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Long Long Ago
遥かかなた昔、自らが生まれ来ることを私は知り得たのだろうか。
生まれ堕ちて、消えて、また生まれ堕ちるというのか。
その内には、おびただしい数の傷つけ、傷つけられた記憶と、拭えない涙の痕があった。
笑顔の数もあるのだろう。しかしそこに焦点は当てられず、アイロニカルな嘲笑を以てしか、
光り得ないのだった。
そういえば、上履きの底のゴム地に、画鋲が刺さっていたことがあった。
画鋲はいつも、なぜか先端近く、一つぎりで刺さっているのだった。
黙っているし、息もしない。でも死んではいない。
奴は正しい画鋲の一員として、私の足の裏に潜み、誰かしらの罵倒の念を芸術のように表現しているのだった。
私もそういった使命があるのだと思っていた。
昔々、家族に愛されるために、そして出会う人々と愛し合うために、生まれ堕ちたのだと思っていた。
画鋲には画鋲の、洗濯機には洗濯機の、ポプリにはポプリの、雨には雨の役割があるように。
マテリアルの群れという群れが、世界を形作る。
形成された世界は、美しくて悲しくって、広いようで狭い。
昔々の話だった。
私が生まれ堕ちるのが決められた瞬間も、朽ち果てる最期の瞬間も。
決定づけられた事象が、再現されている、ただそれだけのdramaだった。




