隣国王太子は公爵令嬢に会いに行く※ウィリアム視点
ソフィアに会う前に彼女の兄であり公爵領の管理を任されているルイに会うと苦笑いで出迎えられた。
「父から話は聞いていますよ。まさかウィリアム殿下がソフィアを好いているとは思いませんでした」
「ずっと隠してきましたから」
「それはさぞ大変でしたね。一人の男としては応援したいところですが僕も妹が傷つくのは嫌です。どうか無理強いはしないでください」
「心得ております」
私と同い年であるにも拘わらずルイは大人びて見えた。妻がいる上にもうすぐ子も産まれるからだろうか。
彼を見ていると自分が幼稚な男であると認識させられる。もっと大人にならなくてはいけないみたいだ。
「ソフィア嬢はどちらに?」
「妹は町に向かっている最中かと」
「町?」
「お忍びで視察に行くのが仕事…。最近だと趣味になっているんですよ、領民と関わるのが楽しいみたいで」
公爵令嬢自らが進んで町に出たがるのか。
私は舞踏会でのソフィアしか知らない。普段どんな生活を送っているのか気になってしまう。しかしここで大人しく待っておくべきなのか。
こちらの気持ちを察したのかルイに笑われた。
「良かったら殿下も町をご覧になってください。偶然ソフィアにも会えるかもしれませんし、彼女の護衛には殿下の事を伝えておきましょう」
「か、感謝する…」
この次期公爵、油断ならない人だ。
そのままオズワルデスタの屋敷を後にした。馬車の中で平民に見えるよう変装した後で町に入る。
目立ってるな。
「チャーリー、どうやったら自然にソフィアと接触が出来ると思う?」
「うーん、町でも案内してもらえば?」
「案内…?」
「これやるよ。さっきもらったこの街の地図。ケーキ屋に印つけておいてやったぜ」
有能なのかそうじゃないのか。渡された地図を見ると確かにケーキ屋ばかりに印が付けられていた。私が甘い物には目がないのは事実だがいくら何でも多過ぎるだろうと苦笑いが出る。
「ウィル、女性は甘い物好きだ!頑張れ!」
「あ、あぁ…」
よく分からない応援をされてチャーリーと護衛達が離れていく。一人残された私はソフィアを探し始めた。
この町、分かりやすいようで方向感覚を麻痺させる作りになってるな。このままだと本当に道に迷ってしまいそうだ。
きょろきょろとあたりを見ていると後ろから「あの…」と声をかけられて驚く。
振り向くと探していた人物がそこに立っていたのだ。
「なにかお困り事ですか?」
髪の色は違うが瞳の色も顔の造形も、隠しきれていない気品も、全てがソフィアだと物語っていた。
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