プロローグ
始めまして。鳥家ろくと申します。ずっと頭の中にあった創作を文章にしてみようかと挑戦しました。更新はそんなに早くないと思います。ぜひ読んでいって下さいね。
私が産まれて物心ついたころには”人形”はいた。
綺麗なお洋服や和服、スーツやドレスで着飾ったのもいた。
髪の色や目の色もほんのわずかだが少しずつ違ってさすがだと思う。
サイズはまばらで130cmくらいのもいれば180cmもあるのもあった。
母の買い物の付添いに疲れた私はショッピングモールの中にある人形屋のショーウィンドウに座らされた人形を眺めていた。
目が合うとにこやかに笑いかけてくるもの、ぎこちなく口角をあげるもの
下をむいたままのもの、目を閉じて眠っているもの。
友達のアカリはこの前の誕生日に人形を買ってもらったと自慢していた。
金髪に青い目の150cm後半の女の子の人形だった。
品番は《JPN:G/B/M》コロンの前に書いてあるのは産まれた国、次に髪色、瞳の色、人種だ。
JPNだと聞いていたので私が欲しいタイプかと思っていたが金髪にさらに青い目だったのでちょっと当てが外れた。
こんにちはと話しかけるとにっこりと笑って小さな声でこんにちはと返してくれた。
ショーウィンドウには、私の欲しいタイプの人形は見当たらなかった。
店内放送が6時を告げる。私は母を探しに近くのエスカレーターを降りた。
『買われるかと思ったー』
『あの子になら買われてもよかったかな!』
『あの生気の無い目で見つめられるのにも慣れちゃった』
『私は全然慣れないや…』
『早く元の生活に戻りたいよ』
『俺はしばらく働かなくていいから別にこれでもいーや』
『なんでこんな目に…』
『仕方ないよ…私はあと3年の我慢…』
20XX年
人間と発達しすぎたロボットの全面戦争が勃発。
勝負の軍配はロボット側にあがった。
いままで良いように扱われてきたロボット達が出した条例。
【人間傀儡売買促進条例】
・6歳から22歳までの人間が”人形”あるいは”傀儡”として売買され、ロボットに購入、販売されることを目的とする。
・売買されている期間、人間は人間としての権利を失う。
・購入者が購入した人間を今後も使用したいと思った場合”誓い”を結ぶことで22歳以降も手元に置くことが可能。
・”誓い”にのみ人間の意思を反映する事が可能。
・”誓い”を結んでいない人間が殺害、事故などにより死亡した場合、購入元の企業に賠償金を払う。
・購入し”誓い”を結んだ人間であろうと結んでいない人間であろうと購入者との結婚は禁止する。違反した場合、結婚をした購入者、人間は死刑。
――――――――
―――
――
『狂った世界だよ…ほんとに…どうしようも、ない』
とある店の隅のロッキングチェアに腰掛けた1人の女の人形が呟いた。
《JPN:B/B/M》
JPN産まれ、黒い髪に黒い瞳、人種はMongoloid
髪色も変えておらず瞳の色も変えていない希少な純日本人タイプの人形である。
感想やアドバイスなどございましたらぜひ書いてください。ありがとうございました。