第51話 欠陥奴隷は軍と合流する
俺達を載せた馬車は進んでいく。
昨日のうちに大量のスキルを手に入れたので、ここらで合体させておくことにする。
>スキル【防御】【守護】を複合
>スキル【防護の心得】を取得
>スキル【脅迫】【大声】【威嚇】を複合
>スキル【一吼え】を取得
>スキル【鋭牙】【鋭爪】【骨刃】を複合
>スキル【靭骨の刃】を取得
>スキル【名軍師の真髄】【連携】【狩猟】【指揮】を複合
>スキル【大軍師の独壇場】を取得
いずれも成功した。
だいたい上位互換といった具合のスキルになってくれた。
どれも直接的な戦闘で活躍するだろう。
魔族はともかく、配下の魔物には通用するはずだ。
詳しい効果を確認していると、サリアが目ざとく気付いた。
「良いスキルができたわね。とても良いと思うわ」
「数もまとめられるから助かっているよ」
大量のスキルをやりくりするには、それに思考が割かれてしまう。
残らず常時発動させれば解決するものの、使用中は消耗するタイプも少なくない。
だからスキルを整理できるのはありがたかった。
今や必須となった【複合】には感謝するしかなかった。
サリアと雑談しながら馬車で移動していくと、やがて前方に兵士の集団が現れる。
総勢数百人で、槍や盾を携えた彼らは黙々と進んでいた。
先行した冒険者もそこに従っている。
冒険者を送り届けた馬車は、役目を終えて引き返していく。
「あれが王国軍か」
「なかなかの重装備ね。気合が入っているようだわ」
サリアが軽く説明を挟む。
兵士の一部は、魔術を付与された武装を着けていた。
感知系スキルで調べてみると、魔力が充填されているのがよく分かる。
筋力や防御力を強化する効果だろう。
魔術付与された装備は、かなり高価と聞いたことがある。
あれだけの数を揃えるのは大変なのではないだろうか。
「今回の魔族は、そんなに強敵なのか?」
「どちらかと言うと、国民への示しが目的じゃないかしら。こうして大々的な軍事行動を見せることで、支持を集めようとしているのでしょうね」
「なるほど。そんな意図があるのか」
「貴族は外面を気にしないといけないのよ。本当に面倒臭そうねぇ」
サリアは嘲笑うように呟く。
彼女は宮廷魔術師だったことがあるそうだ。
貴族について詳しく、色々と思う所があるのだろう。
それに付き合わされる兵士達も大変そうだ。




