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81/81

81 ジャム


大変たいへんたーいへんお待たせいたしました。


記入漏れがあったのでレモンの下り追加しました。

 


 八月の半ば頃に仕込んで潰された葡萄は、夏の暑さを避けて地下で発酵させていた。数日経つと泡が上がりかき混ぜるとシュワリと音がして良く発酵していた。

 村人に毎日様子は見てもらい浮いた皮がカビないように混ぜてもらっていた。


 混ぜて貰う人達にはエーリカさんとウォルトとクルトに頼んでクリーンをかけて貰った白い作業着と頭をすっぽり覆う白い作業帽子、白い長靴とマスクを身につけ、手をよく洗いアルコール消毒をして作業して貰った。


 このふつふつと浮かんでくる泡が少なくなって発酵が終わったら皮と種を圧搾して絞って分離させる。


 八月ももう直ぐ終わり、夏休みが終わる小中学生達はのんびり過ごした事を後悔しながら宿題の追い込みに入っている時期だ。この頃には潰して寝かせた葡萄は発酵が終わった。これを圧搾をして濾過し、木樽に入れ地下で熟成させていく。


 村の手の空いてる人達に声をかけて圧搾の仕事をお願いした。

 赤ワイン用の葡萄は八トン以上収穫出来たのでこの時搾りカスも大量に出た。


「搾りカス、こんなに大量だと勿体無いなぁ蒸留すると違うお酒が出来るんだよなぁ」


 とつい勿体無いが身についている日本人の私は呟いてしまった。


「なにっ!」

「それは本当か!」


 と私の独り言にすかさず合いの手が入った。エトムントさんとゲラルトさんの声だ。


「いや、でも畑の肥料や家畜の餌にもなりますし、ゴミになる訳では無いのでね、勿体無くはないかな。あはは」


「いや、この搾りカスから違う酒が出来るんじゃろ」


「酒になるのに畑にまくのか?そりゃもったいないじゃろ。」


「酒に出来るのですが、蒸留器が必要なんですよ。直ぐには用意できないし、搾りかすは放っておくと腐ってしまいますしね。」


「蒸留器とはどんな物だ?」


「大きな鍋の様なものに搾りかすを入れて火で炙って酒を抽出するんですけど、凄く複雑な形をしていて、そのうえ固形から抽出するので蒸気で温めないといけなくてですね、ほんとに複雑な作りなんですよ。」


「待っておれ、バッツドルフに聞いてこよう。」


「えっ?ヴィルさんに?や、あ、あの今日は仕事なん・・・あー二人とも行ってしまった。確かヴィルさんは今朝出かけたはず。」


 どうしよう、搾りかすはクリーンをかけて貰ったブルーシートの上に山積みでワイナリーの端にドンと置いたままだ。

 どうにもならないし、後で皆に手伝って貰って畑の肥料にでもしようと思っていたのに。



 サクランボワインの時の搾りカスはコンテナにクリーンを掛けてマジックバックにしまい、これまでに手伝いに来てくれた人達と一緒にジャムを作った。

 発酵が終わった搾りカスは甘さが無くなっていたため、水分と砂糖を加えて大きめのザルで濾して種を除いて煮たのだが、これまた大量の搾りカスだったのでロッジにあった大きめの鍋で作っても搾りカスがなかなか消費出来ずに困っていた。


 サクランボの搾りカスは千二百キロもあったが三回に分けて使った量は三キロ程。これは永遠に終わらない気がする。なので工場で使う様な大きな鍋を二つ、エトムントさんとゲラルトさんに頼んで作って貰った。

 六十リットルも入る広口の底の丸い鍋で日本で買うと二十万から三十万円の値段が付いていた。和菓子屋であんこを練るのに使うあの鍋だ。


 ゲラルトさんとエトムントさんに写真を見せると材料込みで一つ八万リロで作ってくれるというので即お願いした。

 一人一つずつ作ってくれるそうだ。

 60リットルがどのくらいがわからないと言うので2リットルの空のペットボトルを二人に渡した。

 これで水を満杯にして三十本分です。と言うと分かったと言ってペットボトルを振り回しながら持って帰った。


 そうして千二百キロのサクランボの搾りカスから出来上がったジャムは四百ミリリットル瓶入りで四千五百個出来上がったのだった。


 使った砂糖七百キロ越え、瓶が四千五百個、砂糖と瓶の両方で七十五万五千円。

 そしてジャムを瓶に詰めるのにおたまで入れていては冷めてしまって殺菌にならないので、たこ焼きの生地注入器の口径の大きい物を五個買って柄杓で注入器に注ぎ込み五人で充填した。

 瓶は熱い物を入れるのでそのまま入れると割れてしまう。なので予め鍋でぐつぐつと煮て温めておいた。


 熱いジャムを充填したら直ぐに蓋係が蓋を閉めて逆さにしなければいけない。蓋を殺菌するためにね。


 注入器の代金が五個で一万八千円。それを足すと五十七万三千円プラス鍋代十六万リロ、これは日本円で十六万円なので合計七十三万三千円。


 あつ、忘れてたジャムの中にレモン果汁も入れた。これをいれるとジャムがトロリとして酸味が増す。全部で約五十七リットル、値段は約五万六千円。それで合計が九十二万九千五百円となった。

 そしてジャムを作ってくれた人達のお給料がここに足される。なのでジャムを作るのに出費が百万円超えてしまった。


 ジャムを一瓶いくらで売ろうかと考えていたがヴィルさんが


「四千リロでいいのではないか?」


 と言う、その値段にびっくりしていたが


「まず、蓋がしっかり閉まる瓶、それだけで一瓶二千リロはするだろう、そして高級な砂糖を大量に使ったジャムもそれくらいはするはずだ。」


 というのだ。

 そしてジャムのような高級品はお金を持っている貴族や商人向けの商品なのだそうだ。貴族や商人がその瓶の価値を知ったら必ず大量に買うはずだから大きく値を付けていて大丈夫なのだというが、四千リロは手伝いに来てくれている皆んなの八時間働いた賃金と同じなのだ。そして道路工事をしている人達の一日の賃金も四千リロなのだ。


 あまりにも高額なジャムの値段にガクガクと震えそうなので半分の二千リロの値段を付けようとしたのだがそれでは安すぎると言われしかたなく三千リロに決定したのだった。

 スーパーでジャム六個は買える値段だよ。ガクガクブルブル






お読みくださりありがとうございます。

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