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ナンダロネの冒険譚  作者: なんだろね


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「あ〜帰りたーい」

「ほら、諦めて行くよ」

「え〜ヤダヤダ」

「殴るよ」

「はい、行きます」


 中肉中背の男「ナンダ」と銀の髪を長く伸ばした

「ロネ」が暗く奥がほとんどと言っていいほど見れない洞窟の中を進んでいく。


「本当にこの先にあのお貴族様が言っていた虹色に輝く鉱石なんてものがあるんかね〜」


 はっきり言って、この依頼はガセだ。十中八九、お貴族様がろくに裏取りもせずに「面白そうだから」と俺たちに丸投げしてきたんだろう。


「調査するだけでお金が貰えるんだから楽な仕事でしょ」


 ロネも同じ考えなのだろう、だが依頼書にサインをしてしまった以上ちゃんと依頼はこなさないといけない。


「なんか危なそうな気配しかしないけど大丈夫〜?」

「そん時はそん時よ」

「さすが、姉御頼りにしてまっせ」


 辺りが何も見えなくなったあたりでロネは胸元にあるネックレスを触った、その瞬間辺りの鉱物がキラキラと輝き出した。


「うわ〜何回見ても綺麗だな〜」


 俺は足を止め周りを見ながら辺りいっぱいに広がる神秘的な光景に感嘆していた。


 これは魔石と呼ばれる代物で、中に微弱な魔力が溜まっていて魔力が濃い場所に大量に見つかる。

 さらにこれを加工することによって、近くにある魔石同士を反応させることができる。一度光りだすと魔力がなくなるまで輝き続けるが、基本二十四時間くらいで消えてしまう。

 ただ、二週間くらい放置していれば勝手に大気中の魔力を吸収してくれるというものである。


「そうね、どういう原理で反応しているのかわからないけど神秘的なのは変わらないわね」


 ロネも俺と同じく足を止め美しい光景に心を奪われていた。


「まぁ、でもロネ先生の方が美しいですがね」

「馬鹿言ってないで行くよ」

「はーい」


 中身のない幾度も行ったやり取りに安心感を覚えながらロネの後ろをついていった。


 先ほどまでの洞窟とは一変して周りがキラキラ輝いていた、ただ洞窟はどこまでも続いて行くような気がするほど奥が全く見通せない。


「こんな所に分かれ道があるよ〜2手に別れる〜?」


 2手に別れた方が効率よく終わるかなと提案してみた。


「ここは迷宮ではないから魔物が大量発生する可能性は低いけど安全策で行こっか、1つずつ潰していこう」

「あいあいさー」


 俺は考えるのと責任を取るのが面倒くさいのでロネの最終決定にはいっつも助けられている。


 分かれ道の方に俺たちが進もうとした瞬間、分かれ道の奥に顔はまるで自分の写し鏡のように似ており気味が悪く、身体が真っ暗なので暗闇で見ていたら顔だけ浮いているように見えていただろう人型のバケモノが数体いた。


「うわ、ドッペル面だ あいつ自分をいじめてるみたいだから戦いたくないんだよな〜」

「もう接敵しちゃったから無理よ」

「ですよねー」


 そう言いながら俺たちは虚空を撫でるように空気を掴んで俺は真っ白な布を作りだし、ロネは真っ白な大鎌を作り出した。


「やっぱロネのかっこいいな〜 俺のなんて布だよ!布!ダサいったらありゃしない」

「私はナンダの心鏡の方が便利で羨ましいと思うけどね」


 俺たちが作り出した物は「心鏡」といって、1人1人違った性能の武器や物、自分の姿を別の何かに変えるといった、自分専用の何かを作り出すことができる技だ。

 大体10歳になれば作り出すことができるようになる。ただ、生み出されるものは完全なランダムのため、何が出るかは運で決まってしまう。それゆえに、初めて心鏡を作り出した時の俺のように、「布なんてカッコよくない」と大泣きしてしまう奴もいる。


「まぁ、俺も便利なのは認めるよ、でも一番大事なのはロマンじゃん!」

「ほら、つまらんこと言ってないで来るよ」

「了解〜」


 そう言っている頃にはドッペル面達は後10歩程度のところまで迫っていた。


 ドッペル面は基本は顔を真似るだけでそれ以外脅威ではない。スピードは遅く、身体は影のようなものでできているため殴られても綿飴に触れたような感覚がするだけである。

 ただ、ドッペル面が何十体も集まると影が質量を持ち、顔がたくさんある軟体生物のバケモノになるため、俺たち冒険者はドッペル面を見つけ次第排除する。


 俺はドッペル面に向かって心鏡である真っ白な布を投げると布が自我を持ったかのようにドッペル面を包み込み、次の瞬間にはドッペル面の姿は粉々になっていた。


 ロネは残りのドッペル面達に向かって大鎌を振り切った、普通じゃ届かないはずの距離にいたにも関わらずドッペル面達の顔が真っ二つに切れていた。


「よし、じゃあ先に行こうか」

「ういー」




「結局何もなかったね」


 結局いたのは数体のドッペル面だけだった。


「うん、まぁ分かれ道のところまで戻ろっか」

「そうだね〜 でもここまで歩いて無駄骨って心が折れるわ〜」

「危ないことがあるよりはマシでしょ?」

「まぁ、確かに帰ったらお貴族様からもらった金で豪華な夕食にしよ〜」

「今日中に終わったらね」

「あっちの道もあまり続いてないといいんだけど」

「私たちの目的は一応虹色の鉱石を見つけることだからね〜」

「はーい、わかりました〜」


 ロネは基本俺と同じく、ぐーたらするのが好きなはずだが依頼された内容を中途半端に終わらすのを嫌っている。


 俺たちが分かれ道のところまで戻ってみると先ほどまではなかった水たまりのようなものができていて行く手を阻んでいた。


「うわ、スライムだ。どうする〜? 水にする〜? それとも無視する〜?」

「スライムだから別にほっといても害はないでしょ、水にも困ってないし、無視して先に進んじゃおう」


 スライムは基本無害だ。温度が高いと動けなくなり、寒いと固まってしまう。身体の物質のほとんどが水でできており、汚れが1箇所に集まる特性をもっている。

 そのため汚れている部分を切り離して専用のろ過装置にスライムを通すとスライムは動かなくなり飲料水にすることができる。ろ過装置を通さず飲むこともできるがたま〜に飲み込む間に動いたりしてしまい変な感触がただよう。ちなみに、飲み込む間に動いたりするのが気持ち良いというマニアを見たことがある。


「濡れたくないし、俺の心鏡に乗っていくか〜」


 そう言うとナンダは心鏡を作り出し、その布を放り投げると布がぷかぷかと浮いた、その上にナンダとロネが乗るとスライムの上をゆっくり飛んでいった。


「やっぱ便利だね〜、ナンダの心鏡、ずっと出してくれれば楽なのに」

「無理〜、浮かばすだけでも結構疲れるんだよ、頑張っても2時間位しか持たない」

「知ってるよ、ただ言ってみただけ」


 そう揶揄うように言ってきた。


「うわーん、ロネがいじめてくる〜」

「はいはい、ドンマイ、ドンマイ」

「せめてもうちょっとだけでも感情を恵んでいただくことはできませんか」

「できません〜」


 ケラケラとロネは意地悪な笑顔を浮かべながら笑っていた。


 そんなしょうもないやり取りをしていたらあっという間にスライムの水たまりを横断していた。


「よっと」


 俺たちは心鏡から降りて先ほどの分かれ道のところまで戻っていった。


「そういえば、依頼の虹色の鉱石ってどんな風に輝いているんだろうね、色が変わるのかなそれとも、7色同時に輝いているのかな? そんな物本当に存在するのかね〜」


 特に魔物が出てきていないため暇だったので疑問に思ったことをロネに聞いてみた。


「確かにね、でも本当に存在していたら素敵でしょ、ナンダも言ってたじゃない、ロマンよロマン」

「確かに、それを言われちゃったら、なんも言えんな〜」

「まぁ、今回は物がなくても探索の依頼料貰えるし、こっちの方の奥まで行って何もなかったら、諦めて戻りましょうか」

「オッケー」


 そう言って俺たちはもう一方の分かれ道の奥にドンドン進んだ。

 



「ひらけた場所に出たな」


 洞窟をある程度まで進むとこれまでとは明らかに違うひらけた場所に出た。

 これまでは魔石の光のおかげで明るかったのに、ここからは別空間になっているのではないかと錯覚してしまいそうなほど真っ暗だった。背後にある通路の魔石の明かりによって僅かに前方が照らされて見えるだけだった。


「なんで、ここだけこんなに暗いのかしらね?」

「わからん、だけど明らかに危険だから注意してね」

「うん、もちろん」

「ここで引き返すのもありだけどどうする?」


 ここからは完全に命の危険の度合いが跳ね上がってくるため、一応確認してみた。


「私たち冒険者じゃん」 

「うん」

「お金のために働いてるじゃん」 

「うん」

「でも、未知のものってワクワクするよね」 

「うん」

「じゃあ、進むよ〜」 

「うん」


 ロネは明らかに興奮した様子で心鏡を作り出していた。


 俺もロネも命の危険があるとわかっているとはいえ冒険者として働いている、その理由の一端は融通が効くと言うのもあるが、ほとんどはめんどくさいとは言いつつもいざ未知、未開など新しいものにぶつかるとどうしよもなくワクワクしてしまうからだ。


 俺も心鏡を作り出し、光源の確保のために通路にあった魔石を数個取り出し、ひらけた場所の奥の方に投げ入れて2、3個投げた辺りで、地面が揺れ出した。


「......ゴゴゴゴゴ......ドッゴンッ!」


 大きな揺れが治ったと思ったら先ほどまで真っ暗だった場所が洞窟の隅々までみれるほどの光量が溢れかえっていた。


「まぶしっ!」


 目を開けるとそこには素体は石でできていながら正面は鉱石や魔石やらがふんだんに使われている豪華な身体をした体長約5mくらいの巨体があった、背中には何もついてないからうつ伏せで寝ていたためこの部屋が真っ暗だったんだろう。


「なるほどね、魔石がここら一体になかったのはこいつに食べられていたからか」

「そうね、それとお貴族様が言ってた虹色の鉱石もこいつのことでしょう。」

「こいつ生捕りにして運ばないといけないの? 無理じゃね」

「うーん、どうしようかしら」


 この魔物はイーストンと言って食事に石、鉱石、魔石などを食べ、気に入った味の鉱石などを自分の身体に接着させると言う特徴を持つ魔物だ。

 巨体のため動きが遅いが一撃が重い、また、死んでしまうと身体の粘度が落ちて、硬くなり接着させていた鉱石などがポロポロと落ちてしまうため普段の討伐なら、剥ぎ取る手間が省けて都合が良いが、今回のような場合はめんどくさい。


 俺たちがどうしようかと相談している間イーストンは俺が先ほど投げた魔石をボリボリと食べていたのを見てふと思った。


「なぁ、なんでこいつこっちの方の通路に出れば魔石をたくさん食べれるのに食べに来ないんだ?」

「確かに......変ね、何かここから離れられない事情でもあるんじゃない?」

「事情ってなに?」

「さぁ、私も魔物に詳しくないからわからないよ」

「じゃあ、視点を変えて、もし俺たちだったら動けない理由は何がある?」

「体調が悪いとか?」

「いや、元気に魔石食ってるからそれは違うと思う、俺の考えだとここにあいつにとっての大事な何かがあるんじゃないってね」

「なるほどね、それはちょっと興味がわくね、でも、それと捕獲と関係ないじゃない」

「いや、そうとも言えないんだなこれが、その大事なものを盗んで外まで誘いこめば、後はこっちのもんでしょ、俺の心鏡で捕まえている間にお貴族様をロネが呼んできて任務完了よ」

「そんな、上手くいく〜?」

「まぁ、ダメだったらロネも言ってたでしょ、その時はその時って」

「そうね、やってみようか」


 俺たちの方針が決まった時、イーストンは魔石を食べ終わったのか、こっちを見ながら威嚇だけしてくる、ただ、ひらけた場所から一切出ようとしていない、これで少しは信憑性が上がったな。

ただナンダロネを使いたかっただけの作品です、暇になったら見てください

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