第十四話 風車の中の闘い
毎週水曜日午後5時に新エピソード公開です♪
今回はかくのむずかしかったです結構
いってらっしゃい!
「ここだ。」
サラに連れられてやって来た、この村のシンボルともいえる大きな風車。ミノン、アリア、エルリックの三人は、並んでその音に耳を澄ませた。
「…本当だ。昨日は風車の音に紛れてよく聞こえなかったけど、確かに雑音が混じってる。」
絶対音感を持つミノンがつぶやく。エルリックもそれにうなずいた。
「この風車は、風の魔力を利用しているから、僕も感知できていなかったよ。それにまだ発生途中の段階の魔霊だからね。」
だが、いくら発生途中の段階とはいえ、放っておけば大災害を起こしかねない。まずは調べてみようと、四人は風車の中に入った。
外よりいくらか暖かく感じる風車の内部は、ゴトンゴトンという重い音が絶え間なく響いていた。見上げると、上の階へ向かう階段の隙間から、巨大な歯車がたくさん動いているのが見えた。
「上でミカの実を粉にしてるんだ。」
サラが説明しながら階段を上っていく。ミカはパンの材料になるメジャーな穀物で、摘んだばかりで多くの水分を含んだ実はフルーツのような香りがするのが特徴だ。ミノンが前の世界で食べていた小麦のパンよりも更にもっちりとした食感が強く、ほのかに甘い香りがする。
確かに、この空間にはミカの実のフルーティーな香りがほんのりと漂っていた。
「私たちが食べてたパンのもとになったミカの実、もしかしたらここのだったりして。」
「確かに、そうかもね。」
そんなことを話しながら、サラの後ろについて階段をのぼっていく。少し錆びついた細い階段が、四人が歩くたびにカン、カンと雑なリズムを奏でた。
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「うわあ、すごい音。」
最上部まで来ると、ミノンは上を見上げて少し顔をしかめた。外側に風車の羽根がついているであろう場所には、洞窟からそのまま掘り出して来たような大きな魔石が取り付けられていた。それがとんでもない重低音を響かせながら小刻みに振動しており、風の魔力を動力に変換しているのが分かった。もとの音が大きいのもそうだが、どうやらこの魔石に魔霊が取り憑いているらしく、ラジオのノイズのような不快な雑音が混ざっており、耳のいいミノンにはやや苦痛のようだ。
「下がってて。」
エルリックが左手で杖を持ち、皆を庇うように右腕を上げた。階段ギリギリに立ち、杖の先端をゆっくりと魔石に向ける。
「目覚めよ。」
一瞬、音が小さくなったかと思うと。
「ーーーーーーー!!!!!」
今まで見て来たどの魔物とも違う、機械的な超音波のような鳴き声と共に、風車の中に大きな突風が吹いた。魔力濃度が一気に増し、少し頭がくらっとするほどに空間に圧が生まれた。
「魔霊だ!アリア、サラを連れて風車から離れて。」
エルリックが叫び、再び魔霊に向かって杖をかかげた。
「分かったわ!」
「お、おい!大丈夫なのか!」
「大丈夫、きっと退治してくれるから。ほら、行くわよ!」
心配そうなサラの手を引き、アリアが階段を駆け降りていく。だが。
「ーーッ!!ー!」
魔霊の不気味な手が伸び、逃げる二人を捕まえようとする。
「不協和音!!」
ミノンがとっさに音魔法を撃つ。それをもろに喰らった魔霊の手は二人から大きく逸れ、壁に衝突してひびを作った。
「こっちよ!」
この隙にと、アリアとサラは急いで階段を降り、走って外に出て行った。それを確かめ、エルリックが魔法を放つ。
「方尖柱の生贄」
土魔法の部類だろうか、魔霊の四方に美しい石柱が現れ、その間が岩の結晶幕で遮断された。身動きが取れなくなった魔霊は、苛立ったように暴れ、叫んでいる。
「ミノン!」
「わかってます!」
トンッと、階段を鳴らして跳び上がった。歯車に飛び乗り、走ってはまた飛び移る。走り、跳ねるたびにブーツのかかとが音を奏でる、まるでパッヘルベルの「カノン」のように繰り返し。
と、腰に挿していた『音色の短剣』の赤い石がほのかに光った。そのことに気づかないまま、ミノンは魔霊の真上で回っている歯車の上で走りながら狙いを定める。そして、タンッと思い切りよく踏み切り、短剣を抜き、魔霊に向かって振り下ろした。
「はぁっ!」
その軌跡に沿うように、大きな鍵盤のような幻影が現れた。そして、流れるようにダダダダッと鍵盤が押されていき、なめらかに音が鳴っていく。魔霊が連続してダメージを受け、うめき声を上げる。
「今のって…!!」
着地したミノンは自らの技を振り返り、目を丸くする。
.˚⊹⁺‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧⁺ ⊹˚.
新しい技を習得しました
「流鍵譜」
種類:音魔法
効果:攻撃のあとに鍵盤が出現し追加ダメージを与える
.˚⊹⁺‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧⁺ ⊹˚.
「いいね、ミノン!」
エルリックが嬉しそうに声をあげる。弟子のめざましい成長にテンションが上がったのか、自らも更に高度な魔法を放つ。
「氷柱の雨!!」
上空に無数の巨大なつららが生成され、魔霊へと一気に降り注がせた。そして勢い余って床を貫かないよう、器用に花魔法の蔦でそれらをすべて絡めとった。
「ーーッ ーー・・ッッッ!!!!」
何回も攻撃を喰らい、苛立った魔霊が咆哮をあげる。そうして魔石に近寄り、二人が止める間もなく、一瞬で風の魔力を吸い込んだ。
「!!」
魔霊の台風のような身体の大きさが、三倍にも膨れ上がった。魔力濃度もぐんと増し、エルリックが目を細める。
「まずい…。本格化してしまったね。」
読んでくれてありがとう✨
次回もお楽しみに!




