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隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~  作者: 空気人形


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「静かになった夜桜」

大学の新入生が入ってくる春。校内では毎年、夜になると桜の下で「お花見コンパ」が開かれていた。

「サークルに興味があれば一緒に話そうよ」というフランクな会で、私もサークルを決めたのはその時の雰囲気が良かったからだ。新入生が複数のサークルをハシゴするのもよくあることで、誰も気にしない自由な空気だった。


しかし、とある年のこと。

花見の最中、遠くの方でやたらと騒がしい声が響き渡った。


「イッキしまーす!!」


見ると、大声を上げて酒を一気飲みする男子2人組がいた。「たまにああいうイタい奴っているよね」と冷ややかな視線を送っていたのだが、タチの悪いことに彼らは飲み終わると会話することもなく次のサークルへ移動し、そこでもまた「イッキしまーす!」と騒いでは次へ……を繰り返していた。


(嫌な奴らがいるなぁ……)と思っていると、ついに私たちのサークルにもやってきた。

例のごとく「イッキしまーす!」とやって見せ、満足したようにまた次のサークルへ移動しようとした、その時。


隣のサークルの先輩たちが、すっと彼らの前に立ちはだかった。

「おい、次はお前らこれでやれよ」

差し出されたのは、大容量ボトル。


「えっ……」と顔を見合わせる2人組。当然そんな量を飲み干せるわけもなく、

「すみません! 調子に乗ってました!」と慌てて平謝りし始めた。


「お前ら、調子に乗りすぎなんだよ」

先輩たちは低く冷たい声でそう言い放つと、縮み上がる2人組を連れてどこかへ去っていった。


その後、何事もなかったかのように平和でおだやかな花見の風景に戻った。

痛快な展開に「ざまぁみろ」と胸がすく思いがした反面、連行されて行った彼らのこれからの大学生活が無事であればいいな、と少しだけ思った。

『隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~』をお読みいただきありがとうございます!

毎日20時に更新しておりますので、明日もぜひお越しください。



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『隙間奇談』とは一味違う、じっくり魅せるホラーとなっておりますので、こちらもあわせてお楽しみいただけたら幸いです!


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