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「お外に行って良い?」
友人がアパートから出かけるときのこと。
階段の近くにある部屋の前を通ると、中から「お母さん、お外に行って良い?」という、小さな女の子の可愛らしい声が聞こえてきたという。
お出かけしたい年頃なんだな。友人は姿のは見えないその声に、ふっと頬を緩めながら出かけていった。
それからしばらく経ったある日。その部屋から出てきた女性と、偶然すれ違った。
見覚えのある顔だと思ったら、なんと自分と同じ大学に通っている子だった。
「あれ、あの部屋って、以前にあの小さな子の声が聞こえた部屋じゃなかったっけ……?」
しかし、そこまで親しい間柄でもないため直接聞くこともできず、彼女の中でずっと小さなモヤモヤが残っていた。
そんなある日、途中で雨が降ってきたため、傘を取りにいったん部屋へ戻ることにした。
階段のところで、例の女子学生とすれ違い、自分の部屋のドアを開けようとした瞬間——。
背後から、あの声が聞こえてきた。
「お母さん、お外に行って良い?」
あの部屋には誰もいないはずなのに。あの声はいったい、誰のだったのだろう。




