薫くんが来なかったり……ばらばらになったりするけどね」

「そうですか……」


 じゃあ会えるんだ──と平太は嬉しくなる。


「もしかして……保育ルームに来られなくなるとか?」

「あ、いえ、来られる日は全部来ます!」

「まあ。それは頼もしいわ」


 と初枝は笑う。


「じゃあ、これからもよろしくね」

「はい」


 もちろん、と平太はしっかりと頷いた。

 

 平太にとって、初めての保育ルームの夏休みが始まる──



平太「(喜)」

明良「よかったな」

平太「は?何が//?」

明良「顔に書いてある。『子どもたちと会える!嬉しい!』って」

平太「マジで!?(顔を触る)」

明良「マジかよ(笑)」

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