あんたらは頭おかしいよ④
そうですか
年始のUターンが始まって、国道はせわしなく車の往来がある。渋滞とは言わないまでも、道は大部分車で埋め尽くされている。K県を縦にS湾まで走る国道はG号線までは信号待ちをほとんどせずに走ることができる。けれどA市を通り抜けるのは至難の業である。A町から高速に乗ればT海岸まではすぐに行ける。
「E市で混雑と出ているけれど、乗るだけ乗るぞ――」
「混んでいても大したことないんじゃないか?」
それは確かに父親のいう通りであった。E市JCTではむしろ車が捌けて、K環状道はT海岸までほとんど車の影を見ることはなかった。
時間を見ると4時を回ったところであった。日はまだ町の陰の上にある。赤く燃えるような空に夕闇が襲い掛かってくる様を見ながら、彼は息子のことを憂いていた。そして鳥のさえずりような声でしゃべる息子がどうしようもなく可哀想に感じてくるのである。
――あいつももうおしまいだよ。
兄はいつそうなったのだろうか? 最後に会ったあの日、兄はニタニタと笑いながら祖母の暮らした部屋の中で酒を飲んでいた。
「いいよやるよ」
一升の酒を手土産と言いながら彼らにふるまっている自分に陶酔しているような兄を見ていると、父がどうして彼を援助しようなどというのかわからなかった。
――それでも面倒見るのは俺しかいないんだよ――。という父に、今の彼にどんなチャンスを与えたって、資産を投げうって仕舞うだけで使用もないことだということは父にもわかっていたはずであった。さんざん家族を罵倒して自らに酔っているだけで何にもなりえない兄の何に父は将来を見たのであろうか?
――あいつももうおしまいだよ。
それはもうわかっていたことではないか――。あの時、父がことに出ていれば兄もまた、兄の名誉と誇りを保てたかもしれなかった。
――あの時、もし訴えたら俺は仕事を失くしていたかもしれないんだぞ……。
あの時、兄を悪者に仕立てたのは学校側だけではない。兄を悪者にしてしまったのはこの父のためでもある。一言、あの校長に謝罪させればよかったのではないか?
けれどもあの時、兄の学校の校長がうちまで来てわざわざこう言ったとき、兄の全部は終わった。
「わたしもそろそろ定年でして――、ことは大事を要するとは思いますが――、ほかの生徒のこともありますし――。何、原野さんのお子さんだって、まったく責任がないというわけではないのですから――、ここは波風立てることのないように――、その方が双方のためにも良いことだと思われますよ――。ですから今回のことに関しては、――ええ、穏便に……――」
なにがそうなんですか




